○○テクノロジーと聞くと、どうしても眉唾ものかと身構えてしまいますな。派手に報道されて鳴り物入り技術が不発なことは多いし、材料で買うと株は失敗するといいますよね。次は有機ELだとソニーの出井さんは判断していたが実は液晶の時代だった、とか、光の時代が直ぐに来るのでADSLは普及しないと言われていたが結局勝ったのはソフトバンク。ITバブルもバブルだったし・・・。
と言いつつもやはり気になるナノテクノロジー。富士フィルムが,ナノテクノロジーを利用してた皮膚に貼るがん治療用フィルムを開発したとかニュースになってたし、今日の日経にはスピントロニクスなる技術の紹介が載ってます。これもナノテクなんですかね。ナノテクはブームになるとか下火になるとかいうような次元の話ではなさそうな気もするんですね。
さて、『本が好き』プロジェクト2冊目です。
『基礎からわかるナノテクノロジー』西山喜代司 ソフトバンククリエイティブ
基礎からわかるナノテクノロジー![](http://www.buzz-pr.com/img/isbn4797339187.gif)
![](http://www.buzz-pr.com/img/user_idyama440607_isbn4797339187.gif)
これが、これが予想以上に良い本でして、今後ナノテクで調べたいことがあったらまずこの本でどう書いてあったか参照したくなる、そんな感じです。
新書版で200ページちょっとしか無いんですが、だからでしょうね、無駄なく、図も文章も分かりやすく、論点も意識して明確に提示されてます。編集者のものかライターのものか、とにかくこだわりの一冊という感じがします。素人向けなんだから、この辺でとか、イメージだけ大げさに書いて何となく分かった気にさせるということもありません。この手の本で、素人向けということを意識しすぎた本ほど、イタくて役に立たないものはありませんね。これ素人には(当然私もですが)絶対理解不能と思える箇所もありますが、あまり気になりません。この水準の説明をしていて、ここはそう説明せざるを得ない、分からなくても仕方ない、と納得することにしました。
最初の方で、電子顕微鏡の歴史、解説に結構ページを割いていまして、読んでいると何で?、と思うのですがこれも,なるほど本の構成としてはこうするしか無いのだ、と読み進むうちにわかります。ナノテクを説明するには、観察技術、微細加工技術を説明せねばならず、観察技術、微細加工技術を説明するには、顕微鏡の歴史をたどるのが一番なのですな。本書には手抜きが無くて、本当に好感が持てます。説明の手順としては本書に限らず定番なのかも知れませんけどね。
以前観たナノテク関係のテレビ番組のせいか、ナノテクと聞くと分子レベルのロボットのことばかりが頭に浮かんでしまっていたのですが、本書を読むと、むしろ『革新的な素材開発』の物語であり、『加工や情報技術の限界を画期的に拡げる』ということであり、これまで不可能だったことが可能になることだということが良くわかります。
昔、小学生の頃読んだ子供向けSF小説で、殺虫剤かなんかを浴びたせいで身体がどんどん小さくなって,ペットに襲われ,次に虫と闘い、もっともっと小さくなって、このペースで小さくなると明日は0になってしまう、と覚悟して植物の葉の床に就くという物語がありまして。翌朝目覚めるとまだ自分は生きていて、起き出してみると無限の緑の地平線が見渡せて・・・というオチなのですが、そうですね,ナノテクはもうここまでだと思われていた技術限界を、未開拓の地平に押し出しているんですな。
文章も良く練られていて読ませるし、熱意を感じて、退屈することもありません。
ナノテクは特定の分野がどうこういうよりも、技術一般の水準に関わる問題であって、少なくとも現代の技術動向に関心がある人ならば本書はお勧め。
と言いつつもやはり気になるナノテクノロジー。富士フィルムが,ナノテクノロジーを利用してた皮膚に貼るがん治療用フィルムを開発したとかニュースになってたし、今日の日経にはスピントロニクスなる技術の紹介が載ってます。これもナノテクなんですかね。ナノテクはブームになるとか下火になるとかいうような次元の話ではなさそうな気もするんですね。
さて、『本が好き』プロジェクト2冊目です。
『基礎からわかるナノテクノロジー』西山喜代司 ソフトバンククリエイティブ
![](http://ec1.images-amazon.com/images/P/4797339187.01._SCMZZZZZZZ_V44573022_.jpg)
- 著:西山喜代司
- 出版社:ソフトバンククリエイティブ
- 定価:945円
![](http://www.buzz-pr.com/img/isbn4797339187.gif)
![](http://www.buzz-pr.com/img/user_idyama440607_isbn4797339187.gif)
これが、これが予想以上に良い本でして、今後ナノテクで調べたいことがあったらまずこの本でどう書いてあったか参照したくなる、そんな感じです。
新書版で200ページちょっとしか無いんですが、だからでしょうね、無駄なく、図も文章も分かりやすく、論点も意識して明確に提示されてます。編集者のものかライターのものか、とにかくこだわりの一冊という感じがします。素人向けなんだから、この辺でとか、イメージだけ大げさに書いて何となく分かった気にさせるということもありません。この手の本で、素人向けということを意識しすぎた本ほど、イタくて役に立たないものはありませんね。これ素人には(当然私もですが)絶対理解不能と思える箇所もありますが、あまり気になりません。この水準の説明をしていて、ここはそう説明せざるを得ない、分からなくても仕方ない、と納得することにしました。
最初の方で、電子顕微鏡の歴史、解説に結構ページを割いていまして、読んでいると何で?、と思うのですがこれも,なるほど本の構成としてはこうするしか無いのだ、と読み進むうちにわかります。ナノテクを説明するには、観察技術、微細加工技術を説明せねばならず、観察技術、微細加工技術を説明するには、顕微鏡の歴史をたどるのが一番なのですな。本書には手抜きが無くて、本当に好感が持てます。説明の手順としては本書に限らず定番なのかも知れませんけどね。
以前観たナノテク関係のテレビ番組のせいか、ナノテクと聞くと分子レベルのロボットのことばかりが頭に浮かんでしまっていたのですが、本書を読むと、むしろ『革新的な素材開発』の物語であり、『加工や情報技術の限界を画期的に拡げる』ということであり、これまで不可能だったことが可能になることだということが良くわかります。
昔、小学生の頃読んだ子供向けSF小説で、殺虫剤かなんかを浴びたせいで身体がどんどん小さくなって,ペットに襲われ,次に虫と闘い、もっともっと小さくなって、このペースで小さくなると明日は0になってしまう、と覚悟して植物の葉の床に就くという物語がありまして。翌朝目覚めるとまだ自分は生きていて、起き出してみると無限の緑の地平線が見渡せて・・・というオチなのですが、そうですね,ナノテクはもうここまでだと思われていた技術限界を、未開拓の地平に押し出しているんですな。
文章も良く練られていて読ませるし、熱意を感じて、退屈することもありません。
ナノテクは特定の分野がどうこういうよりも、技術一般の水準に関わる問題であって、少なくとも現代の技術動向に関心がある人ならば本書はお勧め。