ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

カンタータ「放蕩息子」とオペラ「ジャミレ」

2019-12-11 11:13:24 | オペラ
10月26日東京芸術劇場コンサートホールで、ドビュッシー作曲のカンタータ「放蕩息子」とビゼー作曲のオペラ「ジャミレ」
を聴いた(指揮:佐藤正浩、オケ:ザ・オペラバンド、合唱:国立音大合唱団)。
演奏会形式。原語(フランス語)上演、日本語字幕付き。

①カンタータ「放蕩息子」(作曲:ドビュッシー、台本:ギナン)
舞台は古代の中東。行方知れずの息子アザエル(宮里直樹)の帰りを母リア(浜田理恵)は空しく待ち続ける。夫シメオン(ユシュマノフ)が
妻をなだめる。行列がゆき過ぎるのと入れ替わりに、ついに帰郷したアサエルが現れて、思い出の石のベンチに座り、「安らぎの故郷を見ながらも、
自分はここで死ぬ」と絶望の心を語る。そこにリアがやってくるが、初めのうちは親子であると気づかない。しかし、ついに互いを認め、
喜びの二重唱を歌う。そこにシメオンが村人を連れて登場。彼もアサエルの帰還を喜び、「永遠なる神、エホバを讃えて歌おう」と呼びかけ、
全員で感謝の祈りを歌う(チラシより)。

「新約聖書のルカによる福音書に出てくる放蕩息子の逸話にじかに沿うものではなく、旧約聖書から自由に人名を選んだ上で、短い演奏時間
(20分ほど)に収まるようギナンが独自の筋立てを作り上げたもの」だそうだ(プログラムノートより)。

初期のドビュッシーなので、音楽はひたすら優しく美しい。ローマ大賞受賞作の由。
題名が題名なので、ついルカと比較してしまうが、何しろ母親が出てくるので印象が全然違う。後半は兄貴も出て来ないし。
これは母と息子の愛の物語だ。
ちなみにルカの物語は、父なる神の愛の大きさ深さを表わす、非常に有名なたとえ話。

②オペラ「ジャミレ」(作曲:ビゼー、台本:ガレ)
日本初演。
エジプトのカイロ。王子アルーン(樋口達哉)は「愛に縛られず生きたい」と強く思うため、毎月、新しい女奴隷を雇うと決めている。
そのため、今いる奴隷ジャミレ(鳥木弥生)も次の女性が来ると宮殿を去らねばならない。アルーンの従者でかつての教導者スプレンディアーノ
(岡昭宏)は「自分がジャミレの次の保護者になりましょう」と持ち掛けるが、ジャミレの側はアルーンを心から愛してしまっており、王子に
内緒でスプレンディアーノを説き伏せ、彼の援けを得る。そこでジャミレは「新しい女奴隷」に扮してアルーンのもとに再び現れ、王子の心を
再び掴んだうえで永遠の愛を誓いあう(チラシより)。

女である評者にはあまり気分のいいストーリーではない。
だいたいこれでは「奴隷」ではなく「一か月契約の愛人」ではないか。
ラストで王子がいとも簡単に宗旨替えして「永遠の」愛を誓うなど、あらすじを読んだ段階では何ともあほらしく思えた。
とは言え音楽がとにかく甘美(!)で、3人の歌手もうまいので、トータル的には満足。
かつて実演を聴いたブラームスが激賞したというのもうなづける。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「渦が森団地の眠れない子たち」 | トップ | オペラ「リナルド」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

オペラ」カテゴリの最新記事