バイオの故里から

バイオ塾主宰・Dr.Kawanoの日々、収集している情報(DB原稿)をバイオ塾メンバー向けて公開しています。

放線菌からビタミンDを活性化する酵素の分離・精製に成功

2007年08月24日 | 医療 医薬 健康
 活性型ビタミンDの生産に利用されている放線菌を対象に、ビタミンDを不活性型から活性型に変換する酵素(ビタミンD水酸化酵素)を探索し、その分離・精製に成功した。その遺伝子を分離・特定したことによりこの酵素の機能を改変することも可能で、活性型ビタミンDの生産性を飛躍的に高めることができるほか、ビタミンD類をもとにした新規医薬品・医薬中間体の生産も期待される。日経ネット>>プレスリリース2007-08-23

プラバスタチンの生産に関与するDNAおよびその使用

2007年08月24日 | BioTech生物工学 遺伝子工学
出願番号 : 特許出願2001-47664 出願日 : 2001年2月23日
公開番号 : 特許公開2002-247984 公開日 : 2002年9月3日
出願人 : メルシャン株式会社 発明者 : 藤井 匡 外5名

発明の名称 : プラバスタチンの生産に関与するDNAおよびその使用

【課題】 プラバスタチンの生産に関与しうる単離されたDNA、そのDNAを用いるプラバスタチンの生産系の提供。
【解決手段】 ミクロテトラスポーラ・レクチカテナ(Microtetraspora recticatena)のゲノムから単離されたプラバスタチンの生産に関与するDNA、該DNAを用いるプラバスタチンの生産。

アントラサイクリン系抗生物質の生合成に関与する糖転移酵素をコードするDNA

2007年08月24日 | 医療 医薬 健康
出願番号 : 特許出願2001-378166 出願日 : 2001年12月12日
公開番号 : 特許公開2003-174884 公開日 : 2003年6月24日
出願人 : メルシャン株式会社 発明者 : 吉本 明弘 外1名

発明の名称 : rhoG遺伝子およびその使用

【課題】 アントラサイクリン(anthracycline)系抗生物質の生合成に関与する糖転移酵素をコードするDNA、そのDNAを用いて育種した微生物によるアントラサイクリン系抗生物質の製造方法およびその方法により製造された新規アントラサイクリン系抗生物質を提供する。
【解決手段】 特定の配列を有する塩基配列の塩基914~塩基2191に示されるDNA配列(ロドサミン転移酵素の遺伝子に該当)がストレプトマイセス・ビオラセウスA262,SC-7株のゲノムDNAをテンプレートとするPCR法により取得できた。このDNAとダウノマイシン生産菌由来のダウノサミン転移酵素遺伝子を用いて育種した菌株より新規なアントラサイクリン系抗生物質が生産された。

発生工学を使うとウズラにハトを産ませられるか?

2007年08月24日 | 医のかたち(教育 政策 行政)
研究者 桑名 貴
 所属: 環境省 国立水俣病総合研究センター基礎研究部

報告概要 鳥類の始原生殖細胞(PGC;将来の精子や卵子の元になる細胞)の分化機構を解明し,PGCの培養法を開発して鳥類で異種間生殖巣キメラを作出することを目的として研究を行なった(図1)。そのために,まずニワトリを用いてPGCを一たん生体外に採り出してから異系統のニワトリはいに移植した。このはいをふ化したひなが親鶏になった後に子孫を調べると約80%の子孫は移植したPGC由来の子孫となり,すなわち,PGCを異系統のはいに高効率に導入することが可能となった(表1)。また,このPGCを試験管内で細胞成長因子を添加して培養したところ,7日間で約100倍まで細胞数を増加することができた。この生体内の環境を反映した培養液を開発したことにより,多くの鳥類はい由来の細胞株を樹立することができた。この研究結果は,開発した培養系を用いて外来遺伝子を子孫に効率よく導入したり,1個体の受精卵から多くの子孫を得るための基礎技術が開発されたことを意味している。 J-Store >> 研究報告コード R993100476

転写因子による細胞癌化の制御

2007年08月24日 | 細胞と再生医療
研究者 Lamphier M.S.
 所属: 科学技術振興事業団 さきがけ研究21

報告概要 細胞ががん化する場合,いくつかの生物機能が異常になっている。がん細胞においては,細胞増殖の抑制機構が機能しなくなり,通常では死ぬはずの状況下で細胞死が誘導されず,細胞老化することなく増え続ける。従って,細胞のがん化を研究することによって,細胞増殖,細胞死,細胞老化といった根本的な生物機能に洞察を加えることができる。Interferon Regulatory Factor-1(IRF-1)は,当初,ウイルスやバクテリアに対する生体防御に重要な転写因子として研究されてきたが,最近,がん抑制機能の他,細胞周期・細胞死・DNA損傷に対する応答を制御する機能も持つことが明らかになった。本研究では,IRF-1による細胞増殖・細胞死の制御,細胞がん化の抑制,さらにこれらの機能に関与している標的遺伝子の同定を行った。加えて,別のがん抑制因子・転写因子であるp53との相互作用を解明し,共通の標的遺伝子の同定に成功した(図1,図2)。 J-Store >> 研究報告コード R993100471

抗体を利用したHIVワクチンの設計

2007年08月24日 | 創薬 生化学 薬理学
研究者 熊谷 善博
 所属: 住友電気工業バイオメディカル研究部

報告概要 多くのウイルス感染症の予防と治療に有効な能動免疫誘導あるいは受動免疫法は,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症候群であるエイズでは確立されていない。それは,HIVの複雑巧妙な体内動態に加え,ウイルス排除に有効な機能的免疫の確立が困難なことや,HIVの多変異性に起因すると考えられる。本研究により,1)この構造多様性を有する抗体超可変部にHIVの主要エピトープ(V3エピトープ)を分子移植し,感染HIVの多変異性に対応するV3エピトープライブラリーを作製(図1)し,機能的免疫応答を誘導する目的にかなった安全性の高いAIDSワクチン分子を構築することが可能となった。その過程で、2)抗体超可変部にマルチプルにHIV-1MN株のPNDを蛋白質工学的に分子移植し,抗体のFc部の生物活性を有効に利用することにより,従来のペプチドワクチンよりも500~l000倍免疫誘導効率の良い,副作用の無いワクチン(Ig-PND8)を分子設計(図2)できた。5)エピトープ移植抗体の高い免疫誘導効率を保証するメカニズムを確認した(図3)。 研究報告コード R993100472



悪性細胞を除去する免疫活性化遺伝情報

2007年08月24日 | 創薬 生化学 薬理学
研究者 瀬谷 司
 所属: 大阪府立成人病センター研究所第6部免疫

報告概要 細胞が死に際し発現するclearanceの遺伝情報は,宿主免疫系を回避して成立したがんを同じ免疫系の標的にしうる。この免疫的clearance促進分子はリンパ球活性化前の基本免疫(inhate immunity)の活性化に関与し,その存在は感染症に伴うがんの自然治ゆ症例などから予測されていたが,,未同定である。本研究の目的は,この悪性細胞の除去と基本免疫活性化を促進する遺伝情報を同定し,その分子機構を解析することである。さらに,抗がん免疫反応における基本免疫の役割を検討した。基本免疫のモジュレータである補体がある種のがん細胞上で活性化することを見い出した。この現象は正常細胞で見られないことから,がんの属性としての性質変化を反映したものと考え,その原因を物質を同定することを試みた。すなわち,ヒト白血病細胞亜株P39(+)から補体によるopsonizationをマーカーとしてclearance促進分子(Ml61Ag)のモノクローナル抗体を得た。M161Agは,正常細胞には存在せず,白血病細胞に検知された。M161Agは,悪性細胞が細胞死のストレス(Fas刺激、X線照射など)を受けた時,高率に同定された(図2)。後の研究からM161Agはマイコプラズマ由来のリポ蛋白質でがん細胞内で効率よく産出されること、この抗原を発現するとふぁん細胞は宿主免疫の標的となることが判明した。この抗原は宿主免疫細胞のToll-like receptor2の特異リガンドである。このToll signalingと補体によって標的細胞が傷害を受けることが判明した。 J-Store >> 研究報告コード R993100477

リンパ球の機能をささえる細胞表面タン白質

2007年08月24日 | 創薬 生化学 薬理学
研究者 小杉 厚  所属: 大阪大学医学部保健学科病態生体情報学科

報告概要 T細胞が抗原を認識した後,それ以上T細胞受容体(TCR)からの情報を受け取る必要がない場合,T細胞はどのようにしてTCRからの情報を制御しているのだろうか?TCRからの情報を抑制する機能を持った新しいT細胞上の細胞表面分子,TSA-1抗原に関して検討した。研究の成果は,
1)マウスリンパ球活性化抗原を認識する新しいモノクローナル抗体を作製:TSA-1抗原マウスLy-6関連抗原の一つであり,グルコシルホスファチジルイノシトールアンカー型抗原であることを明らかにした。
2)TSA-1抗原のT細胞における機能的役割,
3)TCRからのシグナル伝達経路を抑制される部位の検討:TSA-1抗原のT細胞における役割を図1にまとめた。
4)TCR分子とTSA-1抗原の物理的会合:ある可溶化の条件にてTCR複合体の一部がTSA-1抗原に共沈することを確認した(図2)。TSA-1抗原による抑制作用機構は図3のように考えられた。 J-Store >> 研究報告コード R993100479

細胞は物質をいかに取り込むか? その仕組みと意義を探る

2007年08月24日 | 細胞と再生医療
研究者 佐藤 智 所属: 京都大学理学部

報告概要 細胞の物質取込みに重要な役割を演じるエンドサイトーシス(E)の機能(図1)を考察し,Eを制御する方法を開発することにより,物質の取り込みによる「細胞と情報」の意義の研究を提案した。Eの制御には,膜を動かす仕組みとそれが一つの活動に組織だてられている様子を理解することが必要である。Eが,外部の特定な刺激によってのみ起こるのではない自発的な活動であり,そのシグナルは細胞自身がつくると考えた。Eは,ある蛋白質が脱燐酸化すると盛んになり,Caイオンを直接用いないで燐酸化された蛋白質がEを高めるという2つの異なる機構が細胞内にあることを強く示唆した(図2,図3)。受容体に媒介されないEがイノシトール燐脂質の燐酸化代謝回転に依存して起こることを示した。新たなEの意義である,細胞が2つの経路により環境中の液と溶け込んでいる物質を取り込んでいるのは何故か。エンドソームに水素や他のイオン,水の動きを制御する新たな機構があることに注目している。J-Store >> 研究報告コード R993100480

老化とD‐アミノ酸 白内障根絶へ向けて

2007年08月24日 | 医療 医薬 健康
研究者 藤井 紀子
 所属: 通産省工業技術院生命工学工業技術研究所生体情報部神経情報研究室

報告概要 老人の水晶体主成分のαA,αBクリスタリンに部位特異的に存在するD-アスパラギン酸について,その存在に至るまでの機構の解明と機構過程の制御を白内障治療へのてがかりとすることを目的として検討した。5員環イミドを中間体とした反応機構(図1)を提唱した。αAクリスタリンと同一配列の合成ペプチドを用いた実験でアミノ酸残基の配列部位により,ラセミ化や異性化が起こらないことがわかった(表1,2)。前記部位特異的反応を誘発するものとして,6周令のラットの水晶体の組織培養でUV-B(Max312nm)を照射することで,αA-クリスタリンのAsp-151残基にのみラセミ化と異性化が見られた。今後,α-クリスタリン大量発現系の構築や前記ラセミ化や異性化の制御について,D-アミノ酸を分子指標として検討する。J-Store >> 研究報告コード R993100829