もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

190322 大阪ダブル選の本質:「法の穴つく政治家の暴走 中島岳志さん(政治学者・東京工業大学教授)感想5

2019年03月23日 01時23分42秒 | 時々刻々 考える資料
3月22日(金):  

真の<保守>とは何か。100分で名著オルテガ「大衆の反逆」に通底する内容が書かれている。

朝日デジタル <耕論>:法の穴つく政治家の暴走 中島岳志さん(政治学者・東京工業大学教授)
2019年3月21日05時00分

 「大阪維新の会」の大阪市長と大阪府知事が任期途中で辞め、それぞれが違う立場で選挙に立ち、事実上任期を延長する――。市長と知事がそのまま出直し選挙に出馬し、当選すれば任期は残り任期と同じです。この公職選挙法の規定は、首長側の恣意(しい)的な選挙を避けるためのものですが、今回の大阪の選挙は法の穴を狙った、いわば脱法的行為です。同時期の府議選や市議選も有利に運びたいというもくろみもあるでしょう。
 憲法や法律といった明文の規定で禁止されていないから、「民意を得れば良い」ということかもしれません。しかし、権力を持つ人の多くは保守派を自任しています。現行のルールの穴を見つけて、先祖たちが失敗を重ねながら築き上げてきた慣習や知恵を無視するのは、私に言わせれば保守ではありません。これは大阪だけの問題に限りません。現代政治の問題点が表れているように感じます。
 例えば安倍内閣が臨時国会を開かなかったことが典型でしょう。憲法53条で衆参どちらかの総議員の4分の1以上の要求があれば、嫌でも臨時国会は召集されなければなりません。ところが「何日以内に」というルールがないことを根拠に開きませんでした。
 異なる意見に耳を傾ける寛容な保守政治家が、してこなかったことです。最近の政治家は、「そんなこと法律に書いてないじゃないか」の一言で押し通す。慣習や暗黙知を平気で破っているのです。
 民主主義と立憲主義の対立という、現代日本にとって切実な問題もあります。民主主義は、今を生きる人間の多数が支持していることは正しいという考えに傾きがちです。それに対し、いくら今生きている多数が良いと言っても、憲法が権力を縛る、ダメなことがあるというのが立憲主義です。
 両者は簡単には合致しないのですが、「今生きている人」だけでなく、過去の人たちの英知と折り合いをつけるのが民主主義の知恵でした。保守と呼ばれる人たちには、「今」だけを特権化してしまうことは、おこがましいという謙虚さがあるはずです。
 保守思想家たちは「庶民」と「大衆」を区別してきました。庶民は、それぞれの居場所を持ち、異なる意見を持つ他者とも合意形成し、社会の秩序を保つ知恵を歴史的、集合的経験から得ている人々のことです。一方、瞬間的な熱狂、「炎上」などでうわーっと瞬間的に盛り上がり、また忘れていく根っこのない人々を大衆と呼んでいました。
 民主主義が大衆によって乗っ取られ、暴走することを心配していました。「違う意見の持ち主は壊滅させてしまえ」と言わんばかりの主張が保守と呼ばれる。そんな最近の風潮に憤りを感じています。(聞き手・池田伸壹)
    *
 なかじまたけし 1975年大阪生まれ。北海道大学准教授などをへて現職。著書に「中村屋のボース」「保守と立憲」など。


凡庸な悪について(ウィキペディアより)
中島はハンナ・アーレントの「凡庸な悪」が日本に蔓延していると主張している。その根拠は従軍慰安婦問題に対して疑念を持つことや植村隆による従軍慰安婦問題の誤報に対する不寛容さを示すことであり、日本人は正義と良心によって自己を問い直すべきであると主張している。
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