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柳生忍法帖


山田風太郎      講談社

 やっぱ山田風太郎はエンタメ小説の天才である。ものすごく面白い。主人公は柳生十兵衛と七人の美女。この七人の美女の仇討ちの物語である。十兵衛は美女たちのコーチである。仇は悪逆非道の会津藩主加藤明成と明成の親衛隊会津七本槍と称する化け物的な武芸者。十兵衛と七人はたびたび絶体絶命の危機におちいる。どう考えても脱出不可能は危機ではあるが脱出する。読後、冷静になって考えると、だいぶん都合がいいところもあるが、読んでいる最中は夢中でそんなことは気にならない。そこはそれ、山田風太郎の筆先の魔術である。
 加藤明成はその性格残虐。あまりのひどさに家老堀主水は会津藩を見限って一族を引き連れ会津を離れる。激怒した明成、高野山に逃れていた堀一族を捕らえる。一族の女性たちは鎌倉の駆け込み寺東慶寺にかくまわれていた。会津七本槍の七人は男子禁制の東慶寺に乱入。堀一族の女たちを虐殺。
 この寺、現将軍の姉である天樹院千姫の娘が住持を務めている。豊臣秀頼の正室にしてあの神君家康の孫千姫である。将軍が頭が上がらないただ一人の人物。この徳川の御世において豊臣家の紋章五三の桐がついた籠に平然と乗っている。この天樹院が七本槍の狼藉を止めた。七人の女が生き残った。
 天樹院がいう「女の寺への乱暴狼藉ゆるしがたし。女の寺での虐殺。あの七人への仇討ちは女の手で成さなければならぬ。お前たち七人の手であの七本槍を倒せ」
 化け物のような七本槍を、女の細腕で倒すことは不可能。天樹院は高僧沢庵禅師に相談。あの女たちに武芸軍学のコーチを付ける必要がある。だれがいい。
そして沢庵が連れてきたのが柳生十兵衛。十兵衛は「面白い」といって引き受ける。十兵衛はあくまでコーチで指南役。仇討ちを実行するのは七人の女でなければならない。武家の女とはいえ武芸は素人の七人の女に、化け物的武芸者の会津七本槍を討てるのか。
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トラキチ酒場せんべろ屋 7月26日

「負けたな」
「わかっとる。見りゃわかる」
「藤浪、あかんな」
「見りゃわかる」
「阪神弱いな」
「見りゃわかる」
「広島強いな」
「見りゃわかるゆうとるやろ。しつこいな」
「久しぶりの雨やったな」
「おこるで」
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