定山渓では温泉街挙げての行事である「カッパ祭り」が夏の暑い時期に開催されます。
テレビで見かけることがありますから、今でもやっているんです。
定山渓は豊平川の上流なんです。
上流なもんだから川幅は細く、流れが早いんです。
そんな中にも水がよどんで深い“淵”(ふち)と呼ばれるところが何ヶ所もあります。
そのうちの一つにカッパがいたと言い伝えられる“カッパ淵”があるんです。
定山渓は温泉意外目玉となるものが何もありません。
地獄谷もないし、湖もないし、わかさいも、もありません。
それで、カッパにしがみついたんですね。
ボクは定山渓にいる間、夜中にカッパ淵に何十回も行きました。
何しに行ったのかは忘れましたが、カッパには一度もお会いできませんでした。
それはいいとして、カッパ祭りは夕方、定山渓中の女中さんがただ踊り歩くだけなんです。
年を取った女中さんが多いので何が魅力なのかわかりませんが、観光客がけっこう来ていました。
女中さんばかりではなく、保安要員を除く従業員は全員参加です。
ボクは太鼓を叩く役です。
女中さんの踊りは2日ほど皆で練習します。
ボクの太鼓は行き当たりばったりです。
ホテルの支配人は「この音頭は単純だし、うちのホテルの前に行進するホテルの太鼓は上手だからマネをすればいい。」と言うだけです。
行進が始まりました。
カッパの踊りはぴょんとはねたりして、ちょっと滑稽です。
このまちで何年か前までやっていた「し○き祭り」の踊りとそっくりなんです。
「し○き祭り」が始まった当初、踊りがあまりに似ているのにびっくりしました。
盗作で訴えられるのではないかと心配したほどです。
前を歩くよそのホテルの太鼓に耳を澄ませました。
とんでもなく難解なリズムを刻んでいます。
太鼓のリズムを越えているんです。
まるでパーカッション奏者です。
ボクは、マネをするのをすぐ断念しました。
連続一拍子です。
でも、前の太鼓の音が邪魔をしてリズムが崩れます。
踊っている女中さんからはボクに罵声が飛びます。
それも、終了間際には何とか様になってきました。
でも、バチを握る手のひらが血だらけです。
ボクの場合、責任感が強いもんだから手を抜くということが出来ないんですね。
行進が終わったら急いでホテルに戻り、バーテンをしなければなりません。
何せその日のホテルは満員なんですから、カクテルラウンジも忙しくなるんです。
血だらけの手のひらでお通しを作り、氷を割り、シェーカーを振るんです。
お客さんは「この飲み物、ちょっとしょっぱいな」と言いながら、うまそうに飲んでいました。
テレビで見かけることがありますから、今でもやっているんです。
定山渓は豊平川の上流なんです。
上流なもんだから川幅は細く、流れが早いんです。
そんな中にも水がよどんで深い“淵”(ふち)と呼ばれるところが何ヶ所もあります。
そのうちの一つにカッパがいたと言い伝えられる“カッパ淵”があるんです。
定山渓は温泉意外目玉となるものが何もありません。
地獄谷もないし、湖もないし、わかさいも、もありません。
それで、カッパにしがみついたんですね。
ボクは定山渓にいる間、夜中にカッパ淵に何十回も行きました。
何しに行ったのかは忘れましたが、カッパには一度もお会いできませんでした。
それはいいとして、カッパ祭りは夕方、定山渓中の女中さんがただ踊り歩くだけなんです。
年を取った女中さんが多いので何が魅力なのかわかりませんが、観光客がけっこう来ていました。
女中さんばかりではなく、保安要員を除く従業員は全員参加です。
ボクは太鼓を叩く役です。
女中さんの踊りは2日ほど皆で練習します。
ボクの太鼓は行き当たりばったりです。
ホテルの支配人は「この音頭は単純だし、うちのホテルの前に行進するホテルの太鼓は上手だからマネをすればいい。」と言うだけです。
行進が始まりました。
カッパの踊りはぴょんとはねたりして、ちょっと滑稽です。
このまちで何年か前までやっていた「し○き祭り」の踊りとそっくりなんです。
「し○き祭り」が始まった当初、踊りがあまりに似ているのにびっくりしました。
盗作で訴えられるのではないかと心配したほどです。
前を歩くよそのホテルの太鼓に耳を澄ませました。
とんでもなく難解なリズムを刻んでいます。
太鼓のリズムを越えているんです。
まるでパーカッション奏者です。
ボクは、マネをするのをすぐ断念しました。
連続一拍子です。
でも、前の太鼓の音が邪魔をしてリズムが崩れます。
踊っている女中さんからはボクに罵声が飛びます。
それも、終了間際には何とか様になってきました。
でも、バチを握る手のひらが血だらけです。
ボクの場合、責任感が強いもんだから手を抜くということが出来ないんですね。
行進が終わったら急いでホテルに戻り、バーテンをしなければなりません。
何せその日のホテルは満員なんですから、カクテルラウンジも忙しくなるんです。
血だらけの手のひらでお通しを作り、氷を割り、シェーカーを振るんです。
お客さんは「この飲み物、ちょっとしょっぱいな」と言いながら、うまそうに飲んでいました。