goo blog サービス終了のお知らせ 

ピアニスラー

ゴールド・フィンガー、ハイパー・ピアニスト矢沢朋子のブログ

デーヴィッド・ラング(注:NHK読み)

2010年06月12日 | 現代音楽
明日の『現代の音楽』は先週に引き続き、David Langの曲を集中的に流してます。

ほら → 番組表 


現金なもので(笑)、自分が出演してから「他の人はどんな話をしてるのかしら?」と、よく聞くようになりました。


ヤザワの2006年のCD、Flash Pointにも2曲、David Langが入ってます。

80~90年代アタマには当時アカデミック現代音楽界を席巻していた『超(新)・複雑系(派)』(new complexities)を書いていたDavid。90年代後半からヒトが変わったようなミニマル路線になり、この路線の延長で2007年度ピュリツァー賞も受賞したそうな。ということをDJ猿谷氏が番組で仰ってました。


ひゃ~ エラくなってる~ 

番組表を見てみれば、harmonia-mundiとかnaxosとかいろんなレーベルからCDも出てます。ちょっと前までは自主制作のcantaloupでしか出してなかったのに。

06年にFlash Pointが完成した時、音楽関係者に「こんな誰も知らない作曲家なんか弾いてちゃダメですよ。(←売れませんよ、の意)ジョン・ゾーンとかサーリアホとかメシアンはともかく。ディヴィッド・ラング?それ誰ですか?」とかゆわれたものだったのに。それから3年ほどで、Towerの試聴コーナーでもよく見かけるようになりました。


デーヴィッド(←NHK読み:笑)と知り合った99年、複雑系のピアノ曲のスコアをアメリカン・ミュージック・センターで見た、と言ったら:「うわ~・・恥ずかしい~まだ若かったから」と照れていました。ちょうど作風の転換期というか人生を(ミニマル路線で)変えようと思ってた時期だったのかも。

ヤザワが弾いてるmemory piecesはもとはピアノ曲。本当にミニマルな曲なのですが、これをシンセで音色を変えてずいぶん2001~2003年くらいに弾いてました。CDでは特に気に入ってる2曲を入れてます。デモを聞いたデーヴィッド(ああダメ。本人にこう呼びかけて怪訝な顔をされそう:笑)が、吹き出したり感心したりして「全曲シンセで録音したら」とシンセでのワールド・プレミエール・レコーディングをOKしたのでした。

それから実際にヤザワがCD化したのは5年後でした。2001当時はまだcantaloupもスタートしたばかりで、Geisha Farmも作ってませんでした。

アメリカに住んでアメリカ人の音楽家の友人と交流がなかったら、私はいまだにデモ・テープを送ったりしていたでしょうね。そして「うーん。。演奏も素晴らしいんだけど、こーゆーのは日本では売れないんだよねー・・もっと売れる企画を考えてもらえませんか?例えばアニメの主題歌をピアノで弾くとか」とか言われていたと思います。もしくは(誰でも知ってる)名曲アルバムとかね。

(レコード)会社や運に頼らず、自分で信じて良いと思った音楽を自分で世の中に出す。という発想はアメリカでの友人の影響です。

日本だと:そんなことは恥ずかしいとか、求められて作るのが幸せみたいなまるで花嫁みたいな感覚がありますが、アメリカではこれがベンチャーなのですよ。

そもそも音楽とは創造していくことなので、工夫をしたり産みの苦労を厭うようでは天職ではないのかもしれません。

NYではこういうベンチャー精神溢れる音楽家が切磋琢磨しているのに、ずいぶん勇気づけられました。

David Langはこうした土壌から誕生した信念を持った音楽家の1人です。

明日は近作を楽しみに聞きます  


打鍵!多謝→

こちらも








Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする