茜とグレーのグラデーションが綺麗な雲。
どうも今回の特別展は抜きんでた人気はないらしく、土曜日でもストレスなく観ることができたよ。
夕方から閉館までの時間だったから余計に空いていたと思う。
リピーター割引で、入場券が100円引きになった。
おかわりの目的は、20%彦根屏風、30%若冲おかわり、50%すわべ。
彦根屏風は特段好みではないのだけど、まぁ観ておこうかレベルで。
江戸のパリピの絵なので、風俗を知る意味ではいいのだけど、好みではないのだよねぇ・・・
展示の仕方もイマイチ。
作品内の人物達の視線の流れと鑑賞する客の流れが逆となる位置に置いてあるので、どうしても人の流れが滞ってしまう。
向き合う壁の側の展示にすれば、絵の中の流れと鑑賞する人の流れが同じになってスムーズだったのに。
その代わりと言ってはなんだけど、テーマ『縁先の美人』に展示されてた作品3点がとても気に入ったよ。
こちらも後期のみの展示だったので、この3点を観ただけでもおかわりの甲斐はあった。
3点中2点がトーハク所蔵とのことなんだけど、記憶になかった。
たくさん観ていても知らんもんは知らんのな。
若冲のコーナーでは、探幽には大変失礼&無礼千万ながら、もしも探幽の絵を若冲の偽物として出されたらどこをどう観て判断して偽物と考えるか、というお題の元に鑑賞したよ。
足の鱗の部位による描き方の違い、風切り羽の繊維の描き方の違い、波の描き方の違い、ぱっと見で分かる違いはあれど、では具体的にどの線がどう違うのか、どの塗りがどう違うのか、ちまちま観てちまちま考えながら絵の前を行ったり来たりした。
こういう鑑賞の仕方も、空いているからこそだな。
で、若冲も探幽も素晴らしいという結論。
おかわりの目的の半分を占める音声ガイド。
こちらもリピーター割引で50円引き。
元々はナレーションの人だったんだよね、すわべさん。
だからまぁ上手いだろうことは分かってたんだけど、声がな、たまらんよね。
あの声で「頭から台座に至るまで一本の木で作られています」とか、あの声で「普賢菩薩像を代表する名作です」とか、ひっくり返りそうになってしまったわ。
特に若冲のところは、大好きな画家の絵と大好きな声のコラボだよ、心の中は\ゴロン!ビタン!/だよ。
彼の発声は、母音「あ」の音の気管支を振るわせてるような感じが大好きで、伊勢物語モチーフの作品の解説で「ありわらのなりひら」を連発していて、彼はもう「ありわらのなりひら」を口癖にすれば良いのに。
ただ、ボーナストラックはなー。
なんだろ、映像がないと演技をダイレクトに感じてしまうせいか、演出のせいか、やり過ぎな気がしてしまったよ。
もともと色気のある声だけど、それが前面に出すぎてしまって、クネクネなラテンダンサーみたいな・・・脚本は櫻井さんのと同じだけど、タイプを分けた演技を求められた結果か。
壇蜜っちゃんの演技も前期と違っていて、ツンとした大人っぽい雰囲気。
ボーナストラックに関しては、私は圧倒的に前期の方が好きだな、可愛くて。
名作誕生展、満喫した。
なかなか良い企画だったけど、テーマを3分の2くらいに減らして1テーマの展示数を全体的に増やしても良かったんじゃなかろうか。
それか、全テーマの対象物に共通する横串的なテーマをもっと狭めるとか。
国華の幅広い学術的な面に合わせると、ああなってしまうのかな。
1テーマごとの掘り下げ方に少しだけ物足りなさを感じてしまったけど、これはまぁあくまでも個人的な意見。