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私はCEタンクの医者

 私は人より30分は早く出勤する。二つのCEタンク。液化酸素と液化炭酸ガスの操作管理は私の仕事である。始業と同時に酸素と炭酸ガスを使えるようにしておかなければならない。酸素はガス切断、炭酸ガスはアーク溶接に使う。
 30分早く出勤してCEタンクの点検とバルブの開放するのは、高圧ガス取り扱いの有資格者である私がやらなければならない。これを怠ると工場中が動かない。
 連休前の今日、まず酸素のタンクを開ける。無事酸素が流れた。次に炭酸ガスのバルブを開ける。炭酸ガスが流れない。いつもはシューとパイプの中を炭酸ガスが流れる音がするのだが、うんともすんともいわない。あせった。このままでは炭酸ガスが使えない。アーク溶接ができない。
 ただちに日本エア・リキードの担当者に電話。すぐメンテナンスの担当者を派遣するとのこと。そうこうしているうちに送液バルブから伸びているパイプがガタンと軽い衝撃を発したらガスが流れ出した。
 ほどなく来たエア・リキードの人と原因を考える。どうも昨夜終業後バルブを閉めたとき、ちゃんと閉まっていなくて、ごくわずか液化炭酸ガスが流れていたのだ。それが何かにひょうしに固体のドライアイスとなりパイプの中で詰まっていた。ちょうど人間の血管の中で血栓ができて動脈瘤ができたような状態になっていたのだ。
 今後対策としてまず、バルブをきっちり閉める。バルブのパッキンがへたってないか調べる。万が一また詰まったら、パイプに湯をかけてドライアイスを溶かす。
 で、思ったんだが、医者がやってることは、結局、これとおんなじことなんじゃないかなと。
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