ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

オペラ「紫苑物語」

2019-04-05 16:28:30 | オペラ
2月24日新国立劇場オペラハウスで、西村朗作曲のオペラ「紫苑物語」を見た(原作:石川淳、台本:佐々木幹郎、演出:笈田ヨシ、指揮:大野和士、オケ:都響)。

歌詠みの家に生まれた国の守・宗頼は、歌の道を捨て弓の道に傾倒する。宗頼は父により、うつろ姫と結婚させられるが、妻のことは忌み嫌う。国の目代である藤内は、
うつろ姫を利用して国を支配する野望を燃やす。ある日、宗頼の前に千草という女が現れ、宗頼を虜にさせる。実は千草は宗頼が射た狐の化身であった。
宗頼は「知の矢」「殺の矢」の弓術を習得し、千草の力によりさらに「魔の矢」を編み出す。宗頼は人を殺すたびに、紫苑(忘れな草)を植えさせる。国のはずれにある
山で、宗頼は仏師の平太と出会う。宗頼は崖に彫られた仏の頭に3本の矢を向ける(チラシより)。

世界初演。
この日に間に合うように石川淳の原作を読んで臨んだが、内容は何ともおぞましい。
特に、主人公が次々と殺人を繰り返して平然としている点と、彼の妻となる「うつろ姫」が、顔醜く愚かで何の取り柄もないばかりか10歳にして色情狂・・・という点。
ただこのオペラはうつろ姫について、このままではさすがに難しかったらしく「美貌の姫」という設定に変えてある。

この日の客層がひどかった。
女性の団体客が後方に陣取っていて開演前から騒がしく、いやな予感がしていた。
主人公宗頼を虜にする小柄な女・千草が、実は彼が射た狐の化身だったというシーンでは、一斉に「狐だったんだね」という声が沸き起こり、肝心の音楽が聞こえなくなる有様。
一体何をしにここに来ているのか。
自分ちでテレビを見ているのとはわけが違うんだから。
それとも歌舞伎座にいるつもりなのか。
オペラハウスでの作法を身につけてほしい。

ラスト、原作ではすべてが崩れ去るはずだが、それも変えてあった。

歌手では第2幕で超絶技巧のアリアを見事にこなした千草(狐)役の臼木あいが印象に残った。

現代音楽ではあるが、けっこう面白く聴くことができた。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2018年の芝居の回顧 | トップ | 「母と惑星について、および... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

オペラ」カテゴリの最新記事