9月5日(木):
192ページ 所要時間3:35 古本市場378円
2度目。「
し~んぱ~い(心配)ないからね、略、か~な~ら~ず(必ず)最後に愛は勝つー!」という歌が昔流行ったことがあるが、「本当の愛は裏切らない」というある種の
<徹底的(子ども中心に立った)愛情原理主義>の書と言える。「きれいごとに過ぎる」と思える瞬間が無きにしも非ずだが、「この著者をやっぱりどうしても信じたい」という俺自身の心が存在する。それは俺の中に「子どもが可愛くて仕方がない」、「子どもに対する愛情と優しさを貫きたい」という根っこの思いがあるからだと思う。
2年前に読んだ時と違う印象を受けたのは、著者が発達障害に対して言及している部分である。すなわち、
発達障害を治そうという考え方は、子どもの心を壊してしまうことになるので根本的に間違いであり、発達障害は治らないものとしてそのまま受け入れて、それも込みで子どもの幸せを創造的に考えていくべきだ、と述べている。この考え方は、やはり著者が精神科医として信頼できるところだと思う。
俺は、著者の言説を信じたいと思う。人間の問題で悩んだ時に、本書は
常に立ち戻るべきテキストの一つだと思う。
7 011 佐々木正美「「育てにくい子」と感じたときに読む本」(主婦の友社:2008)感想5
2017年10月27日 01時54分02秒 | 一日一冊読書開始
(2017年)10月26日(木):
192ページ 所要時間3:40 古本378円(350+税8%)
著者73歳(1935生まれ)。
群馬県前橋市に生まれ、幼児期を東京で過ごす。その後、第二次大戦中に滋賀県の農村に疎開し、小学3年生から高校までを過ごすが、高校卒業と同時に単身で上京。信用金庫などで6年間働いたのち、新潟大学医学部医学科に編入学し、66年同校を卒業。その後、東京大学で精神医学を学び、同愛記念病院に勤務。70~71年にブリティッシュ・コロンビア大学に留学、児童精神医学の臨床訓練を受ける。帰国後は、国立秩父学園、東京大学医学部精神科に勤務後、小児療育相談センター(横浜市)、横浜市南部地域療育センターで児童臨床医として地域ケアに力をそそぐ。その間、東京大学医学部精神科講師、東京女子医科大学小児科講師、お茶の水女子大学児童学科講師などを務める。現在、川崎医療福祉大学特任教授(岡山県)、ノースカロライナ大学非常勤講師、横浜市総合リハビリテーションセンター参与。長年にわたり自閉症の人とその家族を支援する療育方法の実践と普及に努めてきた功績で、2001年「糸賀一雄記念賞」、04年「保健文化賞」、「朝日社会福祉賞」受賞
素直に良書だと思う。テキスト。必要な厳しい線は引きつつ、ほんわりと包み込むように優しいまなざしと言葉の本である。小学校2年生ぐらいを上限にして、乳幼児の精神的健康状態にについて、具体的な相談事例を多用してわかりやすく述べられている。
子どもの心理、将来の人間形成につながる問題で、<母親の果たす役割>を非常に重く見ている。子どもの問題行動とされる事例の多くが、子どもが母親や家庭の「愛情で満たされていない」ことによるとし、子どもの母親への要求をできる限り受け入れてやることによって改善すると説く。同時に、母親の精神状態の安定に対する配慮もなされている。
著者は、「しなさい」「いけない」という<過干渉>を戒め、子どもの思いをなんでも「受け入れる」<過保護>をほぼ全面的に肯定する。十分な愛情で満たされているという自覚が、子どもに自信と、自尊感情を生み、「わがまま」ではなく、家庭外世界への勇気や積極性、他者への思いやりの感情につながる、と説く。
【目次】第1章 悩み多き時代の子育てだからこそ/第2章 わがままな子、心配な子と言われて/第3章 集団生活の入り口で/第4章 上の子の気持ち、下の子の気持ち/第5章 ママだって傷ついている/子育ては育ちあいQ&A
【内容情報】
手のかからない子がいい子だなんてそんなのは大きなまちがいですよ。人生のどこかで、親は子どもにたっぷり手をかける必要があるんです。ベストセラー『子どもへのまなざし』の著者、児童精神科医の佐々木正美先生がたくさんの子育ての悩みに、あたたかく、時に厳しく、真摯に答えてくれます。