会計スキル・USCPA

会計はビジネスの共通語。一緒に勉強しましょ。

日本問題  世界のグル 大前研一 

2011-04-06 07:02:01 | 政治

さすが世界のグル。原発問題を綺麗に整理してくれてました。歯切れも良いし、明確で、あいまいな言い方をしないで、間違っていれば言い逃れできないところでお話をされています。こういう姿勢はフェアだと思うんですな。

大前さんが、電力は垂直統合をやめて、他の先進国のように自由化せよ、とおっしゃる時に、

いろんな業者が参入してきて、
電力も安くなったり(あるいは高くなったり)
電力を選べたり

と、なんとなく、世界が広がる感じがしますね。失敗するかもしれないけど、前に進む感じが出てきます。こないだテレビでドイツのことをやっていて、消費者はどこから電力を買うかが選べるようになっていて、原発に反対の人は、原発を持っていない業者から電力を買うようなシステムができているんですね。

こういう議論をする場合、あれやこれや問題を並べて、反対論が噴出するんでしょうが、反対論の基本形は、

管理が難しくなる

という官僚原理でしょうな。

いろんな業者が入ってくると、わけがわからなくなる。
今なら、東電を押さえておけば全てまとまるのに
海千山千だと、管理できない。
わけわからない奴らが、好き勝手なことを言い出すんだぞ、


自由化して混乱したら、あんた責任とれるのか

という質問がでた時点で、すくんでしまうわけですな。

経済的なリスクがいろいろあって、垂直統合の方が合理的だ、とかいう理屈は付け足しで、本当は管理しにくい、というのが日本で自由化が進まない理由じゃないでしょうかね。


大前さんが、福島の農産物の出荷停止のかけ方がまずい、一旦規制してしまうと、日本の当局者は規制を外した場合のリスクにすくんで、外せなくなってしまう、と指摘されてましたが、中央官僚制が行き過ぎると完全に管理できない領域には一歩も進めなくなってしまうんですね。日本じゃ試行錯誤が許されず、一回失敗したら奈落の底、死も考えねばならない、みたいなハナシとも関係あるかも知れませんな。

ロンドンエコノミストが日本の機能不全について何度も指摘しているハナシでもありますね。

原発のハナシとは別に、日本問題について大前さんが講演されてます。いろんな本に書かれているハナシですが、この講演は分かりやすくてお得感があります。


日本経済メルトダウンの危機!大前研一 家計と個人消費の現状


ちなみに、最初にデモグラフィについても話されてますが、講演では出てきません。話すの忘れましたかね。



東電はどうなるのか。世界のグル 大前研一

2011-04-05 07:01:49 | 政治
世界のグル大前研一氏登場。
まず、エコノミスト誌です。

Plutonium and Mickey Mouse

東電の問題や、こうした問題が発生する背景について記したきじなんですが、グルのコメントが紹介されています。

“This company is really rotten to the core,” says Kenichi Ohmae, a management consultant and former nuclear engineer. He blames TEPCO for storing too much spent fuel on the site; for placing too many reactors in the same place (there are six in the Fukushima Dai-ichi plant and seven in a nuclear complex on an earthquake fault-line in Niigata); and for not having enough varied sources of power.

この会社は根っこまで腐ってる。コンサルタントで元原子力技術者だった大前研一氏はこう述べた。東電はそこで保管している使用済み燃料が多すぎる。同じ場所に原子炉も多すぎる。複数の十分な発電手段を持っていない。

ということなんですが、グルが、東電の将来について述べられていて、ネットに動画が上がっています。

いろいろいちいちごもっともですが、

福島原発 政府、東電の対応と東北再生のシナリオ(大前研一ライブ)



27分あたりですが、東電はGM型の破綻処理をせざるを得ないとおっしゃっています。原子力発電所は民間じゃ無理で、政府が運営。東電は配電会社として再発足させるしかない、とか。

東電の株価はひどく落ちてて地震前の4分の1ってとこですが、東電だったら安心、ということで持ってた個人や機関はかなりやられているんでしょうな。お年寄りなんかも持っていたに違いありませんな。

果して、グルのおっしゃる通りになってゆくんでしょうか。

日本のリーダーシップクライシス ロンドンエコノミスト

2011-04-03 18:10:29 | ロンドンエコノミスト
今回の政府の震災への対応について,ロンドンエコノミストが例によって辛口コメントを寄せています。

被災者が,この悲惨に対してストイックに対応していることを賞賛する一方で,政府の対応が依然として不十分だ,とかいうハナシです。神戸の震災の時よりずっとマシとかいう評価もあるが,それは評価のバーが低すぎる,として,


A crisis of leadership, too


Yet, this month’s disasters underscore how much more the system still needs to change―along with the politicians guiding it. For one, the fiasco at Fukushima Dai-ichi has revealed, again, the cosy ties between the nuclear industry and government. Together, they have stifled debate, covered up bungles and made assumptions about risks that were too optimistic. The crisis management at TEPCO, the plant’s owner, has laid bare an astounding lack of leadership. “What the hell’s going on?” Mr Kan demanded at one point.

この震災で,どれだけ,システムの変化が求められているかがわかる。福島第一の失敗は,政府と原子力産業の癒着を明らみに出した。両者間での議論はストップさせて、失態を隠しリスクは過小に見積もられた。原発のオーナーの東京電力はリーダーシップが欠如していることをさらけ出した。いったいなにがどうなっているんだ,菅氏は、あるときそうどなった。

The same might be asked of the operation to get help to the tsunami victims. For all that Mr Kan has attempted to be seen at the front, in Tokyo the sense of a looming humanitarian crisis in the north has been slow to sink in. That is partly because nuclear worries have absorbed much of the government’s attention. Few politicians in a centralised system have bothered to travel north themselves. The media, taking their cue from the Tokyo establishment, have not thought properly to report the unfolding struggle for food and fuel.

このことは,津波の被災者に対する救済オペレーションについても当てはまる。
菅氏は前線に立っていると見られようと努力しているにかかわらず,東京では北方で人々が危機にあると感知されるのに時間がかかってしまった。一部には原発危機が政府の関心を奪ってしまったということもある。中枢に位置する政治家たちはほとんど自分で北方に行こうとはしなかった。東京のメディアも食料と燃料が不足していることが明らかになっていることを報じようと、適切に考えることは無かった。


Yet businessmen and victims say supplies are being held up as bureaucracies fall back on tired old rules and straitjacket procedures. Lorries full of supplies have been unable to get petrol on the empty expressway north, reserved for “emergency” vehicles. While this severe shortage of fuel spread through northern Japan, oil companies were sitting on huge supplies which by law they had to keep in reserve. If ever an occasion for their use was justified, it was this catastrophe. Yet the government took ten days to beg for (not order) their release. From the start, Mr Kan should have declared a state of emergency. Even now, clear lines of authority for handling the many-headed crisis have not been properly established.

実業界や被災者は,古びたルールや,過剰に細かい手続きに縛られて官僚達が動けず,救援物資が滞ってしまったと話している。満タンにしたタンクローリーは、高速道路が救急車両のために通行止めになっていて北に向かうことができなかった。北日本で激しい石油不足が生じている時に,石油会社は法律で定められた巨大な備蓄石油を持ったままだった。備蓄石油を使うとしたら,この災害時でなくてなんだというのか。政府は備蓄石油の放出をお願いするのに10日も要した。命じるのでなくお願いしたのだ。初めから菅氏は緊急事態宣言をするべきだった。今をもってなお,同時多発のこの危機を対処する的確な指揮命令系統が確立していない。


Stoicism―however good for coping with adversity―is bad for bringing on change. Time for the Japanese to unleash some righteous anger on a system that has let them down.

この不幸な災害に対処するためにストイシズムは良いことだが,変化をもたらすためには良くない。日本人は自分達を犠牲にしたこのシステムに対し,正しく怒りを解き放つべきである。

というわけですな。いつもながら,厳しいご指摘ですが,被災地でガソリンが足りないのが,実は過剰規制のためだ,としたら,これは怒って当然ですな。東北自動車道を一般車両が通れるようになりました,というニュースが出る前はタンクローリーも通ることができなかったということなんでしょう。備蓄開放もそういうことが終わってようやく,って感じで,まさに東京の鈍い動きが被災者の悲惨を拡大しているということになりますね。

ハリウッドのパニック映画を観ていると,道路を規制している地方の警察なんかがいて,ここは通行止めだ,みたいなことをドライバーが言われるシーンが出てきます。すると,ドライバーは,これには救助物資が積まれているんだ,通してくれ,と警官に話す。

よし,通せ,

という具合に進んでいって,誰も疑問も思わないし,当たり前だと思うんですな。現場にその程度の判断を普通にさせているとも言えますね。

日本じゃ,パニック映画をリアルに撮ると,ドタバタになっちゃいますな。

救助物資を運んでいるんだ,

一般車両は通れません。

救助物資を運んでいるんだと言ってるだろう

今は車両規制がかかっているんで解除になるまで待ってください。

って感じでしょうかね。

待ってる間に,主人公の家族は飢えと寒さで死んじゃって,日本政府への逆恨みで主人公はテロリストになって・・・,みたいな,全く違うハナシになってしまいそうですな。

被災者にとっては,笑い事じゃないんで。

やはり過度な官僚制は改善する必要があるし,東京中心主義ではなく,現地なり,現場に裁量を大きく移して行くということが大事だと思えるんですな。