ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

美女劇「伯爵令嬢小鷹狩掬子の七つの大罪」

2011-09-06 14:33:35 | 芝居
8月20日ザ・スズナリにて寺山修司作「伯爵令嬢小鷹狩掬子の七つの大罪」を見た(演出:金守珍)。

この日、下北沢は阿波踊りで大変な盛り上がり。これが19時開演で阿波踊りが18時半開始だったので、踊り手の間を
必死でかいくぐって劇場まで何とかたどり着いたのだった。
ところがこちらもキャンセル待ちの長い列ができる盛況。主演の寺島しのぶの力か。それとも寺山の芝居はいつもこうなのか?

金魚使い、人魚、歌手とヴァイオリン弾き、小人・・・様々な人々が出てきて寺山独特の世界の始まりを告げる。
伯爵家では貴族の女たちが女中(寺島しのぶ)に留守番をさせて外出。彼女が何をして過ごそうかと考えていると、鰐(ワニ)夫人(野口和美)登場!
何とも衝撃的で感動的な場面だ(また見たい)。まるでアリス・イン・ワンダーランドの世界だ。
何しろ夫人はインターホンで「水門を開けて下さる?」と言うのだ。部屋に水門ですよ!
それで女中が舞台奥全面の「水門」を開けると、感動的な音楽に乗って堂々鰐夫人が登場。全くしびれたったらなかった。
ここだけはまた見たい。アリスと言えば、この夫人、私のイメージするトランプの女王にそっくりだ。

夫人が去り、女中は一人の男に電話する。自分を金持ちの令嬢と偽ってこれまでも電話していた相手らしい。
口から出まかせに話を合わせているが、しまいに真実を告白する。そこに貴族の女たちが戻ってくる。
実は彼女たちは出かけるふりをして女中の行動をすべて覗き見し、独り言を立ち聞きして楽しんでいたのだった。
女中はショックを受け、しかもさんざん侮辱されるが、実はここまでは全部お芝居、つまり劇中劇だった・・・。
とまあ二重三重の構造になっていてなかなか歯応えのある芝居である。

「花いちもんめ」の歌詞の解釈にはうならされた。
言葉に対する関心とこだわりの強さが寺山らしい。こけおどしのタイトルからして笑ってしまう。
ヴァイオリンも踊りも歌もうまい。
ただ「便所のマリア」のくだりは古臭く甘ったるくセンチメンタル過ぎて退屈。
それにラストの水は余計だと思う。最近なぜかハヤリだけれど。

寺山の芝居を初めて見たが、独特の世界の魅力に十分浸ることができた。

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