もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

216冊目 脇田晴子「大系日本の歴史 第7巻 戦国大名」(小学館;1988) 評価4

2012年05月14日 00時00分10秒 | 一日一冊読書開始
5月13日(日):

374ページ  所要時間3:25

著者54歳(1934生まれ)。室町時代の大家である。

今回も1ページ15秒を原則にした縁結び読書。理解よりも、ページを追うことに集中した。気になったところには付箋をした。評価は勿論俺の能力の低さによるものである。

通説的な各戦国大名に関する記述はかなり簡素化され、その分この時代のさまざまな諸相についての考究が行われている。

タテの奉公とヨコの一揆:「戦国時代といえば、武田信玄や上杉謙信が活躍し、鎧武者が切り合う、時代劇のイメージが強い。たしかに、かれらが築いていった封建的主従関係の上下のタテ系列、すなわち、上は大名から下は足軽まで一貫する軍事体制の成立が、戦国時代の帰結点であった。しかし、いっぽうで、略。/武士も百姓も町人も、自立した一個人をメンバーとする平等でヨコに連帯する党・座・一揆という結合体をもっていた。西洋中世と同じく、自治都市や自治村落の花開いた時代であった。タテの主従関係にもとづく軍事体制のほうが、ヨコの結合体より強いにきまっている。したがって戦国時代とは、大名権力に、ヨコ系列の一揆や党が敗れていく過程であり、百姓や町人の座や一揆が、骨ぬきにされていく過程を追うことになる。/しかし、略、大名領国も統一権力も、数多くの共和制的な一揆勢力との熾烈な闘争のなかできたえられて、成立したものであった。」

目次:
戦国時代とは
―はじめに―
応仁・文明の大乱:大乱の勃発とその経緯/大乱、いちおう終息する/戦国初期の大名
コミューンの世紀:山城の国一揆/百姓の叡智/動揺する畿内/加賀の一向一揆
海道下りと花の都:風流舞う/芸能者の創業/廻国の文芸/信仰と勧進/参詣の旅路
大名家の盛衰:関東地方の動向/畿内の動向/中国地方の動向
富国強兵への道:分国法の制定/家臣団の編成/農民支配の強化
城と領国経営:築城術の発展/戦国城下町の形成/商工業・交通・貨幣政策
村と町の自治:土一揆と徳政/村と祭祀と村法/商人団と私法/町の自治組織
躍動する女性像:武家の女/官女と庶民の女の世界
拡大する市場圏:首都市場圏の成立/問屋制家内工業の商品/領国市場の形成
海外貿易と国際情勢:東アジア世界の中で/国際貿易の商品・貨幣/北海道・沖縄の国際貿易
一六世紀の技術革新:海外技術の導入/武田信玄の新技術/西洋文明との出会い
統一に向かう畿外諸国:川中島の戦い/越後の上杉謙信/甲斐の武田信玄/中国と九州の情勢
流浪する将軍と浮上する天皇:混迷深まる畿内/幕府滅亡す
統一政権誕生の条件―おわりに―

「家元」としての天皇

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