もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

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180120 孫崎享 外交評論家:口約束の「日韓合意」見直しを拒否する安倍政権の非常識 日本外交と政治の正体

2018年01月21日 03時01分58秒 | 時々刻々 考える資料
1月20日(日):  

日刊ゲンダイ 孫崎享 外交評論家:口約束の「日韓合意」見直しを拒否する安倍政権の非常識 日本外交と政治の正体 2018年1月19日  
  読売新聞社が世論調査を実施し、慰安婦問題を巡る2015年12月の「日韓合意」について、韓国政府からの追加要求には応じないとする日本政府の方針を「支持する」と答えた人が83%に上った、と報じた。私にとっては全くの驚きである。
  日本政府の方針を「支持する」と回答した人のどれくらいが、「追加要求」の内容を知っているのだろうか。具体的な内容を知らずに「追加要求」という言葉が独り歩きしているのではないだろうか。
  韓国側が公表した新方針は次の通りだ。
①日本政府が拠出した「和解・癒やし財団」への基金10億円は韓国政府の予算で充当する。
②韓国政府は合意に関して日本政府に再交渉は求めない。
③ただ、日本側が自ら、国際的な普遍基準によって真実をありのまま認め、被害者の名誉と尊厳の回復と心の傷の癒やしに向けた努力を続けてくれることを期待する。
  日本国民は、この韓国の新方針のどの部分が遺憾だと感じているのか。
  安倍首相は「合意は国と国との約束で、これを守ることは国際的かつ普遍的な原則だ。韓国側が一方的にさらなる措置を求めることは、全く受け入れられない」と言っている。しかし、この発言は国際的常識からいえば正当性はない。
  前提として民主主義国家とは何かを考える必要がある。民主主義とは政府が国民の意思を反映し、実施することである。大統領選挙や国会選挙で政権が代われば、当然主要政策は変更される。米国のトランプ大統領は大統領就任後、TPP合意からの離脱を宣言した。そしてさらに、北米自由貿易協定からの離脱も検討している。ところが、関係国が「過去の合意を守らない」とトランプを非難しているのかといえば、していない。

  国際的な約束には、順守の重いものから順に「条約」「署名文書の作成」「口頭約束」がある。「日韓合意」は公式文書の作成は行わず、両外務大臣が記者会見を開いて発表するという形式で行った「口頭約束」に過ぎない。この程度の合意について、「合意は国と国との約束。順守は国際的かつ普遍的な原則。韓国側が一方的にさらなる措置を求めることは、全く受理できない」という認識は国際的な常識から大きく逸脱している。
  そもそも韓国国民の重大関心である慰安婦問題を、日本の一政権が「最終的、不可逆的合意」ができると考えているのが間違いなのだ。

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