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老人Z


監督 北久保弘之
出演(声)横山智佐、村松彦次郎、小川真治、近石真介、佐藤智恵、松本梨香

 なつかしや、いつぞやのSF大会の合宿で、この作品を観た記憶がある。その時に観たのは、パイロット版だったのではないか。本作より短かったような気がする。
 監督は北久保だが、原作、脚本、メカニックデザインを、日本のスチームパンクのトップランナーのひとり大友克洋が担当している。事実上、本作は大友の作品といっていいだろう。キャクター原案は、美少女イラストの江口寿史が担当しているから、主役の晴子がかわいい。
 看護学生晴子はボランティアで、重症の認知症独居老人喜十郎のお世話をしている。その喜十郎が厚生省よりモニターに選ばれた。ベッド型全自動介護ロボット「Z-001」のモニターに。
「Z-001」は対象老人がベッドに寝たまま、食事からシモの世話まで、さらに老人の身体にコードが接続されていて、24時間老人の体調を管理監視して、異常が認められれば即座に医療的処置が取られる。第6世代コンピューターを装備され、原子力で動く完璧な老人介護用ロボットだ。厚生省はこれぞ高齢化対策の決定版と自信を持つ。
 晴子のパソコンに助けを求めるメッセージが入る。喜十郎からだ。ベッドにくくり付けられて人間あつかいされていない喜十郎を助けるため、晴子は看護学生の仲間や、看護病棟の元ハッカーの老人たちの助けを得て、喜十郎救出に向かう。
「Z-001」の第6世代コンピュウターが自意識を持った。喜十郎を乗せたまま暴走しはじめる。そのうち喜十郎の死んだ妻ハルの擬似人格がZ-001に憑依。喜十郎とハルの想い出の地鎌倉を目指して、街を破壊し、さらにパワーアップしながら、Z-001は暴走を続ける。晴子はミニスカートをひるがえしながら、単身Z-001に立ち向かう。
 1991年の作品だから、いささか古びているところもある。コンピューターの外部記憶にフロッピーディスを使ったり、ディスプレイがブラウン管だったり。さらにはZ-001の動力が原子力であることを記者が指摘。万全の処置を講じていることを厚生省の担当者が説明。あっさり記者が納得してしまう。「福島」を経験した今となっては、このシーンには非常に違和感を感じる。手直しする機会があればこのシーンは削除した方がいいのではないか。古びている反面、「SONY」や「TOTO」など実在のメーカーのロゴが出てくるのでリアルだ。
 結論として、破天荒な面白さにあふれたアニメだ。暴走の目的地が鎌倉という所が、ラストの伏線となっている。
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