雫石鉄也の
とつぜんブログ
招かれざる客
監督 スタンリー・クレイマー
出演 スペンサー・トレイシー、キャサリン・ヘプバーン、シドニー・ポワチエ
娘が結婚を前提としてつきあっている男を家に連れてくる。父親として、これほど、うれしくもあり、不安であり、楽しみであり、また、ちょっぴり腹立たしい。未婚の娘がいる家庭なら、どこにでもある出来事。その出来事が深い感動を呼ぶ。
一人娘ジョーイが彼氏を連れてきた。ハワイで知りあって恋に落ち、結婚するつもりとのこと。彼は今夜にでもニューヨーク経由でスイスに旅立つ。結婚の承諾を得られれば、彼女を連れて行きスイスで式を挙げるという。
父親マットは人種差別反対のリベラルが売り物の新聞社の経営者。母親クリスティは彼氏ジョンの人柄に触れ結婚に賛成する。マットは社に電話してジョンのことを調べる。「医学博士、エール医大準教授、ロンドン医大教授、世界保険機構副理事」大変なエリート、輝くばかりの経歴、温厚な紳士で人柄も非常に良い、歳も37歳で若い。非の打ち所のない人物。ただ、彼は黒人だった。
「時間が欲しい」マットはジョンにいう。今夜旅立ちます。お父さんの承諾を得られなければ結婚はあきらめます。そうこうしているうちにジョンの両親もやってくる。非常に短い時間に決断をせまられるマット。
そして夜になった。ジョーイとジョン、マットとクリスティ、マットの親友ライアン司教、ジョンの両親。関係者全員がそろった所でマットが思うところをみんなにいう。
スペンサー・トレイシーとキャサリン・ヘプバーンの二人の名優の演技が見もの。娘の幸せを願いつつ、白人としての自分と、娘の選んだ男の肌の色の違い、驚き→葛藤→理解→決断、この心情の移り変わりを見事に演技で表現している。観客としては、こういう結末であって欲しいと、話は落ち着くべき所に落ち着くのだが、そう簡単には安心させてくれない。そう思わせたシナリオの妙とトレイシーとヘップバーンの演技力の賜物だ。
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