会計スキル・USCPA

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ヒューストンの危機対応 アボロ13

2011-04-09 11:09:23 | 政治
このにっちもさっちも行かなくなった原発事故の対応を考えた時に、じゃあ、どうすりゃよかったのよ、というモデルが必要だと思うんですが、一番最初に思いつくのは、

これですな。


Apollo 13 - Houston, We've Got A Problem


アポロ13.

月面着陸任務で、打ち上げられたのは良かったんですが、途中で爆発事故が起きて、任務を中断して帰ってくることになったわけですな。

想定外の事故が起きたわけで。

即座に月面着陸任務を放棄する決断をして、

飛行士達をどうやって無事に地球に戻すかに集中することになったんですね。

原発事故で言えば、原子炉を廃炉にするか、そのまま生かすか、事故の状況をみて瞬時に判断できたかどうかですな。グルによれば、東電幹部には原子力の専門家は居なかったそうなので、その判断は難しかったんじゃないですかね。それに廃炉することのロス-単に発電量が減るだけでは済まない-を考えれば、影響が大きすぎて、そんな選択が簡単にできるわけもないですな。政府と相談しよう、いやまて、どう説明するんだ、とかやってると何日もかかりそうですな。

民間企業にまかせっきりにしていることが批判の対象になっているのもそういうことなんでしょう。グルが、原発は民間で運営するのは無理だとおっしゃるのも、それですな。なんかあったら、即、会社の命運と、公共責任につながってしまって、民間では責任のとりようがない。

それと、もうひとつのポイント。

衆知を集める。

ヒューストンではメーカーの技術者もかき集めて、事故の対応をやってます。船内の二酸化炭素濃度が上がってしまったんで、下げる対応をしているのが、動画の最後の方に出てますが、船内にある物資をやりくりして、フィルターを作る方法をヒューストンで考え出して、クルーに伝えてます。一刻を争う中で、こういう柔軟な対応をして、アイディアを出し合って最善を尽くす体制ができているんですね。

メーカー技術者を出入りの業者扱いして、お前らなんとかしろ、では、まあ、無理ですな。


日本は先の戦争で、戦術も戦略も一本調子で変更がきかずに負けてしまった、みたいなハナシを思い出すんですな。米国はマッカーサーの三段跳び先方のように、やり方を進化させ、VT信管みたいな技術も開発してやってきているのに、対応できずにむざむざとやられて、みたいなやつですね。

そもそも、現場情報を活用できないので、相手の戦法が変わったり技術レベルが上がっていることさえ気が付いていなかった、と小室直樹先生が書いていらっしゃったような記憶もあるんですな。

いろんなアイディアを取り込んで、瞬時に解決、なんて、とっても難しそうですな。文句の出そうなところに根回ししたり、リスク回避で無駄なチェックを何重にもかけてしまいそうで。場合によっては、アイディアを出した人間に責任が降りかかってくるので、うかつにアイディアを出すことも憚られるんで。

お笑いっぽくなってきましたが、お笑いにするには影響が悲惨すぎますな。

もう一点。

情報開示とチームワーク。

この動画をみてお分かりの通り、ヒューストンの管制塔と、アポロ13、NASAのプレス発表の様子が交互に流れてますが、綺麗につながってますな。その時点での映像をつなげていけば、そのままストーリーになってゆく感じです。もちろん後付けでつなげている部分も大いにあるでしょうが、基本的にはうまく流れてますな。

今回の原発事故をドキュメンタリーにしたら、結構お笑いでしょう。

官邸には官邸の現状認識があって、
経産省には経産省の現状認識があって、
東電は東電の現状認識があって、
メディアはメディアの現状認識がある。

それぞれ説明しないと、そのままの様子を映像で流しただけでは、つながってきませんな。

ちょっと想像してみるに、


原発現場では、決死の状況で既に大事故を覚悟していて、本社にもそう報告しているところで、

東電の東京本部では、原発の一所長の報告だけで、会社を危機に追い込んでいいかどうか逡巡、一体何が起こっているんだ、もっと情報を集めろということになって右往左往。

福島第一と東京の距離は、月よりも遠い。
責任・責任・責任、で、事故対応より保身の優先順位が高くなってます。

官邸では全てコントロール下にあります、と記者会見したりして、

そのまま映像でつなげると、同時期のものでも、説明無しで見ている人には時間軸が全く分からなくなってしまう。

時間が前後飛びすぎじゃないのか、いや同時期なんですよ、みたいな。

NASAだって国家の官僚組織ですが、あれだけ柔軟に対応しているんですな。やっぱ、仕組みが悪いんでしょう。日本は平和を愛するから戦争しちゃいけない、というより、弱い相手にも大負けしそうだからやめとけって感じですかね。原発とか、危ないものも持っちゃいけないんでしょうな。

連絡や情報共有が甘いのは、対策本部が東京にあるから、に尽きるんでしょうがね。おそらく、オーナー社長なら、被ばく覚悟で現場に行って、そこであれこれ指示を出すんでしょう。全員が行かなくても幹部がいけば、わけがわからないみたいなことは無い。たとえシロート社長だったとしても方向が出ないとか、情報がないからよくわからない、てんでばらばら、みたいなピンボケは無くなりますな。

そもそも社長は入院してて、いないって問題もあるんですがね。