【J1:第17節 浦和 vs 鹿島】プレビュー:好発進の浦和は中断明け3連勝を狙う。鹿島は上位戦線に留まるためにも負けられない(14.07.26)
ここまでは順調に来ている。中断前に首位に立った浦和はリーグ再開後の新潟戦、徳島戦で2連勝を飾り、これ以上ないスタートを切った。公式戦8連勝、リーグ新記録となる7試合連続無失点と今の浦和は波に乗っている。
無失点記録を更新するほどの結果を残していることもあり、選手たちは守備に自信を深めている。だが、そういう時こそ、これまで以上に気を引き締めて戦わなければいけない。無失点記録は守備意識を高めるいい刺激となっているが、かといってこだわりすぎるのは危険だ。
サッカーではスーパーシュートが息を呑むようなファインセーブで防がれることもあれば、何の変哲もないシュートがゴールに入ってしまうこともある。どれほど守備の固いチームであっても、いつかは必ず失点する。怖いのは無失点記録が途切れた時に、緊張の糸も切れてしまうことだ。
鹿島戦で記録がさらに更新されるかもしれないし、途絶えてしまうかもしれない。それは神のみぞ知ることだが、実際に途切れた時に集中力を欠くような事態にならないためには、記録が途絶えることも想定して戦うべきだろう。守護神も常に心の準備はしている。
「記録を塗り替えた後が一番大事だと思っている。まず勝つことを考えて、終わった時に無失点であればいいけど、サッカーは失点することもあるし、失点した後が大事だと思う。徳島戦でも最悪の事態を考えて入った」
実際、徳島戦でもちょっとしたミスからピンチになりかけたシーンはいくつかあった。リーグ最少得点の相手の決定力不足に助けられた部分もあったし、守備陣の奮闘や西川のファインセーブで窮地を乗り切ったが、鹿島にはチャンスを見逃さずに決め切れる選手が揃っている。
鹿島は現在、浦和と勝点9差の4位につけている。F東京戦、大宮戦で2試合連続引き分けと、中断明けでスタートダッシュをかけたいところで足踏みを強いられた。特に前節の大宮戦は2度にわたってリードを奪うなど優勢に試合を進め、シュートも相手の倍以上となる22本も放ちながら勝点3を奪えなかったのだから相当に悔しかったはずだ。
浦和との対戦は、上位戦線に生き残っていくために非常に重要な試合になる。首位の浦和にこれ以上引き離されないためにも、この一戦は絶対に落とせない。両者の対決は白熱した展開になることが多いが、今回もヒリつくような戦いになるだろう。
鹿島と対峙する上でやっかいなのはサイドハーフの動きだ。鹿島はサイドハーフが中に入ってマークを撹乱させるのが上手なチームだ。タイミングよくバイタルエリア周りに顔を出し、前を向いてボールを受ける一連の動きは相手からすると非常に嫌らしい。
そして、これまでの浦和はその動きに対応するのがあまり得意でなかった。相手サイドハーフが中に入ってきた時に、ウィングバックが見るのか、センターバックが見るのか、あるいはボランチがケアするのかという受け渡しの部分が曖昧になりがちで、マークが浮いてしまうことがあった。
さらに、その動きに連動してサイドバックが攻め上がってくると、誰が誰を見るのかという判断が難しくなる。元々、今の浦和の守り方だと、構造的に相手サイドバックへのチェックは遅れがちになる。単純にサイドバックをフリーにしてクロスを上げられる分にはまだいいが、中のマークが曖昧なままサイドバックにも揺さぶられるとかなり危険な状況に直面することになる。
鹿島はその連動した仕掛けがうまい。それはサイドハーフの質の高さもさることながら、中途半端なポジションで浮いている彼らや、駆け上がってきたサイドバックにタイミングよくピンポイントのパスを出せる選手──柴崎岳と小笠原満男──が中盤の底にいることも大きい。
ただ、最近の浦和はそういった仕掛けにも、ある程度対応できるようになってきている。だからこそ無失点記録も樹立できた。それに、形は違えど、サイドを絡めたコンビネーションは浦和も得意とするところだ。サイドを巡る攻防はこの試合の見どころに1つになりそうだ。
以上
2014.07.26 Reported by 神谷正明
鹿島のサイドハーフの動きについて警戒する浦和番の神谷氏によるプレビューである。
伝統的にこのポジションに有能な選手を置く鹿島としてはこのストロングポイントを活かしたいところ。
ヤスとカイオがフィジカルとスピードで浦和の選手を上回り、攻撃の要としたい。
変なジャッジさえなければ、問題なく勝てる相手である。
公平な試合で快勝を望む。
良い結果を楽しみにしておる。
ここまでは順調に来ている。中断前に首位に立った浦和はリーグ再開後の新潟戦、徳島戦で2連勝を飾り、これ以上ないスタートを切った。公式戦8連勝、リーグ新記録となる7試合連続無失点と今の浦和は波に乗っている。
無失点記録を更新するほどの結果を残していることもあり、選手たちは守備に自信を深めている。だが、そういう時こそ、これまで以上に気を引き締めて戦わなければいけない。無失点記録は守備意識を高めるいい刺激となっているが、かといってこだわりすぎるのは危険だ。
サッカーではスーパーシュートが息を呑むようなファインセーブで防がれることもあれば、何の変哲もないシュートがゴールに入ってしまうこともある。どれほど守備の固いチームであっても、いつかは必ず失点する。怖いのは無失点記録が途切れた時に、緊張の糸も切れてしまうことだ。
鹿島戦で記録がさらに更新されるかもしれないし、途絶えてしまうかもしれない。それは神のみぞ知ることだが、実際に途切れた時に集中力を欠くような事態にならないためには、記録が途絶えることも想定して戦うべきだろう。守護神も常に心の準備はしている。
「記録を塗り替えた後が一番大事だと思っている。まず勝つことを考えて、終わった時に無失点であればいいけど、サッカーは失点することもあるし、失点した後が大事だと思う。徳島戦でも最悪の事態を考えて入った」
実際、徳島戦でもちょっとしたミスからピンチになりかけたシーンはいくつかあった。リーグ最少得点の相手の決定力不足に助けられた部分もあったし、守備陣の奮闘や西川のファインセーブで窮地を乗り切ったが、鹿島にはチャンスを見逃さずに決め切れる選手が揃っている。
鹿島は現在、浦和と勝点9差の4位につけている。F東京戦、大宮戦で2試合連続引き分けと、中断明けでスタートダッシュをかけたいところで足踏みを強いられた。特に前節の大宮戦は2度にわたってリードを奪うなど優勢に試合を進め、シュートも相手の倍以上となる22本も放ちながら勝点3を奪えなかったのだから相当に悔しかったはずだ。
浦和との対戦は、上位戦線に生き残っていくために非常に重要な試合になる。首位の浦和にこれ以上引き離されないためにも、この一戦は絶対に落とせない。両者の対決は白熱した展開になることが多いが、今回もヒリつくような戦いになるだろう。
鹿島と対峙する上でやっかいなのはサイドハーフの動きだ。鹿島はサイドハーフが中に入ってマークを撹乱させるのが上手なチームだ。タイミングよくバイタルエリア周りに顔を出し、前を向いてボールを受ける一連の動きは相手からすると非常に嫌らしい。
そして、これまでの浦和はその動きに対応するのがあまり得意でなかった。相手サイドハーフが中に入ってきた時に、ウィングバックが見るのか、センターバックが見るのか、あるいはボランチがケアするのかという受け渡しの部分が曖昧になりがちで、マークが浮いてしまうことがあった。
さらに、その動きに連動してサイドバックが攻め上がってくると、誰が誰を見るのかという判断が難しくなる。元々、今の浦和の守り方だと、構造的に相手サイドバックへのチェックは遅れがちになる。単純にサイドバックをフリーにしてクロスを上げられる分にはまだいいが、中のマークが曖昧なままサイドバックにも揺さぶられるとかなり危険な状況に直面することになる。
鹿島はその連動した仕掛けがうまい。それはサイドハーフの質の高さもさることながら、中途半端なポジションで浮いている彼らや、駆け上がってきたサイドバックにタイミングよくピンポイントのパスを出せる選手──柴崎岳と小笠原満男──が中盤の底にいることも大きい。
ただ、最近の浦和はそういった仕掛けにも、ある程度対応できるようになってきている。だからこそ無失点記録も樹立できた。それに、形は違えど、サイドを絡めたコンビネーションは浦和も得意とするところだ。サイドを巡る攻防はこの試合の見どころに1つになりそうだ。
以上
2014.07.26 Reported by 神谷正明
鹿島のサイドハーフの動きについて警戒する浦和番の神谷氏によるプレビューである。
伝統的にこのポジションに有能な選手を置く鹿島としてはこのストロングポイントを活かしたいところ。
ヤスとカイオがフィジカルとスピードで浦和の選手を上回り、攻撃の要としたい。
変なジャッジさえなければ、問題なく勝てる相手である。
公平な試合で快勝を望む。
良い結果を楽しみにしておる。