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とつぜんコラム№88 シンプルに行こう

 不景気である。急激に景気が悪くなり、なおかつこの不景気は慢性化しそうだ。小生の勤務先に出入りしている産廃業者がいっていた。
「いや、ひどんもんですわ。あちこちの会社がばたばた倒れとる。わしゃ30年この商売やっとるけど、こんなん初めてや」
 ものが売れないのである。ものが売れないから、ものを作る工場がヒマになり、派遣切りが行われ、正社員もリストラされる。残った社員も収入が大幅に減少する。小生の友人で某自動車メーカーの正社員がいるが、先月は8日出勤しただけ、もちろん給料は全額出ない。それなのに副業禁止の規則はそのまま。何もすることがない。ヒマで困ったそうだ。
 いま、ほとんどの企業が社員の副業を禁止している。この規則は見直す必要がある。副業を禁止するのなら、給料は無条件で全額支払うべし。会社の都合で休ませておいて、給料を減額するのなら、副業は認めるべきだ。労働組合はこのような要求をなぜ出さないのだろう。
 不景気でものが売れない、と、いいつつも必要なものはあるはず。自動車が売れないと各自動車メーカーは嘆いているが、世の中に必要な自動車は必要なのだ。必要な数の自動車は造らなければならない。いくら不景気といっても、日本の、世界の自動車メーカーの工場で1台も自動車が造られていないとは考えにくい。人数が少なくなったといえ、何人かの労働者が、必要な自動車を造っているはずである。また、いくら不景気といっても生活しなくてはいけないし、腹も減るから食べなくてはいけない。絶対に必要なものは、必ず生産しなくてはいけないわけだ。
 ということは、今までの経済は、不必要なものを造り、不必要なものを売って買って成り立っていたということになる。考えてみれば実に脆弱な基盤の上に乗っかって成り立っていたことか。
 ここらで原点に立ち戻る必要があるのではないか。人々が生きていくのに必要なものを造って売る、そしてそれを買う。そして経済が廻って行く。こういうシンプルな社会の構造にしなくてはならないと小生は思う。バブル崩壊の時、多くの企業が打撃をこうむった。そのいずれの企業も、本業以外に株、土地に投資して、大きな損失を出している。愚直に本業に精を出した企業は、損失をこうむらなかった。ものを造り、売る。必要なものを造る。不必要なものは造らない。結局、だれでも判るシンプルな事を行うのが一番ではないだろうか。
 決断が迫られているのだ。人類は。選ばれた人だけが生き残って、あとは死ぬか。みんな少しずつ我慢すべきところは我慢して、みんな生き残るか。現実は前者の方向に動いているだろう。だれでも生き残りたい。だれでも我慢するのは嫌だ。今まで、それですんできた。でも、もう余裕はない。みんな死ぬかみんな生き残るかだ。
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