これまでフォローしてきた、ホンデュラスのチャーターシティについてなんですが、
ホンジュラスのチャーターシティ その2
国際通貨研究所から、レポートが出ています。
チャーター・シティ~究極の途上国問題解決策?:国際金融トピックスNo.219
これまでのハナシをまとめたような内容で、特に何かを付け加えているという文章ではありませんが、最後に設置法の概要がついています。
(図表 1)
ホンジュラス: 特別開発地区 設置法 概要
〈Constitutional Statute of the Special Development Regions(RED’s)July 29, 2011〉
(出所)RED公式サイト掲載の設置法(非公式英訳版)を要約
第1章 基本原則(General Principles)
REDの目的:技術力向上による高付加価値生産の実現/高成長に必要な国内外からの投資誘致を確保するための安定した環境・透明度の高い規則を提供/雇用拡大を通した社会公正の実現/生活の質向上のために教育、保健、治安、インフラを提供
RED:独自の行政、立法、司法機能をもつ自治体/通商関係の国際協定を締結できる/独自の警察を持つ(他国・地域と協力協定を締結できる)/居住自由
第2章 REDとホンジュラスの他の機関との関係(Relationship between the RED’s and the rest of the country’s authorities)
RED域外の国内外の当局はREDの領域事項に介入できない/RED内の公共事業はREDのみが契約主体になれる/RED設置法はホンジュラス国会の3分の2以上の賛成あってはじめて修正できる/REDの裁判官指名にはホンジュラス国会の3分の2以上の賛成が必要/他の国・地域の裁判所に裁判機能を委託できる(そのための協定を締結できる)/REDとホンジュラス当局との間の係争の解決は仲裁による
第3章 居住者の基本的権利と義務(Fundamental rights and duties of residents)
RED:居住者、滞在者に対する人権保障義務/集会のための公共スペース確保、公共サービス、メディア確保義務/居住者とRED内居住にかかる取極めを結ぶ権限を有する
居住者:法令等順守義務
第4章 政治構造(Political Structure)
第1節 Transparency Commission(TC):
Governorの指名、解任/Governorの行為の承認、否認/Audit Committeeメンバーの指名、解任/裁判官候補リスト策定のための特別委員会メンバー指名/TCメンバーの欠員補充/その他RED設置法で定める事項
第2節 Governors:
REDの最高執政官、法的代表権者、TGに対して責任をもつ/ホンジュラス国籍保持者のみ/TCが指名(最初は大統領が指名)/任期7年/TCに対する個人資産申告義務/
第3節 Audit Committees:
TCに対して責任を持つ/3名/国会、TCに年次監査報告書提出/TCは国際的監査会社と契約できる
第4節 Normative Councils(NC):
国会承認事項以外の法案を承認する立法機関/各REDに設置/RED永住者によって構 成(ホンジュラス国籍なくてもよい)/自由選挙によって選出(TCが定める人口・経済レベルに達した後に発足。それまでは、各REDのGovernorが代行。その場合、TCが指名するConsultative CouncilがGovernorに対し拒否権行使できる)/任期5年 再選可能
第5節 Courts:
制度、人口が揃うまでTCが裁判官を指名し国会がこれを承認/各REDは住民に対する人権侵害を扱うConstitutional Councilを持つ(NCが定める人数のメンバーによって構成)/外国裁判官採用可能/NCが司法制度を確定/刑事裁判は陪審制による/刑事、幼児、未成年以外は強制仲裁
第5章 REDの経済、財政(Economy and finance of RED’s)
独立した財政金融システム/財政均衡ルール/低税率を基本とする独自の税制(所得税12%以下、法人税16%以下、VAT5%以下)/NCが税率決定/REDは二重課税防止取極めを締結する権限あり/REDは公共サービスの合理的な料金体系を整備/投資環境整備/ビジネスと金融市場の自由な活動保護/あらゆる支払手段は自由交換可能/内外の資本の移動の自由保障/脱税防止のための国際基準採用/自由貿易、自由競争、有形・無形資産・資本の移動を保障/国際通商機関、国際通商協定、特恵貿易協定に独自に参加できる
第6章 保健、教育、社会保障、科学、信仰、労働(Health, Education, Social Security, Science, Religion, Work)
REDは独自の保健、教育、社会保障制度を制定し、科学を促進し、良心の自由、信仰、労働者保護、集会の自由を保障/保健関係はWHOの規定を、労働関係はILOの規定を順守/労働関係の係争にも仲裁制度を採用/雇用主はホンジュラス労働者数を90%以下、また、全賃金の85%以下にしてはならない
第7章 外交(Foreign relations)
出入国管理/REDは海外に通商代表を設置できる
第8章 移行措置等(Final and transitional provisions)
REDは環境保護政策を採用/NCはTCが定める人口、経済状況の基準に達したときに始動。それまでは、各REDのGovernorはNCを代行/Consultation CouncilはGovernorの立法権行使に拒否権を発動できる/TCはConsultative Councilを指名 等
立法機関は民主的に選挙で選ばれることが明示されており、
司法権をもつけれど、それを外部委託することも可能になっているわけですね。
通商協定を独自に結べるなど、(経済)外交もできることになっているわけですなあ。
こうしてみると、何となく具体的なイメージがわいてきますね。