ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

アスキンス作「カミノヒダリテ」

2022-01-18 10:52:23 | 芝居
1月11日俳優座劇場で、ロバート・アスキンス作「カミノヒダリテ」を見た(翻訳・演出:田中壮太郎)。


舞台は狭い三角形で、それを挟んで2方向に客席が設けられている。途中で幕が上がり、部屋が現れる。
教会の地下の一室。一年前に夫を亡くしたマージョリー(福原まゆみ)は、グレッグ牧師(渡辺聡)に言われて子供たちに人形劇を教えている。
生徒はティモシー(小泉将臣)、ジェシカ(後藤佑里奈)、そして息子のジェイソン(森山智寛)の3人だが、ティモシーは何を勘違いしてかマージョリーに迫ってくるし、
皆、やる気なさそうで前途多難な感じ。ジェイソンとジェシカが2人きりでいる時、いい感じになるが、ジェイソンの使う指人形のタイロンが余計なことを言い出すので、
ジェシカは去る。ジェイソンは母と車で帰宅途中、もうパペットをやめたいと言い出し、怒った母は車から降りろ、と言って、彼を道に置き去りにする。
教会で牧師はマージョリーに、あなたを助けたい、と告白。彼女は驚いてきっぱり断る。牧師はショックを受け、急に冷たくなって去る。
この時マージョリーは、脳内で何かがプツンと切れたのか、突然大声を挙げてそばにあった椅子を投げつける。そこにティモシーが入って来ると、彼女は彼を誘い、
二人はもつれながら奥へ・・・。次に生徒3人が集まった時、ティモシーはタイロンの挑発に反発して、マージョリーとあったことを自慢する。皆啞然とする。
タイロンは突然ティモシーに飛びかかって耳たぶをかみちぎる。悲鳴を挙げて転げ回るティモシー・・・。

変わった芝居で、解釈に困る。テーマは悪魔。若者の操る指人形が、彼の意思と関係なくしゃべったり動いたりして彼を困らせる。しまいには彼にも嚙みついて
血だらけにするのだから恐ろしい。何者かが人形に乗り移っていることは確かなようだ。
彼の母は夫を亡くしたことが原因なのか、精神的に相当参っていて、息子に優しく接する余裕がない。そのため元々内向的な息子も鬱屈している。
そういう人間に、悪魔は目をつけ、取りつくようだ。ラストで母子がようやく和解に至るのが救いだが、悪魔はまだ消滅したわけではないらしい。

役者はみなうまい。特に、ジェイソン役の森山智寛がパペットのタイロンになった時がすごい。
俳優座の今の実力に、瞠目させられた。


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