<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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欠航便も多いので羽田空港は混雑していないだろうと思っていた。
だから着陸時間も早いのではないかと予想してたのだ。
ところがそうは簡単に行かなかった。
関西空港・大阪空港から羽田へのアプローチは木更津から東京湾アクアラインに沿って南から多摩川に沿ってあるA滑走路侵入するのが一般的だ。
でも、何故か今回はそのコースではなかったのだ。

伊豆半島を過ぎると早いときはこのまま三浦半島を回り込んで東京湾に入っていく。
ところが飛行機は三浦半島を東へ飛行。
房総半島へ入り、館山上空で進路を北にとった。
そのまま房総半島を手前に東京湾、三浦半島を左手に見ながら飛行した。
いつもなら真下に見える木更津の製鉄所も遠目に見ての飛行。

「ん、東京湾アクアラインがずいぶん遠い」

房総半島の内陸部を飛んでいるようだ。
というよりも右手の窓が見えればたぶん視界は太平洋だろう。
夏の九十九里が美しいかもしれない。
たまに通るこういうコースを飛行するといつもならそろそろ左手には千葉市中心部から幕張の高層ビル群が見えてくるはずだ。
ところがこの日はそれも遠目に見ながらますます北へ飛行した。
少しだけ進路が西に変わったようだが、そのまま北進している。

「どこまで行くんだ?」
「羽田は大阪や関西と違って混雑しているのか」
「どこか外国要人が来ているのか」
など、色いろ考えた。
私は左手窓ぎわ座席に座っているので見ることはできないけれども、右手からは成田空港が見えているに違いない。
それほど内陸部を飛んでいた。

そうこうしているとやっとこさ機首を大きく左旋回。
地上に雲の合間から小さな飛行場が見える。
「どこやろ」
このあたりの地理には疎いので、どこを飛んでいるのかわからない。
たぶん千葉と東京の都県境だろう。
雲が多くて霞んでいるのでなかなか見にくいが5分もすると海が見えてきた。
葛西臨海公園も見える。
やがて左手に羽田空港の第二ターミナルが見える。

「おお、B滑走路への着陸なんや」

東から西方向に伸びるB滑走路は終点が国際線ターミナル近くなので第二ターミナルに到着する私としてはあまりうれしくない。
着陸してからの移動時間が長いからだ。

ドスン!
と着陸したA320は逆噴射をしてすぐにスピードをダウン。

「ただいま羽田空港に着陸いたしました。当機は皆様をバスにて到着ターミナルへご案内いたします」
「えっ」

羽田空港はコロナ禍で空いている。だからバスなどありえない、と思っていた私の予想はまたしても外れることになった。
大阪〜東京は航空会社にとってはドル箱路線。
しかも新幹線と熾烈な競争をしているのでターミナルでの乗り降りに時間がかかると新幹線に負けることになるのでバスはそんなに無いのだが、今日はバス。

「羽田空港は混んでいる」
という仮説が成立するかに見えたその瞬間。
飛行機の窓からは異様な光景が....。

空いている場所という場所にはANAとJALの飛行機が所狭しと駐機されている。
2社に混じって他の会社の飛行機も少し混じっているが、これほどあらゆる種類の飛行機がぎっしりと駐機されている風景はかつて見たことがない。

コロナ禍で欠航されて活躍の場を失っている飛行機たちなのであった。
羽田空港は日本の玄関口であると同時に巨大な駐機場に変貌していた。
これはかなりショッキングな光景なのであった。

つづく


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