yaaさんの宮都研究

考古学を歪曲する戦前回帰の教育思想を拒否し、日本・東アジアの最新の考古学情報・研究・遺跡を紹介。考古学の魅力を伝える。

近況報告  PBLセミナー「久留倍遺跡を考える」の条

2006-11-09 14:49:11 | 歴史・考古情報《日本》-1 宮都
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 今年から共通教育の授業形態としてPBLセミナーというのが始まりました。新し、もの好きの私は直ぐに飛びついたのですが、未だにその本質がよく理解できていません。
 昨日も教授会前にあったFD研修会のテーマが「PBL教育の実例」で、今年前期にやられた先生方の授業紹介がありました。ちょっぴり安心したのは、みんなそれほど理解してやっているのではないんだなーということでした。まさに試行錯誤!が実態でした。結局のところやられている学生が迷惑であるに違いありません。これもまた文部官僚とそれを支える御用学者群の思いつき教育の一つなのかなーと勘ぐってしまいます。


(PBLでの調査活動中の○班)

 今頃になって困惑していいてはそれこそ学生が迷惑なので、もう一度授業を立て直して進めていかなければならないと思っているのですが・・・。来週の月曜日には「専門家」がアドバイスしてくれるらしいので(大した期待をせずに)、聞いてみます。
 実は私自身はこのPBLセミナー授業法とは結構深く関わっていて、昨年は立場上(FD委員長)合宿まで参加させられた経緯があるんです。それでもさっぱり理解できませんでした。合宿に参加していない他の先生にチンプンカンプンなのは当然でしょう。

 授業はテーマを決め(本当は学生が自らテーマを探し出してきて自主的に課題を設定するらしい)、その解決に向けてやるので、
「史蹟(久留倍遺跡)の保存と活用」
を設定して始めました。

 18人の受講生を3班に分け、それぞれ同じテーマで班毎にこの課題を解決するために様々な調査や学習をさせています。特に授業成果を発表させるというのが特徴らしいので、そこまでもっていくのが大変です。
 そもそもが、高等学校で日本史や世界史を勉強していない(させてもらっていない?!!例の履修不足問題)学生に考古学をいきなりやろうというのですから無理があります。それでも何とかついてきてくれている(?)のには理由があります。実はこの受講生のほとんどが前期に私のオリセミで「ミニ博物館」を体験した学生だったのです。だからそれなりに考古学、発掘現場、博物館等とも違和感なく対応できるのだと思います。

(遅刻者が出て道に迷うは、急病で休みますといってくるは・・・ま、外で授業をやるとこの頃は必ず何か起こりますね・・・)


 さて、第一の関門が10月28/29日の発掘調査でした。三重大学久留倍遺跡第二次発掘調査地を地主さんにお頼みして、少しさわらせてもらったのです。もちろん発掘調査など始めての学生ばかりでしたが、意外とみんな楽しそうに、元気にやってくれました。
 全員同時に発掘調査に関わるわけにも行きませんので、初日は交替で遺跡を案内し、二日目には班毎に周辺取材もさせました。ビデオとデジカメを持って、遺跡周辺の様子を住民のインタビューも交えてしてくるように命じたのです。

 さすがに現代っ子ですね。ある班はいろんな民家を訪ね、ちゃんとインタビュー取材してきたました。久留倍遺跡をどう思うか、保存については?活用には?等々きちんと取材目的通り質問もしてきました。市民の方もこれに応じてくださって素晴らしいデーターを得ることができました。

 そんな成果を活かした中間発表日が昨日でした。まだまだ試作中でまともなものは一つもありませんでしたが、とても個性的で大変面白く拝聴しました。全国の官衙遺跡を調べ、その活用方法をインターネットから探してくる者、パワーポイントの機能をよく知っていて、アニメーションで導入する者、ビデオからの映像を取り込む者等々、本番に期待できる楽しそうなものばかりでした。一人の落ちこぼれもないようにするのも大切なんだそうですが、数コマずつ分担する組があったり、現場を休んだ者には別の仕事を割り当てたり、結構今の学生は個人主義だけに、負担の均等化ということには「配慮」できるようですね。自分たちでうまく役割分担しながらやってくれています。


(結構いろいろなものが出て学生達は大喜びでした。これ何に見える?)

 授業の最後に公開発表会をやるというのがこのセミナーの特徴だそうです(何でなんですかね?分かりません)。テーマがテーマだけに、久留倍遺跡を考える会の皆さんに学生達の思いを聞いてもらおうかなと思っています。学生の考えた久留倍遺跡の保存と活用をどう思われるか、活発な議論が展開されること大いに期待しています。うまく行けばこれこそ社会と結びついて授業ということになるのですが・・・。

 さて、来年もやる予定なのですが、手ごろな発掘現場がありますかね。心配。


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