ピーナッツの唄

毎日の出来事や、スポーツ観戦、読書や映画等の感想を中心に、好奇心旺盛に書いています。

「それでも、生きてゆく」で見えたもの

2011-09-19 10:03:35 | TV DVD
 最近のTVドラマでは出色の出来だと、何回か小欄でも書いてきていた「それでも、生きてゆく」のことを書いてみたい。このドラマで14歳の少年Aに、7歳の女の子を殺された母親役を演じた大竹しのぶさんのエッセーを読んだからである。

 このドラマでは加害者の妹(満島ひかり)と被害者の兄(瑛太)の出会いと、お互いに惹かれあいながら結ばれることがなかった経緯だけにどうも目が行きがちだったが、大竹さんの文章を読んでいて、「何故、幼い娘が殺されなければならなかったか」その事実を15年も受け入れられない母親の嘆きと哀しみの物語だったと知った。

 このドラマでも、少年Aは逮捕後は世間から途絶される。犯罪の詳細は一切公開されず、医療センターで治療を続けながらひたすら更生を目指す。この間は家族との交流も出来ずにいる。更生が認められた後は、全くの別人として生きていくことを要求される。

 被害者と加害者の家族の前に現れた少年Aをめぐり、両家族の葛藤が始まる。突然、自分前に現れた少年Aに、何故あの時娘が殺されなければならなかったのか詰問する母親。鬼気迫る大竹さんの演技には身震いする思いであった。

 終盤は自殺を図ろうとする少年Aを助けて警察に自首させる場面、ここでも激高した妹が後ろから飛びつき、首を絞めようとする。それを必死に止める主人公。愛憎を超えた瞬間だったと思う。

 被害者の家族と加害者の家族が、夫々亡き娘の墓参りして和解する場面が印象的だった。「娘に詫びないで下さい。慰めの言葉もいりません。娘は短い7歳の人生でしたが、それなりに生きた人生でしたから」この言葉に、いまはひたすら娘の冥福を祈る母親の心境が見事に表現されている。

コメント (2)
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