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昔には帰れない


 R・A・ラファティ 伊藤典夫・浅倉久志訳  早川書房

 みょうちくりんなお話を読みたければラファティが一番だ。ラファティというとアメリカの酔っぱらいのじいさんのホラ話という見方をされることが多いが、酔っぱててはこんな話は書けん。読んでもらえば判ると思うが、ラファティ、ただの酔っぱらいではない。強靭な教養と薀蓄を持ち、計算づくで小説を書いている。どうしてこんな話を思いつくか不思議だが、これは、もう、ラファティの才能としかいいようがない。
 16編の短編が掲載されているから、しばしのあいだラファティまみれを堪能できる。前半は短いめ、後半は長いめの作品で、前半のものがわかりやすい。後半は少々判りにくい作品もある。
 アルバートはまぬけでアホだ。しかしどんな機械でも発明する。
 バスをいつもと違う停留所で降りる。そこは違う世界。
 人間の根源的な七つの恐怖。
 なんぼでもコインが出てくる財布を持ってる男。コインがだんだん安くなる。
 崖の壁面に魚の絵。いいや、あれは違う。
 軒の下の小石はどっかから来た。
 子供のころ空に浮かぶ岩でよく遊んだな。
 偽足をごにょごにょしながら患者がきた。ところが患者はスファイリコスだ。
 4人の男がお宝を見つけた。
 大河の岸辺の絵は何枚もあった。
 1873年13のテレビドラマが造られていた。
 と、まあ、こんな話が載っている。

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