ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

オペラ「サロメ」

2011-03-07 17:21:15 | オペラ
2月22日東京文化会館大ホールで、リヒャルト・シュトラウス作曲のオペラ「サロメ」を観た(指揮:シュテファン・ゾルテス、演出:ペーター・コンヴィチュニー)。

「ショッキングなシーン」があるとは聞いていたが、ただもう呆れ果てた。

白布をかけたテーブルの長い列。その中央に白服の男がこちら向きに座っている。頭に袋をかぶっているので顔が分からない。宴会のテーブルの中央にいるのでこの人がヘロデ王かと思ったら、何とこれが囚われのヨカナーンなのだ。古井戸の中に入れられているはずなのに。
テーブルクロスを上げると、中で妃ヘロディアスが男とヤッテル最中。
誰がヘロデなのかしばらく分からなかった。

シリア人の隊長のそばに女がいて、王女サロメはその女の服を脱がせたり愛撫したり・・・(わけ分からん)。
その女はサロメを背後からピストル?か何かでなぐり、倒れたサロメを皆で取り囲んでその肉を切っては食べる仕草をする。何??
シリア人の隊長が自殺すると、その体をひっくり返してうつ伏せにし、男たちが取り囲んで強姦!しまいにヘロデ王もそれに加わる。

「七つのヴェールの踊り」はない!もちろん音楽はあるが、サロメは踊らず、人々の周りを歩き回るだけ。
踊りの褒美にヨカナーンの首を所望するサロメをヘロデが翻意させようとしている間、妃ヘロディアスは椅子に座ったヨカナーンのベルトをはずし、それで彼の両手を後ろ手に縛り、彼を強姦する・・・(この頃にはもう何が起きても驚かない)。

切られたヨカナーンの首は肩の部分まである(生きてる人をこんな風に切るなんて不可能でしょう!)これが盆に載って出てくる。と、何とヨカナーン自身がその首を抱き上げる。しばらくすると首は上空に去り、ヨカナーンはサロメと見つめ合い、しまいに二人は手に手をとって下手に消える。

白服の少女が走ってきて、横たわっていたサロメの頭に袋をかぶせてテーブルの下に隠れる。
ラストは一階中央の客席に座っている男が突然立ち上がってヘロデ王のセリフを叫んで終わる。

というわけで、もう二度とコンヴィチュニーの演出作品は見るまい、と心に誓ったのだった。かつて見た「アイーダ」でも違和感があったが。
みんなをびっくりさせてやろうという浅ましい幼稚な意図から生まれた、ただ奇をてらっただけのおぞましい悪趣味な作品だった。



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7 コメント

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ザロメ (ys)
2011-03-10 01:05:27
同感!私はコンビチュニーに大ブーを出しました。
現実に閉塞され、夢を買いに舞台を見に行っているものに現実の追体験を要求する舞台は腹立たしかったのです。
月に支配されルナーティックに落ちていくそんな神秘性がサロメにはあるように思うのです。
FUCK MEばかりが目に焼きつき、エロスとは程遠い世界に違和感を覚えました。
最後にザロメとヨカナ-ンが手を取り合って下手へ消えて行くあれを救いと観るなら、オペラ演出全体が幼稚に思われました。
最後の晩餐、カニバリズム、古い宗教性から逃げられないのにも腹立たしかった。
お金がかかるのかもしれないが素敵な衣装と、舞台装置と、伝統の中で新しい演出が出来ないものだろうか。
私もコンビチュニーの演出は二回は観たくないと思った。
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ザロメ続き (ys)
2011-03-10 01:24:27
ザロメの二期会の若手歌手、オーケストラ皆素晴らしかった。
あの水準がなかったら、コンビチュニーの演出はもっと浮いていたと思う。
それにしても新国立は日本人を主役に使わないね。
もっと日本人を歌わせたら?
椿姫を見たけど、ジェルモンは日本人にももっと歌える人がいますよ。
音程も悪く歌の下品でした。そんな意味から、彼にはブー出しました。
外人崇拝は終わりにして、本当の意味で、オーディション化しもっと水準を上げて欲しい。
アルフレッドの韓国人のテナーは良かったね。
椿姫はもう2日目で疲れた婆さん声だった。
国産品を見直そうじゃないですか。
外人を使うのだったら、超一流を主役に一人連れてきて、後は日本人でいいよ。
日本の国立劇場だよね。
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サロメ (yuko)
2011-03-12 22:29:47
コメントありがとうございます!共感していただいて嬉しいです。確かに歌手もオケもよかったですよね。自分の文を読み直したら、音楽について全く触れてなかったのでアチャー、しまった、と思いました。
あれを見てない人たちに早く伝えたくて(同情してほしくて?)、眼前に繰り広げられた狂態を「ねえ聞いて聞いて」とばかりに羅列してしまいました。

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私も観ました~ (マドモアゼル小平)
2011-05-17 14:20:44
優子様、

2月初めに、夕鶴オペラを観て涙目だったときに初台でお会いしたマドモアゼル小平です(優子様はシューマンのオペラ観劇後でした)。

コンビチュニーのサロメ、私も行きました(2/26)。初めてのサロメだったの。。。歌の人はよいのに悪趣味としか思えず、愕然としました!! ホント、おっしゃるとおり「狂態」の他の言葉が見当たりません。似たようなので以前新国で「ムツェンスク郡のマクベス夫人」を観ましたが、「うーんすごいかも」とは思ったけれど、このような不快感はありませんでした。

ちなみに、優子様もよくご存知のビオラを弾く音楽会通いの人ですが、その人はこのサロメを観たあと電車で貧血を起こし、数日熱が出て(風邪)寝込んだそうです。うぶかもね!

では
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サロメ追加 (マドモアゼル小平)
2011-05-17 14:24:01
あ、オケ都響がとっても聞き応えがあり、よかったですよね!? やっぱりオケが磐石とした演奏じゃないと、オペラはちょっとがっかりですよね。
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そ、それはまた・・ (yuko)
2011-05-18 13:41:32
マドモアゼル小平さま
あのサロメの後で貧血、発熱、で風邪で寝込んだ・・!?やはり男性は繊細なんでしょうかね。私たち女は(なんてひとくくりにしていいのか?)どこか図太くできているのかもね。
あれが初のサロメだったとは、まことにお気の毒です。今度はぜひ普通の?をご覧になれますように!
「ムチェンスク郡の・・」は、ブログ読んで下さったでしょうか、一部グロではあったものの、実に面白く、私は堪能しましたけど。 
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追伸 (yuko)
2011-05-19 15:28:55
マドモアゼル小平さま
やっぱり「似たようなの」っていうのは違うんではないでしょうか。どこが似てるんですか?「ムツェンスク・・」は台本読んだことないけど元々ああいう話でしょ?でもあの「サロメ」は原作のオスカー・ワイルドはもちろん、リヒャルト・シュトラウスだって拒絶すると思いますよ。すべてが不自然なんですから。目くじら立ててすみませんけど・・。
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