バイオの故里から

バイオ塾主宰・Dr.Kawanoの日々、収集している情報(DB原稿)をバイオ塾メンバー向けて公開しています。

「酸性飲料有害菌Alicyclobacillus属細菌のgyrB遺伝子に基づく検出

2007年04月05日 | 菌類 細菌
Alicyclobacillus (アリサイクロバチルス)属細菌は、グラム陽性、好熱性( 20-70℃で生育可能:至適45-65℃)、好酸性(pH2-6で生育可能:至適pH3.5-5.0)、好気性の有胞子細菌です。土壌を主たる生息域としますが、一部の菌種( A. acidoterrestris :アシドテレストリス)が原料やラインの二次汚染から酸性飲料等に持ち込まれ、生育すると、薬品臭(グアイアコール:正露丸のような臭い)を発生するため、飲料製造上の有害菌として問題視されています。近年、この菌の検査法が(社)日本果汁協会により開発されましたが、4-12日間の増菌培養を介さなくては検出が難しいため、企業に負担を強いているのが現状です。最終鑑別法には、生育温度差に基づく方法(所要時間:20時間)とグアイアコールの検出(所要時間:3-24時間)に基づく方法がありますが、前者は人為差が生じ、後者は菌種の特定ができないのが難点です。 http://genome.e-mp.jp/seminar/20060624/interview1.html

【Alicyclobacillus 属関連資料】
 1982年に、無菌充填された透明リンゴ果汁飲料が製品の保存・流通時に異臭と濁りを伴って変敗するといった事故が西ドイツで起こった。これは、現在、アリサイクロバチルス・アシドテレストリス(Alicyclobacillus acidoterrestris)(以下、A. acidoterrestrisとも記載する)として知られている細菌が市販の飲料で引き起こした初めての変敗事例である(Cerny et al., 1984)。その後、アメリカ、オーストラリア、ブラジルなど、様々な国でこの細菌に関する報告がされてきている。日本では1991年に丹羽らによって報告された輸入透明リンゴ果汁から分離された耐熱性好酸性菌(後に新種A. maliとして報告されている)を皮切りに(丹羽ら、1991)、アリサイクロバチルス(Alicyclobacillus)属細菌による変敗、分離、制御、検出などに関する報告が幾つかされてきている。1990年代後半までは、それほどAlicyclobacillus属細菌が問題視されることは多くなかったが、近年、特に日本を中心としてAlicyclobacillus属細菌による汚染の問題がクローズアップされてきている。その理由としては諸説有るが、少なくとも検査法や分析技術の向上によりAlicyclobacillus属細菌の汚染が表面化してきたこと、およびこれまで以上に安全な製品を提供したいといった意識の高まりによるものであることは間違いのないことである。このような背景のもと、食品、特に飲料メーカーを中心としてAlicyclobacillus属細菌対策に着手してきており、各社の汚染事故防止に効果を挙げてきている。
 しかしながら、業界としてみれば相変わらずAlicyclobacillus属細菌に悩まされており、一刻も早い汚染防止策の確立が待ち望まれている。また、ここ数年の内にAlicyclobacillus属細菌に関する情報が多数蓄積され、変敗の主原因である異臭(グアイアコール)を産生する菌種がアリサイクロバチルス・アシドフィルス(A. acidiphilus)、A. acidoterrestrisおよびアリサイクロバチルス・ハーバリウス(A. herbarius)であることが分かってきている。しかしながら、A. acidiphilusやA. herbariusが分離されることは極めて稀で、従って食品業界に於けるターゲット菌種はA. acidoterrestrisであるとされている。
 Alicyclobacillus属細菌は温度域20~70℃(至適生育温度:40~60℃)、pH域2~6(至適生育pH3.5~4.5)で生育することができ、また微量の酸素でも生育することができる(絶対好気性)。しかしながら、これら以外の性状に関しては、非常に菌種レベルあるいは菌株レベルで性状が異なり、種レベルでの共通性状を見いだすことは難しく(多くのバラエティーが存在する)、それぞれの菌種を同定するためには遺伝子レベルの解析が不可欠である。このようなバラエティーの多さは本属細菌を同定することが難しいことを如実に物語っている。
 他方、Alicyclobacillus属細菌は土壌を主な生息域としているが、二次汚染的に果実、液糖、ハーブなどから分離されてきている。分離される頻度としてはA. acidocaldariusとアリサイクロバチルス・ゲノミック・スピーシーズ(Alicyclobacillus genomic species)が最も多く、次いでA. acidoterrestrisで、その他は極めて低い頻度である。しかしながら、上記三種をはじめとしてAlicyclobacillus属細菌の生息域は基本的に同じと考えられており、従ってターゲット菌種であるA. acidoterrestrisをその他のAlicyclobacillus属細菌と見分ける方法が不可欠である。
 このような背景のもと、下記の特許文献1には、16S rDNA塩基配列の部分領域を用いてAlicyclobacillus属細菌を同定する手法が記載されている。本手法では、Alicyclobacillus属細菌の部分16S rDNA塩基配列を決定し、データベースとの相同性検索によって菌種を決定する。しかしながら、本手法は幅広い細菌に応用することを目的としているため、結果を得るために数日要し、また高額かつ特殊な機械を必要とするため、迅速性が求められる品質管理の現場では活用が難しいのが現状である。出典:特許公開2005-46035 (三井農林株式会社&海洋バイオテクノロジー研究所)

茶ポリフェノール組成物及びその製造方法

2007年04月05日 | 生薬・植物成分と薬効 漢方
出願番号 : 特許出願2004-214370 出願日 : 2004年7月22日
公開番号 : 特許公開2006-36645 公開日 : 2006年2月9日
出願人 : 三井農林株式会社 発明者 : 原 征彦 外1名

発明の名称 : 茶ポリフェノール組成物及びその製造方法

【課題】 カテキン類が高純度含有されているにもかかわらず、苦味、渋味が緩和されている茶ポリフェノール組成物を提供すること。
【解決手段】 (A)カテキン類を85~95重量%含有し、(B)カテキン類中に、エピガロカテキンガレート及びガロカテキンガレートを65~80重量%含有し、(C)(エピガロカテキンガレート+ガロカテキンガレート)/(エピカテキン+カテキン+エピガロカテキン+ガロカテキン+エピカテキンガレート+カテキンガレート)で表される比率が2~4である、茶ポリフェノール組成物を提供する。

3-アシル化フラバン-3-オール類有効セブンとするDNA合成酵素阻害剤

2007年04月05日 | 創薬 生化学 薬理学
出願番号 : 特許出願2005-106688 出願日 : 2005年3月7日
公開番号 : 特許公開2006-249057 公開日 : 2006年9月21日
出願人 : 三井農林株式会社 発明者 : 中島 範行 外2名

発明の名称 : DNA合成酵素阻害剤

【課題】 3-アシル化フラバン-3-オール類を用いたDNA合成酵素阻害剤を提供すること。
【解決手段】 DNA合成酵素阻害作用を有する物質3-アシル化フラバン-3-オール類は特に哺乳類由来のDNA合成酵素を選択的に阻害し,アシル基(ガロイル基は除く)の炭素鎖長が長い程、その活性が強いことを見出した。したがって、本3-アシル化フラバン-3-オール類は、DNA合成酵素阻害剤として食品や医薬品等へ利用可能である。

インターロイキン6産生抑制剤及び皮膚肥厚抑制剤

2007年04月05日 | 生薬・植物成分と薬効 漢方
出願番号 : 特許出願2005-248185 出願日 : 2005年8月29日
公開番号 : 特許公開2007-63154 公開日 : 2007年3月15日
出願人 : 株式会社コーセー 外1名 発明者 : 三谷 紘明 外3名

発明の名称 : インターロイキン6産生抑制剤及び皮膚肥厚抑制剤

【課題】紫外線照射に起因する表皮細胞由来のインターロイキン6の過剰な産生を有効に抑制するインターロイキン6産生抑制剤、及びこれを有効成分とする皮膚肥厚抑制剤を提供する。
【解決手段】紫外線照射に起因する表皮細胞由来のインターロイキン6の過剰な産生を抑制するためのインターロイキン6産生抑制剤であって、カテキン類を有効成分とすることを特徴とするインターロイキン6産生抑制剤である。このカテキン類は、エピガロカテキンガレート、(+)カテキン、エピカテキン及びエピガロカテキンから選ばれた一種又は二種以上が好ましい。更に、このインターロイキン6産生抑制剤を有効成分とする皮膚肥厚抑制剤である。このインターロイキン6産生抑制剤は、紫外線照射によって生ずる表皮細胞由来のインターロイキン6の過剰な産生の抑制を目的とする化粧品や医薬品等に利用できる。

フコース含有オリゴ糖又はその組成物の製造法及びフコース含有オリゴ糖又はその組成物

2007年04月05日 | 健康・栄養機能性成分
出願番号 : 特許出願平11-159715 出願日 : 1999年6月7日
公開番号 : 特許公開2000-351790 公開日 : 2000年12月19日
出願人 : 焼津水産化学工業株式会社 発明者 : 坂井 和男 外2名

発明の名称 : フコース含有オリゴ糖又はその組成物の製造法及びフコース含有オリゴ糖又はその組成物

【課題】 食品、試薬類や医薬品原料として用いることのできるフコース含有オリゴ糖又はその組成物を効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】 ナガマツモ科(Chordariaceae)又はモズク科(Spermatochnaceae)の海藻から抽出して得られるフコイダンを酸加水分解後、例えば脱色、脱塩し、陰イオン交換樹脂、活性炭、NH2カラム等のクロマトグラフィーなどの手段で分離精製することにより、特定のフコース含有オリゴ糖、又はそれを含有するオリゴ糖組成物を得る。原料の海藻としては、モズク科に属するモズク(Nemacystis decipiens (Suringar) Kuckuck)が最も好ましく用いられる。

糖鎖含有キトサン誘導体及びグリコサミノグリカンを含有する医療用組成物

2007年04月05日 | 細胞と再生医療
出願番号 : 特許出願2003-315890 出願日 : 2003年9月8日
公開番号 : 特許公開2006-347883 公開日 : 2006年12月28日
出願人 : 株式会社ネーテック 発明者 : 石原 雅之 外4名

発明の名称 : 糖鎖含有キトサン誘導体及びグリコサミノグリカンを含有する医療用組成物

【課題】 難治性創傷の治癒を積極的に促進する機能を有し、血管新生及び組織再生を促進すると同時に癌化などの副作用を生じる危険のない医療用組成物を提供する。
【解決手段】 糖鎖含有キトサン誘導体及び酸性多糖類から形成されるハイドロゲルに創傷治癒促進薬を担持せしめてなることを特徴とする医療用組成物。この糖鎖含有キトサン誘導体は、キトサン骨格のアミノ基の少なくとも一部に還元性末端を有する糖類を導入してなるものが好ましく、酸性多糖類は過ヨウ素酸酸化ヘパリン等のグリコサミノグリカン類が好ましく、創傷治癒促進薬は細胞増殖因子が好ましい。

真菌免疫調節タンパク質の使用

2007年04月05日 | 菌類 細菌
出願番号 : 特許出願2006-256232 出願日 : 2006年9月21日
公開番号 : 特許公開2007-84547 公開日 : 2007年4月5日
出願人 : 益生生抜▲開▼▲発▼股▲フン▼有限公司 発明者 : ツー-チー・シェン 外1名

発明の名称 : 真菌免疫調節タンパク質の使用

【課題】本発明は、免疫治療または血中グルコースの減少のための、
配列番号1
MSDTALIFRLAWDVKKLSFDYTPNWGRGNPNNFIDTVTFPKVLTDKAYTYRV
AVSGRNLGVKPSYAVESDGSQKVNFLEYNSGYGIADTNTIQVFVVDPDTNND
FIIAQWN
または
配列番号3
SATSLTFQLAYLVKKIDFDYTPNWGRGTPSSYIDNLTFPKVLTDKKYSYRVVV
NGSDLGVESNFAVTPSGGQTINFLQYNKGYGVADTKTIQVFVVIPDTGNSEEYI
IAEWKKT
のアミノ酸を有する真菌免疫調節タンパク質の使用に関する。
【解決手段】前記本発明の使用は、Ganoderma種、Flammulina velutipes、または組換え微生物(例えば、組換えEscherichia coli または酵母)より得られ得る。

骨髄異形成症候群を治療および管理するための免疫調節化合物の使用方法

2007年04月05日 | 医療 医薬 健康
出願番号 : 特許出願2006-278102 出願日 : 2006年10月11日
公開番号 : 特許公開2007-45839 公開日 : 2007年2月22日
出願人 : セルジーン・コーポレーション 発明者 : ゼルディス,ジェローム,ビー.

発明の名称 : 骨髄異形成症候群を治療および管理するための免疫調節化合物の使用方法およびそれを含む組成物

【課題】骨髄異形成症候群を治療、予防または管理する方法の提供。
【解決手段】免疫調節化合物、またはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接化合物、もしくはプロドラッグを単独で、あるいは第2の有効成分、および/または血液もしくは細胞の移植と組み合わせて投与することを包含する。特定の第2の有効成分は、血球形成に作用し得る。また、本発明の方法での使用に適した医薬組成物、単一用量剤形、およびキットも記載する。

腫瘍の診断と治療のための組成物と方法

2007年04月05日 | 創薬 生化学 薬理学
出願番号 : 特許出願2006-252159 出願日 : 2006年9月19日
公開番号 : 特許公開2007-77155 公開日 : 2007年3月29日
出願人 : ジェネンテック・インコーポレーテッド 発明者 : アシュケナジ,アヴィ,ジェー. 外8名

発明の名称 : 腫瘍の診断と治療のための組成物と方法

【課題】癌細胞、特に乳癌、肝癌、肺癌又は胃癌細胞の増殖を阻害し、腫瘍の治療および診断に有用な組成物の提供。
【解決手段】特定のアミノ酸配列、あるいは該配列に一ないし幾つかのアミノ酸の置換、欠損あるいは付加を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドは、乳癌、肝癌、肺癌又は胃癌細胞で過剰発現しており、該ポリペプチドと結合して効果を発現する治療的有効量の抗体(特に、モノクロナール抗体、抗体断片、キメラ抗体、ヒト化抗体)を含有する医薬。さらに該抗体に細胞毒性剤(例えば、メイタンシノイド、カリチェアミシン)とコンジュゲートしている医薬。また、該抗体を用いて、腫瘍の存在を診断する免疫組織化学分析的手段を含むキット。

分化誘導を介した制ガン機能物質

2007年04月05日 | 菌類 細菌
上西 秀則 (福岡歯科大学) 

技術概要 20世紀初頭にパスツールやフレミングらにより有用微生物が発見されて以来、とりわけ、医療の分野において抗生物質産生微生物が競って開発され、さらに近年では抗腫瘍性物質を産生する微生物の開発がめざましい。本発明者はヒトに常在する真菌Candida albicans(以下C.albicans)が生育環境に応じて菌の形態を酵母型から菌糸型へ変換させることに着目し、その形態変換の機構を細胞生物学および分子生物学的アプローチにより解析を進めてきた。この研究を行う過程でC.albicans菌体抽出物中に酵母型で増殖中の菌体を菌糸型での増殖にスイッチさせる物質が存在することを予測し、その物質を菌体から抽出することに成功した。得られた物質はC.albicansに菌糸を出現させることを確認した。そこで、C.albicansが真核生物に属することから、菌体抽出物が他の真核生物である哺乳動物に由来する細胞の代謝や増殖に影響をおよぼすのではないかと考えて実験を行った結果、興味ある成績が得られた。得られた物質の性状と機能は以下のとおりであった。1. C.albicansから得られた物質は低分子物質である。水溶性で、中性~酸性環境(pH3.0)において安定。2. ナノグラムオーダーで正常な神経細胞の神経突起を伸長させる。(神経栄養因子としての機能がある) 3. ナノグラムオ一ダーでグルタミン酸添加ストレス状況にある神経細胞の生存期間を延長させる。(神経細胞の保護作用がある) 4.数種の腫瘍細胞の増殖を抑制し、アポトーシスを誘導する。上記の機能を発揮する微生物由来の物質はこれまでに報告がなく、また、既存の薬物とはまったく異なったものと思われ、損傷した中枢神経組織や神経変性疾患の治療における新しい機能物質としての応用が期待される。 J-Store >> シーズコード S040000400