ピアニスラー

ゴールド・フィンガー、ハイパー・ピアニスト矢沢朋子のブログ

ピアニスト本の魅力

2019年02月03日 | 音楽

            本来の持ち主に使われてます。良かった

 

2週間以上に渡ったコンピュータのメンテナンスも「だいたい」終わり、仕事に支障はない生活に戻りました

 

iMacを起動してみれば、プリンタまで認識していて「あれ?」と驚いたんですが、ギリギリ、サポート範囲のOSだった模様。プリンタを起動してみれば、例によって初めての起動なので6分とか待たされたものの、スキャンしてみれば、早い早い これまでの倍のスピードでサクサクとスキャンしてくれたのでした

 

ExcelもNunbersに読み込んで書き出しの確認をして、これで確定申告の書類も作れます。良かった。別に楽しくもないけど

 

インストールの待ち時間中は、お正月に読もうと思っていた本を一気に読めました。

 ピアニストだって冒険する
 中村 紘子
 新潮社

 

もう亡くなって2年目になるのか〜

私は中村さんのエッセイは他の2冊は持ってるし、ファンなんですが、これだけは腕を故障したとか引越しだとかで読みそびれてたんです。ここ10年ほどは健康本と陰謀論、畑やら発酵やらヴェジ料理やらで明け暮れていたものでね。。

 

やはりこの方には政治家となって文部科学省から「文化省」を分離、又は設立して頂いて大臣となって頂きたかった。そういう意味で実に惜しい人を亡くしたと思います。フランスの政治家のような知性と教養を持ち合わせ、人脈も英語も日本の政治家以上、「豪傑」という言葉はエレガントな容姿には不釣り合いですが、女傑以上に豪胆で突出した日本人でありながら、日本を土壌とされて活動したピアニストでした。

 

この方の権力というか人望というべきなのかは大変なもので、演奏家活動30周年記念コンサートだったかのリサイタル@東京文化会館大ホールが全然・埋まってないという事態で、私(←現代音楽ピアニスト。事務所も何の縁も所縁もない)のところにまで「お願い行って〜 半分(チケット代)出すから〜」と、やはり中村様の事務所でもない事務所に勤めていた友人に頼まれて、「何でアンタがこんなもの(中村様の30周年記念リサイタル)売ってるのさ持たされてるの」と驚きつつ半額で行ったんですよ。

 

私の席の周りは団体バスから降りて来た、普段はコンサートなんて行くこともなさ気な一行が、ぞろぞろと入って来て座り、開演と同時に終演までほぼ眠って、曲間でだけ起きて拍手をしていたという。そしてまた一斉に立ち上がって帰って行ったのでした。

「中村様と言えば自民党と皇室との結びつきが強いと思っていたけど、公明党(バスの聴衆は学会員と見た)ともパイプがあるのか。さすがね」と感心したもの。ホールは無事に埋まって、記念コンサートに相応しい拍手(←半額の使命)に包まれた盛会となったのでした。めでたしめでたし。

 

この方を「ピアニスト」と思っている人は業界ではいなかったのではないだろうか。「題名のない音楽会」の司会を長年された黛敏郎氏を「作曲家」と思ってる人ほどに。それでいて中村様は旺盛にコンサート活動をされていたのでした。まあ「世の中」というか日本てそういう国。

 

それでも私が中村様(亡くなられているというのに、まだ刺客とかいそうな気がして笑)のエッセイのファンなのは(実際CDは1枚も持っていないのに本は全部持ってる)、「インテリ・セレブ・ライフ」に興味があるから

 

皇室や各界の著名人と交友があり、「一体、何を話してるんだろう?」という疑問がエッセイに集約されているんです。

 

フツーの音楽家というのは、音楽家以外の友人なんてほとんどいないし、音楽家で集まれば、クラシック音楽の話か家庭の事情か音楽家同士の噂話くらいしか話題がないものなんです。

 

「凄いなー色んなこと知ってて勉強してて。これだから色んな人と会話が出来るのね。これじゃ練習する時間なんてあるわけないわよね」と中村様のエッセイを読むと思うわけです。ウィットに富んで、洒脱で本当に面白いんですよ。どうしてピアノにそれが反映されないのかとは思うけど、やはりピアノは地道に練習しないと才能があってもダメになるという見本だったんですね。

 

ピアニストらしいピアニストのエッセイと言えばコチラ

 幸せのレッスン
 エレーヌ・グリモー
春秋社

同世代のグリモーは、ツインテールに田舎臭い格好をした美少女の学生の頃から聞いてるわけですが、当時から「何でこの人はフランス人なのにブラームスとかシューマンとか弾くんだろう?全然合ってないのに。フツーにラヴェルとかドビュッシー弾けばいいのに」とは思ってたけど、ピアニストになってからもレパートリーは相変わらずドイツもので、やはり「何でこう上手くもないブラームスとか録音するんだろう?レコード会社もよく契約したよな〜。美人だから

と思っていました。

Helene Grimaud: The Warner Recordings
Helene Grimaud
Warner Classics

6枚組 エレーヌのデビューからわりと最近までが入って、那覇のタワレコで1680円 だったので、つい買ってみれば・・

 

やはり「パリ・コンセルバトワールの卒業試験:結果1位」とか、「ミュンヘン国際とかジュネーヴ国際コンクールの2次予選」レベルの演奏がみっしり詰まったボックスなのでした

17歳から全然変わってない。

 

まあエレーヌは15歳で既にこのレベルで弾けてたわけで、やはりパリ・コンセルバトワールのレベルの高さが分かるわけだけど、所詮・「学校」だからね。

エレーヌが売れたのは、ともかく初見が天才的に出来るから、というこれまたフランスらしい理由もある。1日で大抵の曲は引けてしまうから、ピンチヒッターとしてキャリアを伸ばしてきたところもある。それと当時の妖精的な美少女ルックスかな。コンクール入賞歴はないはず。中村紘子様の「チャイコフスキー・コンクール」で、エレーヌが2次予選で落ちたことがバッチリ書かれています。

「何でも初見で弾けていいよね美人だしね」と、クレーメルとか有名人に抜擢される彼女を忌々しく思ったものだけど、エレーヌはエレーヌで毎回、ヒヤヒヤしながら弾いてたのかもしれないとは今は思う。プレッシャーの中で弾いて、上手に弾いても周りの同級生やら同門生には嫉妬されたり、批評家にはクサされたりで虚しい思いも10代から経験して。青春時代なんてなかっただろうし。彼女が楽しそうに弾いてる姿を当時、見たことがないんです。いつも真面目に優等生という感じで無難に弾くだけ。

 

CDを聴いて当時のことを思い出した。感動しないのも当時のまま。プログラムも「なぜコレを」というものばかり。あのまま、ここまで来たのかー。そりゃ悩みも深いはずだ。と「幸せのレッスン」を読んで、溜飲が下がるような気がしたのでした。

 

文章も、わりと最初の方から破綻していて、「どうして編集者が校正したり訂正を依頼したりしないんだろう?」と、編集者の悪意すら疑ってしまう。「ピアニストなんてこんなもん。所詮、音楽バカ」とでも編集者は思っていたんだろうか。

 

確かに、そんなもんなんですよ、ピアニストなんて

中村様は別格。パデレフスキーのように、首相も務まりそうな方でした。

エレーヌも幸せな人生だったと思うように生きて欲しい。ヤザワも大人になったものだわ

アメリカでオオカミの保護財団を作って保護活動をしてるようです。

 

先月の新年会。ツルミンが沖縄に帰って来てたので(本人は既に「来沖」とかゆってるし)集まりました。誓い通り着物を着てるんですよ。大島紬。

 

久万田さんに:「大島紬?」と聞かれたので「そうですよ〜」と言ったら、「大島で赤が入ってるのは珍しいな〜」と仰るので、「ヘぇ〜そうなんですか?」と聞いたら:「藍と泥で染めるからね。紺とグレーが多いの」

と通なことを教えてくれたので、「そうなんだー。詳しいですねー」と感心したら、「いちおボクの専門の範囲だから」

とますます謎なことを仰るので:「ご実家は呉服屋でしたか?」と聞いたら「僕の専門は沖縄と奄美も入るんですよ。奄美は織物で有名なんです。矢沢さんのは奄美大島の織物ですよ」

と言われて、「ええーそうなんだー『奄美大島』紬」なんだーてっきり『伊豆大島」紬だと思ってた

とヤザワ以外の人も驚いたら、久万田さんに「なんてこった。知らないで着てるのか」というように首を振られたのでした

 

久万田さんも退官したら政治家に転身して文化を盛り上げてほすぃ。性格はあまり向いてないような気もするけど。

 

この日のララゾルバは混んでいて、お料理が出て来るまでに4人でワイン2本飲んでしまい、その後もう一人加わってもう1本飲んでしまい、「あ〜なんか飲みすぎたから酔い覚ましにちょっと歩こ〜」

と歩いて、結局、家まで3キロほど歩いて帰ったという。

着物も着崩れてなかったですよ とみんなに言っても信じてもらえず、「それは酔っ払ってたからでしょう 前とかはだけちゃって足剥き出しで歩いてたんじゃない

と言われるんですが、本当にちゃんとしてたんですよ。

 

「それはスゴい。飲み歩いて着崩れてないなんて、もう日常着に着物を自分のものにしてますね」と着付けの先生にもなった、夏子さんに褒められたのでした。

日本和装 沖縄 着付け教室

 

名古屋帯で「お太鼓」くらい習ってみたいな〜

 

まあそれより差し当たっては確定申告ですけどね

 

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