ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

チェーホフ作「桜の園」

2017-02-10 17:56:15 | 芝居
12月22日吉祥寺シアターで、チェーホフ作「桜の園」をみた(劇団地点公演、演出:三浦基)。

屋敷の女主人ラネーフスカヤが娘や召使と共にパリから帰って来る。皆と再会を喜び合うが、先祖代々の広大な土地も家屋敷も、まもなく競売に
かけられることになっている。幼い息子に死なれ、愛人に裏切られるなど幾多の苦難を経てきたラネーフスカヤは、その現実を受け止めることが
できず、商人ロパーヒンの熱心な説得にも耳を貸さず、相変わらず浪費し続ける。ついにその日が来て・・・。

先週の「かもめ」に恐れをなして、おっかなびっくりで出かけたが、結果は「かもめ」よりずっとよかった。
開演前にあらすじを言われたり解説されたりもなかったし。
7時30分開演8時55分終演。
登場人物は「かもめ」と同じく6名にまで絞られており、多くのシーンがカットされているが、その分この芝居の芯となるものが際立っており、
むしろ好感が持てた。

舞台には木の枠が積み上げられている。
床にはロの字型にコインが敷き詰められている。
開演の少し前から、茶色いコートを着たロパーヒンが、それに沿って歩き回る。延々と。
向かって左手には、本を積んだ高い椅子の上に元家庭教師ペーチャがもたれかかっている。
中央の木枠の山の上にラネーフスカヤと兄と養女ワーリャがいて、その上に娘アーニャがいる。
この4人は白衣。

例によってイントネーションがおかしいし、言葉を妙なところで区切って発音する。
異化効果も何度も見るとちっとも異化でなくなる?
途中3拍子のロシア風のワルツが何度か流れる。

ロパーヒンは彼に恋する女(ワーリャ)が求婚を待っているのに、ついにその勇気が出ない。別に他の女性が好きというわけでもないのに。
彼の祖父も父もこの屋敷で奴隷だったが、彼は商才を発揮して一代で富を築き上げ、ついに屋敷を手に入れる。
これまでこの人のことを元祖・草食男子のように思っていたが、そうでもないのかも知れない。
恋愛にはタイミングというものがある。
彼の頭の中は今のところ仕事でいっぱいのようだ。
相手は地味な女性だし、彼女が自分のことを愛している、と周りから何度も言われていては、かえって億劫になるのも仕方ないのかも知れない。

原作には多くの要素が詰め込まれている。その中からあれこれ削ぎ落として核となる部分を浮き彫りにし、分かり易くなってはいる。

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