<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
宇宙エンタメ前哨基地



朝の関西空港は閑散としていた。
インバウンドの始まる前の関西空港でも、もっと多くの人達がいたように思う。
久しぶりに保安検査場に到着するとコンベヤからゲートから何から何までが最新式のものに変わっていた。
大きなトレイがもともとコンベアにセットされていて、そこへバッグや小銭入れを入れればい。
薄いトレイを持って、そこへ携帯品を入れるという塩梅ではなくなっていた。
装置はいくらかかったんだろうという大掛かりなものであった。
凄い。
ただ残念なのは、利用者がほとんどいないことなのであった。

利用者がいないので保安検査場はスムーズに通過。
KIXカードのポイント登録をして振り向けば出発ロビーに人影はほとんどない。
東京行きの出発ゲート前へ来るとソファに座ってパソコンのキーを叩いている乗客が二人ほどいた。
私も一人がけのソファに腰を掛け搭乗開始時間を待つことにした。
前方の大きなガラス窓の向こうには姿を見せたばかりの太陽が金色に輝いている。
朝の陽光に照らされて輝く晩夏の雲。
霞んだ山並みを背景にりんくうゲートタワーが聳え、その横に観覧車。
連絡橋を走る電車の姿も望むことができる。
これでコロナがなかったらきっと大勢の利用者がこのロビーに溢れていることだろう。
東京行きの次の便で表示されているのは石垣行き。
トロピカルな夏への扉がそこにあるのだから。

搭乗が開始されて実際に乗ってみると乗客は20名少しといったところか。
座席を広々と確保できるので安心感がある。
旅客機はもともと国境や地域を超えて移動するため感染症対策は十分になされていて空気の循環にもHEPAフィルタというコロナウィルスであろうとインフルエンザフィルスであろうと99.7%以上をキャッチしてしまう高性能フィルタを装備している。
だから新幹線よりも航空機のほうが安心感が高い。

関空を離陸して20分もすると遠くに富士山が見え始める。
空は真青だが地上は水蒸気が立ち込めていてよく見えない。
地球全体を白い水蒸気が覆っているような光景だ。
その水蒸気の海から富士山が頭を出し、南アルプスや中央アルプスの高い山々が少し稜線をのぞかせている。
なかなかいい景色ではないか。
たぶん飛行位置は伊勢湾にさしかかっているところだろう。
半年ぶりに見る飛行機からの富士山なのであった。

機内ではいつもと同じようにドリンクのサービスが始まっていた。
いつもと違うのは客室乗務員が医療用マスクにゴム手袋といった姿になっていることだった。

つづく




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