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(平城京羅城門付近の高架道路。既にあちこちに高架は通っているのですが・・・)
1日には木簡学会の委員会があり、奈良文化財研究所に行きました。そこで気になる話を伺いました。京奈和(大和北)道路という平城京跡のど真ん中を通る自動車専用道路の件です。平城宮跡の下をトンネルで通るという案は何とか避けられたのですが、平城京を通ることについては何ら変わっていないのです。
平城宮は避けてその東の方をトンネルで通過するのですが、平城京の真ん中辺りでトンネルは顔を出し、高架で京内を縦断するというのです。さらに聞くところによると、この京奈和(大和北)道路にアクセスするための各種市内道路が大幅に拡幅され、多くの遺跡が破壊される予定であるとのことです。驚きました。平城京を最新のアスファルト道路で覆い尽くそうとするかの如き案です。
しかし、あまりそれを批判する声が盛り上がっていません。日本考古学協会も一時宮城下をトンネルで通過する際には声明を出したようですが、その後大した動きもないと聞きます。果たしてこれでいいのでしょうか。
(日本橋の真上を通る首都高速道路。誰もここに橋があるなんて気付かないのじゃないでしょうか。)
私が、最も危惧するのは「日本橋問題」です。即ち景観です。
日本のこれまでの保存運動は遺跡(遺構)の保存に重点を置いて取り組んできました。もちろんこれまでの保存運動は、とても周囲の景観にまで手が回らなかったの現実です。そして、これまでの運動の成果があったからこそ今言えることなのですが、そろそろ積極的に景観も含めた総合的な保存対策を求めるべき時に来ているように思うのです。大和北道路は、環境アセスメントをしている段階です。まだ何とかこの道路の再考を促すことは十分可能だと思います。
日本の古代宮都の中でこれほどまでに古代の景観をよく残している都は平城京をおいて他にはありません。もちろん、平城京内には既にJR奈良線の高架が醜い姿をさらしています。この建設の際には全く話題にもならなかったのが不思議なのです(どこがどんな発掘調査をしたんですかね)。他にも例の国道24号線のバイパスが平城宮の東を南北に貫いています。もう文化財関係者(私も含めて)は慣れっこになっているのかも知れませんね。
でもこれ以上にょきにょきと高層建築物を奈良市内に建設させていいものでしょうか。せっかくの「古都」のイメージが崩れてしまうと思いませんか。
ではどうするのか?先の宮城内の時と同様に京内にもたくさんの木簡が埋没しているものと思われます。すると京内だからといって、トンネルにするのも考え物です。もちろん春日山の中を通すのはもっと問題でしょう。となると京奈和道路の計画自体が問題なのではないでしょうか。交通渋滞の緩和を市民が求めているのなら、奈良市内への乗り入れを規制する以外にないのではないでしょうか。道を何本造っても追いかけごっこです。それよりもロンドンの交通規制を見習うべきではないでしょうか。今のロンドン市長は労働党内の異端児として敬遠され、市長選に立候補した際、公約として「ロンドン市内への一般通行車両の規制」を掲げ、当選した人物です。もちろん労働党ですら冷ややかな目で見、「そんなもんどうせうまくいくはずがない!失敗して次回落選すればいいんだ!」こんな調子だったらしいのです。ところが、罰金を取る制度を開始し、規制を加えると市民は公共交通機関に切り替え(あるいは自転車での通勤が増え)、市内の交通渋滞は一挙に緩和され、市民の大喝采を浴び、もちろん再選されたというのです。確かにそういえば、今春ロンドンを訪れたとき、市内の交通量は極めて少なく感じました(初めてのことだったので特に気にはしていなかったのですが、今から思えば、この規制が生きていたんですね)。
(これぞ名物ロンドンの2階建てバス。しかしこんなに道は空いている!!)
やはり奈良でも思い切った規制をかけるべきではないでしょうか。その代わり路面電車を復活させ、バスを増便すれば市民の不便はさほど増えないと思うのです。他府県からやってくる観光客は全て市街でストップし、公共交通機関に乗り換えさせればいいのです。イタリアではこれが当たり前になっています。トラックやバスは通過するだけのものはよそを回ってもらえばいいではありませんか。こんな方法で交通緩和を行うべきではないでしょうか。
時々京都駅の上にある駅びるの店から夜、京都市内を眺めることがあります。そのたびに思うことは、京都の落ち着きです。ほとんど真っ暗です。東京では考えられない景色です。だからこそ京都に人はやってくるのではないでしょうか。低い木造の民家が町屋を形成する。その古さに魅力を感じて世界中から人々が集まる。もしこの町に高速道路が走り回り、一時議論になったようにニョキニョキと高層ビルが建ち並ぶ、こんな京都に誰が来てくれるもんですか。
(こんなに広い道となっているんです。おそらく運転者は何も感じないでしょうね。)
先日ある会議のついでに日本橋を見てきました。おそらく東京の人々は何がそんなに問題なのかと思ったに違い有りません。あの低俗な東京都知事は日本橋を別の所に移せとまで言っています。下品な彼の発言はともかくとして、普通の人でもあの上の高速道路を移すために5000億円余を投じることにはそう簡単に納得することはできないでしょう。それくらい高速道路は町の景観に溶け込んでいました。両側4車線の立派な道路の一部として多くの車が行き交う日本橋です。今更高速道路をはずしても見える青空はほんの少しです。しかし、それでも空の少ない東京には必要だというのです。私もそう思います。景観を破壊すればどんなしっぺがえしが来るのかが判る反面教師として「日本橋問題」を考えるべきだと思うのです。
つまりこれからの行政は、景観(とりわけ歴史的景観)に十二分に配慮を加えて各種計画を立てなければならない、という警鐘のモデルとして、5000億円はムダではないと思うのです。言い換えれば、今後二度とこんなもったいないことはしませんからこれだけはお許し下さいという、お詫びの印としての5000億円です。
(この素晴らしい景色は間もなく見えなくなります。そして既成事実を積み重ねようと着々と前後の橋脚工事は進められています。)
ところが全くこの教訓を活かそうとしないのが先の奈良市の京奈和(大和北)道路であり、四日市市の久留倍遺跡なのです。特に久留倍遺跡はせっかく国の史跡に指定しておきながら、史跡指定の根拠にもなっている景観を破壊してしまうというものなのです。どうしてこんなことが許されるのでしょうか。信じられません!行政の方々の鈍感さにはついて行けません。
しかし、市民の皆さんは決して鈍感ではありませんでした。この怪しい雰囲気を嗅ぎつけて、市の計画する姑息な「整備計画」を地元住民に暴露し、その実態を知らせ、市民の力で再考を促そうというプランを作られたのです。
11月12日四日市市大矢知市民センタで10時から12時の予定で、「久留倍遺跡を考える会」の皆さん主催で「説明会」を開こうというのです。素晴らしい発想です。
にもかかわらず、市の文化財係長からは早速「何で市民が勝手に「説明会」をするんだ?そんなものは市教委がするもので、あんたらがするもんではない!」とどやしつけられ、圧力がかけられたそうです。
不思議なことですね。だって市教委は市民に対して、久留倍遺跡の整備に対する意見を公募しているんですよ。これがいかに形式的な、市民を装った「ふり」だけのものかと言うことがよく分かりますよね。市民に本当の姿を伝えないで「遺跡の整備案を出してください」なんてよくもヌケヌケと言えるもんだと思いませんか。
だから今の計画を説明し、それが適切かどうかを皆さんに聞いてみようというのです。結局のところ「被害」を受けるのは地元の方ですものね。それで地元の皆さんが、どうお考えになるか、それが全てではないのですかね。まさに行政のやるべきことを代わりにやってあげようというのです。何で叱られないといけないのですかね。ホント、、恥ずかしい!!
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(平城京羅城門付近の高架道路。既にあちこちに高架は通っているのですが・・・)
1日には木簡学会の委員会があり、奈良文化財研究所に行きました。そこで気になる話を伺いました。京奈和(大和北)道路という平城京跡のど真ん中を通る自動車専用道路の件です。平城宮跡の下をトンネルで通るという案は何とか避けられたのですが、平城京を通ることについては何ら変わっていないのです。
平城宮は避けてその東の方をトンネルで通過するのですが、平城京の真ん中辺りでトンネルは顔を出し、高架で京内を縦断するというのです。さらに聞くところによると、この京奈和(大和北)道路にアクセスするための各種市内道路が大幅に拡幅され、多くの遺跡が破壊される予定であるとのことです。驚きました。平城京を最新のアスファルト道路で覆い尽くそうとするかの如き案です。
しかし、あまりそれを批判する声が盛り上がっていません。日本考古学協会も一時宮城下をトンネルで通過する際には声明を出したようですが、その後大した動きもないと聞きます。果たしてこれでいいのでしょうか。
(日本橋の真上を通る首都高速道路。誰もここに橋があるなんて気付かないのじゃないでしょうか。)
私が、最も危惧するのは「日本橋問題」です。即ち景観です。
日本のこれまでの保存運動は遺跡(遺構)の保存に重点を置いて取り組んできました。もちろんこれまでの保存運動は、とても周囲の景観にまで手が回らなかったの現実です。そして、これまでの運動の成果があったからこそ今言えることなのですが、そろそろ積極的に景観も含めた総合的な保存対策を求めるべき時に来ているように思うのです。大和北道路は、環境アセスメントをしている段階です。まだ何とかこの道路の再考を促すことは十分可能だと思います。
日本の古代宮都の中でこれほどまでに古代の景観をよく残している都は平城京をおいて他にはありません。もちろん、平城京内には既にJR奈良線の高架が醜い姿をさらしています。この建設の際には全く話題にもならなかったのが不思議なのです(どこがどんな発掘調査をしたんですかね)。他にも例の国道24号線のバイパスが平城宮の東を南北に貫いています。もう文化財関係者(私も含めて)は慣れっこになっているのかも知れませんね。
でもこれ以上にょきにょきと高層建築物を奈良市内に建設させていいものでしょうか。せっかくの「古都」のイメージが崩れてしまうと思いませんか。
ではどうするのか?先の宮城内の時と同様に京内にもたくさんの木簡が埋没しているものと思われます。すると京内だからといって、トンネルにするのも考え物です。もちろん春日山の中を通すのはもっと問題でしょう。となると京奈和道路の計画自体が問題なのではないでしょうか。交通渋滞の緩和を市民が求めているのなら、奈良市内への乗り入れを規制する以外にないのではないでしょうか。道を何本造っても追いかけごっこです。それよりもロンドンの交通規制を見習うべきではないでしょうか。今のロンドン市長は労働党内の異端児として敬遠され、市長選に立候補した際、公約として「ロンドン市内への一般通行車両の規制」を掲げ、当選した人物です。もちろん労働党ですら冷ややかな目で見、「そんなもんどうせうまくいくはずがない!失敗して次回落選すればいいんだ!」こんな調子だったらしいのです。ところが、罰金を取る制度を開始し、規制を加えると市民は公共交通機関に切り替え(あるいは自転車での通勤が増え)、市内の交通渋滞は一挙に緩和され、市民の大喝采を浴び、もちろん再選されたというのです。確かにそういえば、今春ロンドンを訪れたとき、市内の交通量は極めて少なく感じました(初めてのことだったので特に気にはしていなかったのですが、今から思えば、この規制が生きていたんですね)。
(これぞ名物ロンドンの2階建てバス。しかしこんなに道は空いている!!)
やはり奈良でも思い切った規制をかけるべきではないでしょうか。その代わり路面電車を復活させ、バスを増便すれば市民の不便はさほど増えないと思うのです。他府県からやってくる観光客は全て市街でストップし、公共交通機関に乗り換えさせればいいのです。イタリアではこれが当たり前になっています。トラックやバスは通過するだけのものはよそを回ってもらえばいいではありませんか。こんな方法で交通緩和を行うべきではないでしょうか。
時々京都駅の上にある駅びるの店から夜、京都市内を眺めることがあります。そのたびに思うことは、京都の落ち着きです。ほとんど真っ暗です。東京では考えられない景色です。だからこそ京都に人はやってくるのではないでしょうか。低い木造の民家が町屋を形成する。その古さに魅力を感じて世界中から人々が集まる。もしこの町に高速道路が走り回り、一時議論になったようにニョキニョキと高層ビルが建ち並ぶ、こんな京都に誰が来てくれるもんですか。
(こんなに広い道となっているんです。おそらく運転者は何も感じないでしょうね。)
先日ある会議のついでに日本橋を見てきました。おそらく東京の人々は何がそんなに問題なのかと思ったに違い有りません。あの低俗な東京都知事は日本橋を別の所に移せとまで言っています。下品な彼の発言はともかくとして、普通の人でもあの上の高速道路を移すために5000億円余を投じることにはそう簡単に納得することはできないでしょう。それくらい高速道路は町の景観に溶け込んでいました。両側4車線の立派な道路の一部として多くの車が行き交う日本橋です。今更高速道路をはずしても見える青空はほんの少しです。しかし、それでも空の少ない東京には必要だというのです。私もそう思います。景観を破壊すればどんなしっぺがえしが来るのかが判る反面教師として「日本橋問題」を考えるべきだと思うのです。
つまりこれからの行政は、景観(とりわけ歴史的景観)に十二分に配慮を加えて各種計画を立てなければならない、という警鐘のモデルとして、5000億円はムダではないと思うのです。言い換えれば、今後二度とこんなもったいないことはしませんからこれだけはお許し下さいという、お詫びの印としての5000億円です。
(この素晴らしい景色は間もなく見えなくなります。そして既成事実を積み重ねようと着々と前後の橋脚工事は進められています。)
ところが全くこの教訓を活かそうとしないのが先の奈良市の京奈和(大和北)道路であり、四日市市の久留倍遺跡なのです。特に久留倍遺跡はせっかく国の史跡に指定しておきながら、史跡指定の根拠にもなっている景観を破壊してしまうというものなのです。どうしてこんなことが許されるのでしょうか。信じられません!行政の方々の鈍感さにはついて行けません。
しかし、市民の皆さんは決して鈍感ではありませんでした。この怪しい雰囲気を嗅ぎつけて、市の計画する姑息な「整備計画」を地元住民に暴露し、その実態を知らせ、市民の力で再考を促そうというプランを作られたのです。
11月12日四日市市大矢知市民センタで10時から12時の予定で、「久留倍遺跡を考える会」の皆さん主催で「説明会」を開こうというのです。素晴らしい発想です。
にもかかわらず、市の文化財係長からは早速「何で市民が勝手に「説明会」をするんだ?そんなものは市教委がするもので、あんたらがするもんではない!」とどやしつけられ、圧力がかけられたそうです。
不思議なことですね。だって市教委は市民に対して、久留倍遺跡の整備に対する意見を公募しているんですよ。これがいかに形式的な、市民を装った「ふり」だけのものかと言うことがよく分かりますよね。市民に本当の姿を伝えないで「遺跡の整備案を出してください」なんてよくもヌケヌケと言えるもんだと思いませんか。
だから今の計画を説明し、それが適切かどうかを皆さんに聞いてみようというのです。結局のところ「被害」を受けるのは地元の方ですものね。それで地元の皆さんが、どうお考えになるか、それが全てではないのですかね。まさに行政のやるべきことを代わりにやってあげようというのです。何で叱られないといけないのですかね。ホント、、恥ずかしい!!
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