アナーキー小池の反体制日記

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#2890 記し継ぐべきこと ⑭ 滝川市の利雪構想(上)

2018年12月30日 | マチの事件簿
利雪(りせつ)とは、北国の冬の厄介(やっかい)モノの雪を有効に利用できないか、との意を持つ造語です。
雪の結晶で有名な中谷宇吉郎氏らの発想だとのこと、大昔に造られた言葉のようです。

もう20年以上も前になるでしょうか、通産省(現経産省)の委託を受けたNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)から100%の補助金を受けて、このマチも利雪について検討を行ったのです。
お金が余っているNEDOは、いろいろな構想を地方自治体に検討させようと画策しましたが、利雪もその一環でした。

滝川市は補助率100%と聞くと、何でも飛びついたものです。
この利雪に関しても同様に、喜んですぐ飛びつきました。
利雪構想検討委員会なるものを設置して、NEDOから補助金をもらうことにしたのです。(名称は不確かです)
事務局は企画課が担うことになり、都市計画課に所属していたボクは事務局の一員になりました。

事前にNEDOの職員と、オブザーバーの利雪に関する第一人者とされる室蘭工業大学の媚山(こびやま)教授を交え、事務局との打ち合わせが行われました。
媚山教授は利雪の意義を述べ、この豪雪地の空知地方からモデル地を選定し、実証実験をしたい旨、熱く語ったものです。

委員会が構成されました。
市の関係する部の長、商工会議所、農業関係などから10人くらいの人が集められました。

第一回検討委員会が開催されました。
NEDO職員の挨拶に続き、媚山教授が利雪の有効性について熱く語りました。
その後に、委員の自己紹介を兼ねた簡単なスピーチが求められました。
ろくにものをしゃべられない委員ばっかりだったので、いつものとおり陳腐なスピーチが続きます。

その中で異彩を放つものが飛び出したのです。
市の部長の委員が自己紹介の後のスピーチで「この委員会には何の期待もしていない」とおっしゃったのです。
構想をまとめる任務を負った委員が「期待をしていない」と言うのは、建前上は大変おかしなことです。
しかし、実態は専門のコンサルタントが構想をまとめるので、委員はお飾りなのです。
お飾りの存在なのをあからさまに宣言しているのを聞いてボクは面白く思いましたが、同じくそれを聞いている媚山教授がどのような反応を示すのか、興味深くもありました。

市の部長の委員が放った「何の期待もしていない」との発言に、媚山教授は不思議そうな顔をしていました。
なぜ市はNEDOからこの委託を受けたのか、庁内のコンセンサスができていなかったのか、関係部長の立場でどのような思いを持っての発言だったのか、事務局に穏やかにたずねました。
ボクは教授に「田舎役場の幹部職員は、委員会の委員というのは構想を立てるのはコンサルと事務局の仕事と捉(とら)え、自らはただ承認を与えるものだと思い込み、往々にして建前すらもそうだと錯覚してる者がいる。100%補助の事業なんて今までモノになったためしがないのを言いたいのだろう」と委員を擁護したものです。

続きます。
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