<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
宇宙エンタメ前哨基地



先週、日経新聞を読んでいるとソニーが光ディスクの生産を終了するという記事が載っていた。
なんでも「光ディスクの需要は急速に減少していて」ということで、データはハードディスクかクラウドでというのが一般的になってきているためか出荷額が落ち込んでいるのだという。

記録メディアは磁気テープに始まってフロッピーディスク、光メディアと進んできたがファイルサイズがだんだんと大きくなって小さなディスクには収まりきらなくなってきているのが背景にあるのだろう。
どれくらい大きくなってきているかというと4K動画のファイルは小さなもの数100MB、ちょっと長くなるとすぐに10GB、20GBとなってしまい2層式ブルーレイディスクに収録することもできないくらい巨大になってしまう。

こうなってくるとやがて光ディスクを読み書きする装置の生産も終了すること必須で世の中に溢れているDVDやCDを見たり聞いたりすることもできなくなってしまうに違いない。

私は家庭用ビデオデッキはベータを主流で持っていたためすでにカセットのコレクションを見ることが難しくなりつつある。
現在まともに動いてくれるベータマックスのビデオデッキは1台しかなく、故障すると修理もできないのでそれでおしまいでもある。
ベータのカセットには往年の洋画劇場を録画したものや、NHK特集のドキュメンタリー、昭和の大河ドラマなどがある。
極めつけが我が阪神タイガースが1985年に優勝を決めたときの中継録画で、これなんぞ一部分はYoutubeで見ることができるとしても前編を見ることはカセットでしかできないのだ。

これと同じような状況がDVDやCDでも起きる時代がやってくる。
それは何時?

こう考えてみるとアナログメディアは強い。
LPレコードは今も再生装置が販売され、最近は新譜も販売されている。
小学生のときに買ってもらった荒井注がメンバーにいるドリフターズのレコードを今も問題なく聞くことができるうえに、音質がすこぶるいい。
カセットテープもにたようなもの。

光ディスクの終焉はデジタルは保存に適していないという一つの暗示なのかもしれないと思ったりしている。


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昨日あたりから黄砂が日本列島に達したというニュースが流れて、
「マスクしてください!」
とテレビなんかで呼びかけられている。

せっかく新型コロナが第5類感染症に分類されて、マスクも必要に応じてでよくなったところに「マスクしてください。PART2」となっているので、いささか面倒を感じている。

この黄砂。
何も昨日今日飛び始めたものではなく、人類の歴史よりも以前からこの季節の強風に煽られてモンゴルから中国を経て東シナ海も日本海も飛び越えて日本へ飛んで来ているのだ。

メリットもある。
黄砂に乗ってたくさんのミネラルが運ばれ日本の土地を潤している。
これが日本の農業に与えている好ましい影響だ。

この黄砂の最も大きな問題は、20世紀後半以降の中国大陸の工業化に伴って大気汚染物質が黄砂に付着して飛んでくることになったことだ。
ミネラルは歓迎だが、窒素酸化物や煤や化学物質は歓迎できない。

また、人々も神経質になった。
私が子供の頃、黄砂が飛んでくると「今日は霞んでいるのでお外であまり遊んじゃいけませんよ」程度だったのが、やれ喘息の原因だとか、花粉と合わせてアレルギーの原因になるとか、やかましい。
テレビは製薬会社が大きな顧客なので、市井の不安を煽ることは関連商品の売上増につながることもあり、必要以上に神経質な報道をしているのではないか、とへそ曲がりの私なんかは想像しているところだ。

ともあれ黄砂の季節は洗濯もしにくいので面倒くさい。


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電気自動車ブームに終わりの風が流れている。
これは私の勝手な触覚かもしれないが、様々な状況を鑑みると電気自動車が街中に溢れ、内燃機関の乗り物がクラシックカー扱いされる時代はついに来そうにないように思われる情報がチラチラと現れ始めているからなのだ。

ドイツがガソリン車の完全規制を撤廃したことが発表されたからではない。
それぐらいではびっくりすることはない。
原発廃止を掲げていたヨーロッパがロシアのウクライナ侵攻でエネルギー安保という意味合いで原発を捨てることはできないし、そもそも二酸化炭素排出削減に原発利用を除外することはできない。
したがって「口だけ規制」を謳っていたから、電気自動車への完全移行も同じではないかと考えていたのだ。

そもそも電気自動車の歴史は内燃機関の自動車とさして違いはない。
19世紀の終わりには電気自動車は実用レベルで登場した。
しかし普及しなかったのは充電器の問題があったからで、それは今とちっとも変わらない背景になっているのだ。
100年も経てば流石に技術力は上がってバッテリーの質もかなり上がっているものの、それでもガソリン車と同様の利便性で運営するのはかなりの無理がある。
価格も安くないし、そもそも原子力発電所の電力を利用することを考えないと電力量は足りないし、二酸化炭素排出規制の条件をクリアできない宿命がある。

マスメディアも電気自動車普及をすすめるメーカーや行政もこの「原発ありき」が背景にあることを黙り決めこみ、公に議論することもあまりない。

このような「臭いものには蓋をせよ」というような条件があるインフラを高い費用をかけて普及させるところに大きな無理がある。
有体に言えばインチキでもある。

CMでもそういう部分があり、例えば日産のEVのCMで飛行機よりも加速力があるような作品がオンエアされている。
そもそも内燃機関と電動モーターを比較した場合、電動モーターのほうがトルクがあって瞬発性があることは電車を見れば明らかだ。
だから飛行機よりも加速性が優れるというのは特別なことではない。
もし、それだけEVに必要の無い加速をさせて電力を消費しないのであれば、それは驚きだが、そういうことはちっとも表現されていない。
むしろ、ビジネスジェットとEVの加速度勝負はライバルホンダへの訳のわからない挑戦CMと受け取られなくないとも感じられる。

で、ここへ来て電気自動車がいらなくなる、という技術の実証試験が大阪で始まっている。
これは注目すべき日本発の技術だが、マスメディアは理解できないのか、EVメーカーの圧力なのか大々的に伝えられていない。
しかし経産省や大阪市のWEBサイトでは大々的にPRされている新技術なのだ。

それは、
「光触媒技術を使って水と空気中の二酸化炭素から石油を合成する」
という技術だ。

この技術、インチキではない。
光触媒は東京大学で30年前に開発・発見された技術で、今は空気清浄機や内装材の滅菌素材として使われている。
今、これを使って京都大学と仙台のベンチャー企業が人工石油の合成技術を開発し、今年になってついに大阪府と大阪市が力を入れて実証試験にこぎつけたものだ。
今、大阪の鶴見緑地公園で実証試験が行われている。
LEDUV光を使って光触媒で合成した人工石油で発電機を運転させているとのこと。
その生成費用は軽油にして1リットルが14円。
恐ろしくリーズナブルなのだ。

この光触媒で生み出される人工石油は燃やしても、再度で石油に合成できるのでゼロ・カーボンにカウントされる。
しかも運用は今までと同じ。
ガソリンに精製すると普通の自動車にも利用でき、さらに大量に生産する技術が近い将来完成すると、日本は産油国に仲間入りすることになる。
わけのわからない中東からエネルギーを購入する地政学的リスクもなくなるのだ。

コストもかかる、リサイクルも大変なEVではなく、内燃機関の燃費向上を図るとさゼロ・カーボンはEVよりも簡単だ。
太陽光を使うことができると、原子力も、必要なし。

電気自動車が単なるブームに今回も終わるのか。
この技術がブームに引導を渡しそうな予感が広がっている。


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仕事をしながらネット配信されているJAXAのH3ロケット打ち上げ中継を見ていたら、発射の瞬間にエンジン停止。

「おお!打ち上げ止まった!」

せっかくリアルタイムでロケットの打ち上げを見られると思ったのに、システムエラーでイグニションの途中で中止されてしまったのであった。
これは残念。

「え〜〜〜」

と嘆いたところ、仕事が休みで向かい側に座っていたカミさんが一言、

「あんたが見てたからちゃう?」
「!」

私がテレビ中継を見ていたから「阪神タイガースが負けてしまった」ということは言われたことがあるものの、「あんたがみていたからロケットの打ち上げが中止になった」と言われたのは初めてなのであった。

ということで我が家ではH3ロケットの打ち上げ中止は技術的問題ではなく、私が見ていたからということになっているのだ。

なんちゅうこっちゃ!


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身体のあちこちに見えない不具合が生じてくると、正直あまり気持ちのいいものではない。
年齢的にも思わぬ病を得たためにあちらへ旅立つ同世代の者もいなくはない世代でもある。

お酒ストップをもらう随分前から体重計はタニタ製を使っていた。
この体重計。
体脂肪や内臓脂肪の量をカウントできるというスグレモノなのだ。
それでもいろんな機能はついていても体重ぐらいしか見ないのであまり気にしなかったのだが、検査で思わぬ結果を見てしまってからは気にするようになってきた。

サイクリングを日常的な健康ツールとしだした頃から体重が下がってきたことはドクターストップの項でお話したとおり。
100kg台が80kg台まで下がるのにはそれなりの時間を要したが、明らかに健康的な体重の減り方なので致し方あるまい。
その体重が減るにつれて体脂肪率も下がり始め、肥満の警告レベルだったのが、今では標準に収まっている。
筋肉量は肥満していたときから多かった。
「相撲取りの体格」
と自分自身で揶揄していたぐらいなのだったが、体脂肪率が下がって筋肉量も微増しているので、体格的にはムキムキになっていてもおかしくない。
ところがサイクリングで健康状態を作り出している関係からか足はムキムキだが、腹のあたりはプニョプニョのまま。
腹筋、背筋は鍛える必要がまだまだある。
BMI値も改善し、基礎代謝量も健全。
結果的に肉体年齢は実年齢よりも一回り以上若いという結果がでて、なかなかニンマリすることもなくはない。

ところが、ただ一つだけなかなか下がらない数値がある。
内臓脂肪量。
これが難しい。

毎年受ける人間ドックで明らかになっていたのだが、内臓を脂肪が取り巻くいわゆる「脂肪肝」の状態が現出しており、これは改善の余地があると病院からも指摘されていた。
脂肪肝は今回のドクターストップの要因ではない。
で、この肝臓だとか、なんだとかに付着した脂肪分を燃焼させなければならないのだが、これが凄くやっかいなのだ。
体重が下がろうが、筋力が増えようがなかなか内臓脂肪は減らない。

長年かけて蓄積されてきたような負の貯蓄(=国の財政赤字みたいなもん)なので容易に精算することができない。

「脂っこいものを食べては駄目」
と言われ、
「酒も駄目」
「塩分も控えめに」

となると、食事は何を楽しみにすればいいのやら。
いっとき、
「明太子は塩分が多いから駄目」
「ラーメン、とんかつは脂がおおいからだめ」
「焼き肉行ったら脂っこい上にビールを飲みたくなるから、これも駄目」
とカミさん言われたのでムカッ腹が立ってきて、
「じゃあ何も食べずに飢えて死のう。そのほうが人生豊かだ」
と言ったら喧嘩になった。

しかし結局は量の加減なのであって明太子1つとっても一度に2つも3つも食べると身体に悪いが、3分の1づつ食えば問題ない。
ラーメンも大盛りで唐揚げセットはやめて、醤油ラーメンでつゆを残せば問題ない。
そもそも全体の量を少なくすればいいわけで、となって、とりあえず納得した。

それでも体脂肪の数値は下がらず、
「がんこやの」
と思った。
やがて自転車で月に300kmほど走り始めた頃にやっと0.5メモリ減った。

「おお!」
と感激したのは言うまでもない。
それでも内臓脂肪過多の状態にあることは変わりがない。

「朝のランニング。それも朝食前にランニングするのが内臓脂肪燃焼にいい」
とある雑誌記事で読んだ。
ランニングはあまり好きではないので起きて朝ごはん前に10kmから20kmほど自転車で走ってみた。
すると、なんと腹が減ってたまらんことになってしまったのだが、内臓脂肪がさらに減った。
ところが直後に出張ででかけた都内で「とんかつ」を食べたら、すぐに元に戻ってしまった。

ともあれ暑い季節の今こそ、朝食前のサイクリングに勤しんでみたいと思っているところなのだ。



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「えー、お酒飲まないでくださいね。」
「ちょっとだったら良いでしょう」
「駄目です」
「先生に紹介していただいて精密検査してもらった〇〇病院(大病院)の先生は『週に1度、ビールなら1缶、お酒なら半合ぐらいなら、いいかな』って言ってましたけど」
「その先生はその先生。私は駄目です。」

ということで、ドクターストップお酒ちゃんになってしまった私の晩酌ライフ。
若い頃からの嗜みが、この歳になって数値に現れるという悲劇に見舞われているのだ。
尤も完全にストップするわけにはいかないので、仕事や知人との会食では少しだけ頂戴することにしている。
少しだけになっていることを相手に感づかれないように飲むのが心遣いになっているのだ。

実はここ2年ほど健康診断をするとある数値が標準値を越えていた。
少し気にかかっていたが、健康診断では何らかの異常値が出るものとたかを括っていた。
たぶん少しすると平常値に戻るものだ、とも思っていた。
過去に何回か、その数値は高くなったことがあったが、しばらくすると落ち着いていたからだ。

ところが今回は平常値にならなかった。
「おかしいですね」
と主治医の先生は言った。
「1週間かかりますが、別の血液検査をしましょう」
と、わざわざ外部に出す検査をした。
その検査の結果は、不幸にも良くなかった。

原因は飲酒と脂っこい食べ物ということだがコロナで外飲みは激減。
家でもあまり飲まくなっていた。
体重は会社員を自己退職した時点で117kgもあった。
それが今では80kg前半になっており、夏が終わるころには70kg代にならないかと期待しているところだ。
これは病気で体重が減っているのではなく、食べる量が減って毎月サイクリングで200km以上走ることによる健康的な減量だ。
どうみても病気で痩せているとは思えない外見でもある。

ところが健康になっているはずの体は、長年の無理が祟って相当イカれていたというのが実情だったようだ。

「こりゃもうあかんで」
と訴えていたのだろう。

第二の血液検査でも悪い結果が出たので大きな病院の専門医に検査してもらうほうが良いということになり、3日間ほど入院して検査をしてもらった。
その結果、悪いのは数値だけで関連臓器は至って元気であることがわかった。
まずはメデタシでホッとした。

ところが、専門医の先生も、その結果をお手紙で見たかりつけの先生も、
「酒はいけない。塩分のとりすぎと脂っこいものに注意」
と私に宣告したのであった。
しかも専門医の先生は、
「研究対象を募っているんですが、対象になっていただけますか?」
と言ってきた。
科学のためならと思って承諾したらクオカードをくれたので「ラッキー!」と思ったが、ラッキーなのはクオカードであって、結果的に飲酒禁止というアンラッキーがついてきたのだった。

大学に入学した18歳の時から酒をたしなみ始めて何十年。
二日酔い、三日酔いするようなことも無くはなかったものの、それも若い頃で40代になった頃からは無理な酒はしなくなった。
それでも宴会や交流会ではついつい飲みすぎて、後で反省することもなくはなかった。
でも、それって一般の会社員なら普通ではないか、とも思っていたのだ。

とは言うものの、付き合い酒を断るわけにもいかない。
仕事での会食で相手に気を使わせるのは、決して良いことでもない。
ということで、かかりつけの先生に止められ普段は断酒。
冒頭に述べたように記念日と仕事関係の会食はビール1杯かワイン、日本酒をグラスいっぱいまで。

今のところちゃんと守れていて、今年になって飲んだ回数たったの3回。

家に貯蔵されていたビールはカレーの味付けに使われ処理済み。
今冷蔵庫にはビールの代わりに炭酸水が入っている。
いつまで続けられるのか。
案外、辛抱強い自分自身に驚いてもいるところだ。



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関東圏では電力需給が逼迫しているという。
先の地震で火力発電所が被害を受けた関係でもともと余裕がなかった電力量がより少なくなって今年の冬はブラックアウトが発生するかも知れないほど深刻だと、テレビのニュースでも伝えられている。
そこにウクライナへのロシアの侵略。
このためロシア起源のエネルギーの輸入がなくなって燃料費が高騰。
おまけに欧州を支援するために東南アジア由来の天然ガスがほとんどの日本も、その貿易分を友好国に分ける必要が生じて、値段は上がるは節約せんといかんわで大変になってしまった。

ここで必要なのが、原子力発電所の再起動。

もともと東日本大震災前は電力の半分以上が原子力になっていたので、それをストップしてしまうと電力量も不足するというもの。
なんだかんだ物議を醸しながらも関西電力や九州電力はいくつかの原発を再起動している。このおかげで関西以西は電力逼迫は起きていないが、この原発も年代が古い設備なのでいつ止めなければならない状態になるのか難しいところだ。
とはいってもエネルギーは必要だ。
しかも安定した電力源として原子力を無視することはできない。

原子力発電所の地震対策はほとんど完了ということだが、ここにきて大きな問題が発生している。
というか元々問題ではあったが、あえて誰もタッチしなかった話題だ。

それは原子力発電所を守る防衛力。

ロシアのウクライナ侵略でも原子力発電所が攻撃を受けた。
これは誰もが危惧していたアンタッチャブルな現実だ。

同じようなことが日本でも起こる可能性を考える必要がある。
日本はウクライナよりも原発が多い。
おまけに平和ボケのために武力で原発を守るという発想がなかった。
曰く、
「原子力発電所はミサイル攻撃を受けても壊れない」
と。
でも、津波で電気系統が簡単に壊れたわけだから原発原子炉を直接攻撃しなくても電気系統を攻撃されれば福島と同じことが発生する。
津波は狙ってこないがテロ国家とテロリストはそこを狙ってくる。

原発の再起動は必要だ。
でも政府はその防衛をきちんと国民に説明する必要がある。


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チャールズ・リンドバーグの操縦で史上初の大西洋横断無着陸飛行に成功した飛行機「スピリッツ・オブ・セントルイス号」にはフロントガラスがない。
パイロットのリンドバーグは横の窓から景色を見ながら操縦したのだ。

「それってちょっと怖いんじゃない?」

と思う人も多かろう。
でも飛行機は前が見えなくても飛べるもの。
例えば艦載機は着陸する時に速度を落として浮力を得るために機首を上げる。
このため前方は空しか見えない。
着艦するところ、つまり空母の甲板は見えない。
それでも安全に着艦できるのは、今なら誘導装置があるけれども、それが使えなくとも第二次大戦のゼロ戦のように側面の窓から横の景色を見ながら着艦できる。

で、なぜセントルイス号には正面に窓がなかったかというと機首前方エンジン後ろ。つまり操縦席の前はすべて燃料タンクだったからだ。
大西洋を横断するために必要な燃料を積むために前のフロントガラスは犠牲になった。
このためリンドバーグは横の景色と小さな鏡で飛ぶことになった。

飛行機の歴史は航続距離への挑戦の歴史でもある。
1927年にリンドバーグが大西洋を横断に成功。
1931年には米国人クライド・バンクボーンとヒュー・ハーンドンの二人がミスビートル号で青森県からワシントン州までの太平洋横断成功。
世界一周無着陸無給油に成功したのはずーっと難しかったようで、1986年に二人の米国人が操縦する特製飛行機で成功。

そんなこんなで普通の旅客機が太平洋を無着陸で日米間を飛んだり、北極圏を飛び越えて日欧を飛ぶことはなかなか至難の技った。
日本からの欧米へのほとんどの便はアラスカのアンカレッジを経由するか日欧路線は東南アジア、インドなどを経由して2日掛かりで飛行していた。

これが1976年にジャンボジェット機のシリーズB747SPが登場して一変。

太平洋をひとっ飛びできるようになってアンカレッジを経由したりインドを経由せずに済むようになった。

スターウォーズ公開の明くる年。
高校生の時に私は初めての海外旅行でロサンゼルスの親戚宅へ行った。
このとき開港まもない成田空港から乗ったのがこの機種だった。
胴体は短いしずんぐりむっくりでめちゃ格好の悪いジャンボジェットだと感じたことが今も強烈に印象に残っている。
エアラインは今はなきパンアメリカン航空であった。

アンカレッジを経由せずともロサンゼルスへ直行。
でもひとっ飛びは直線コースでのひとっ飛びだった。

ロシアが時代錯誤なウクライナへの侵略戦争を始めた。
史上最大の経済制裁をロシアに課した欧米日はロシア領空を飛べなくなった。
畢竟最短コースを飛行していたそれぞれ直行便はロシア上空を飛ぶことができず、欧州や米国東海岸は別のルートを考えないといけなくなった。
ANAやJALのWEBサイトを見てみると「ダイヤ調整中です」のお知らせが。
これはきっと往年のアンカレッジ経由のコースで調整中に違いない。
時代錯誤な戦争が時代を逆戻りさせることになろうとは。
大いにショックなのであった。

確かにFlightrader24のWEBサイトで確認するとロシア上空を飛行しているのはロシアの親戚・中国か韓国の飛行機ばかり。

そんなこんなで、昨日の日曜夜もぼんやりとFlightrader24でウクライナ周辺やロシア上空など交戦状態の空域やロシアの上空を見ていた。
ウクライナ上空を飛んでいる民間飛行機はない。
ロシア上空も激減で先述の通りロシアの国内線か中国・韓国の飛行機がポツポツ飛んでいる。
日欧はどうなってんだ、と中央アジア付近の飛行機をチェック。
この付近はかなりの混雑だ。
ロシアを通れない分、このあたりに集中しているに違いない。
大中小いくつかの飛行機のアイコンをクリックしてチェックしているうちに少し大きな飛行機が飛んでいるのが目に止まった。

「なんやろこれ」

とそのアイコンをクリックしたところ、「FRA→KIX」と表示された。

「おお!こんなところを飛んどるがなー!」

なんとルフトハンザの国際線B747でフランクフルト発関西空港行きなのであった。
位置はウズベキスタンの南方。
普段であればシベリア上空を飛んでいるのだが、それができないので南回りの遠回り。
離陸後7時間近くが経過していて関西空港までは5時間弱と記されていた。
インドにも東南アジアにも立ち寄らずダイレクトに関空に向かっていた。
トータル12時間のフライト時間。

「こりゃ大変だけど、アンカレッジ通らなくといいのか」

考えてみれば時代錯誤の戦争を起こしたロシアのような国もある一方、科学は純粋に21世紀。
19世紀や20世紀とはひと味違う能力を持っていた。
今どきの大型航空機は太平洋だろうが大西洋だろうがユーラシアだろうが、途中給油することなく地球の反対側まで飛んでいくのは当たり前。
空路が少し延びたぐらいなら、いつもより少し多めに燃料を積んでどこへでも直接飛んでいくことが可能なのだ。

例えば私が見かけたルフトハンザのB747やB777、B787は約15000km飛行可能。
エアバスのA380もほぼ同等の航続距離。
グーグル・アースで距離を測定してみたら、パリ→大阪が普通なら9700kmほどの距離を11800km。
ロンドン〜東京9500kmが11400km。
大変なのが日本から一番近かったヨーロッパの都市ヘルシンキ〜大阪が7800kmから11800km。
昔と違って飛行機の能力で直行できる距離なのだ。

遠回りだけどダイレクトフライト。
長時間フライトも時代が違うのでパーソナルエンタテイメントなんかもあって、それほど退屈しないのかもしれないと思った。



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「EVカーって、CO2も出さないし、エコなんだ!」
と思っているあなた。
あなたはたぶん、良い人です。

電気だけで走るEV。
ガソリンも軽油も要らないので排ガスも出さないクリーンエア。
エコカーの代表。
だから脱炭素に貢献している。
というのが表向きの顔。

でもこのEVが利用する電力はどうやって作っているのか。
そこを考えておく必要があるけれども、不都合があるのかあまり伝えられることがない真実なのだ。

EVで使用する電力の殆どが石油、石炭を燃やして火力発電で生まれている。
だからEVは石油を燃やして電気に変え、それを送電したり充電したりして利用している「ロスの多い」乗り物。
決して現状は「エコな」移動手段ではない。
エコを考える場合は圧倒的に電車に軍配があがる。

しかも高性能の電池を製造するときにも大量のエネルギーを必要とするので、どこまでエコなのか理解が難しい。
燃料電池車も水素ガス自動車も水素を生成するためには大量の化石燃料が必要だ。
水素というエコクリーンな燃料を使っているからといって、それは見かけだけ。
その背景には多くの課題が堆積している。

その課題を解決できる安直な方法が原子力であることも、今は言いにくい。

再生可能エネルギーで先行していたドイツが原子力利用に大きく舵を切ったことが最近伝えられるが、理由はこのあたりにあるのかも。
原子力は二酸化炭素をほとんど出さない。
原子力はE=mc2で少ない燃料で膨大なエネルギーを生み出せる。

しかし福島原発事故で原子力には大きなリスクがあることを我々は学んだ。

でも、ことCO2削減を声高に叫んでEVを中心とするエコカー推奨を叫ぶなら、そこに原子力は欠かせない。

EVと原子力。

この組み合わせは表裏一体の不都合な真実なのだ。


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「2035年までにはすべての自動車をEV化」
とは勇気ある発言で、政府もメーカーも販売店も何を考えているのかよくわからない、ということを証明するような動画が最近Youtubeに上がっている。
ちょっと見始めたら面白いので最後まで見てしまうというものが多いのが特徴だ。

例えばEVカーで帰省をしてみた人のレポートは秀逸だった。
関東の自宅を出発して愛知県の実家までの300km少し。
この距離、かかった時間が9時間。
多くは年末年始の渋滞が影響すると思いきや、そのうちのかなりのパーセントが「充電に要した時間」だったのでたまげた。

EVカーは容量の半分を充電するのに30分程度必要という。
その半分で走行できる距離は100km少し。
テレビのCMやカタログでは走行距離が200kmを越えるようなことが書かれているが、それは自宅で数時間かけてフル充電して、渋滞も信号も無い道路を走った場合。
しかし実際の道路は渋滞もあるし信号もある。坂道もあるし、一定の速度で走ることなんかありえない。夏は冷房、冬は暖房で走る以外のエネルギーも必要なので畢竟実際に走れる距離は短くなる。
これはガソリン車でも同じだ。

問題はEVカーはエネルギーをチャージする場所が少ない上に時間がかかること。
ガソリン車は燃料が少なくなってくるとスタンドで燃料を入れるだけ。
その時間長くても5分。
ところがEVカーは半分充電するのに30分。
しかも充電スタンドが少なく、あっても先客がいると何十分、何時間も待つ必要がある。
長距離を走ると余裕が欲しいので早めに充電することになるが、それだけ停車回数も増える。

充電問題はスマホやデジカメよりも深刻だ。

スマホなら必要に応じて予備バッテリーから充電することもできる。
デジカメなら予備のバッテリーと交換することができる。

海外を旅行すると電力事情もままならないところが多い。
そのためデジカメのバッテリーを複数持ち歩き、しかも夜充電のできるホテルなどでは忘れずチャージして旅行期間中に電池切れをすることの無いように注意する。

スマホもバッテリー切れを起こさないように使用方法を考え、充電のできる新幹線や飛行機のUSB端子やコンセントがあると充電することを忘れない。

しかし、EVカーはこのようなことができない。
EVカーで予備バッテリーを引きずって走るわけにもいかなし、予備のバッテリーの積み込んで走ることもできない。
充電スタンドは数が限られ、家庭用コンセントがあっても無意味だ。

畢竟長距離を走るとなるとEVカーには様々な障壁があり、これらは容易に解決できるとは思えない。

そもそもEVカーは明治時代には登場しているが、普及しなかった理由はバッテリーの問題があったから。
いくら高性能のバッテリーが登場し始めたとはいえ充電時間が30分、自宅で8時間、などということになると簡単に使うことなどできるわけがない。

ある動画では日産リーフの実際がレポートされていたが、運転席に表示される残り電気容量と実際の容量には差があるようで信頼性はない。
短距離を走るのはままアリとして、それでも雪の中、酷暑の中は超不得意で、もし豪雪に出会ったりすると低温下でバッテリーの能力もぐんと落ちるので、場合によっては運転者の命に関わることになるのだろう。

2035年まであと13年。

バッテリーの問題は解決できるのか。

もっとも2035年には私は免許を返却している可能性が高い年齢ですけどね。


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