<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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今年の秋でJR西日本の新快速電車が走りはじめて50年を迎えるのだという。

この新快速電車、何で有名かというと早いことで有名なのだ。
大阪〜京都 約30分。
大阪〜三宮 約20分。
大阪〜姫路 約60分。
いずれも在来線の特急なみである。

阪神大震災以降に停車駅が増えたことと、宝塚線の転覆脱線事故以降に若干のスピードダウンを図ったため所要時間が少し伸びてしまったのだが、それでも在来私鉄を圧倒する速さなのだ。
なんでも最高時速は130km/hなのだという。
乗っているときは車両が新しいこともあって揺れをあまり気にすることがないのでスピード感はあまりない。
それでも阪急や京阪なら45分以上必要な大阪〜京都間を15分以上短縮した時間で走破するのは運賃が多少高いことを考えてもメリットはある。
新快速よりも早く大阪から京都まで行こうと思うともはや選択肢は新幹線しかない。
特急サンダーバードに乗ったとしても所要時間は新快速と同じがそれより遅いという信じられないダイヤ編成なのだという。

この新快速電車。
東は福井県の敦賀か滋賀県の彦根、西は播州赤穂まで走っているのだが、かつて私の住んでいる大阪府南部も走っていたことがある。
天王寺〜和歌山間のJR阪和線で、天王寺を出ると鳳駅にしか途中停車せず、そのまま和歌山まで行ってしまうという優れものなのであった。
これは阪和電鉄時代の特急を模倣したものであったのだろうか、天王寺から和歌山までの所要時間は多分40分。
南海の難波〜和歌山が約60分なので大阪〜京都同様ぶっ飛ばしである。

当時私は堺市駅を最寄りとしていた。
このため利用駅を通過する新快速電車にはいささか関係なしの不自由さを感じながらも大胆な停車駅に「大丈夫かいな」と子供心に感じていた。
大丈夫かいな、というのは途中一駅しか停車しないし、しかも終点は和歌山というような電車をどれほどの人が利用するのか。
大いに疑問であったからだ。

当時はまだJRではなく国鉄時代。
浮世ずれした国鉄エリートのマーケティング担当がアホなダイヤを組んだのであろう。
子供だった私の予想通り、1年ほどしか存在できない幻の新快速電車になってしまったのであった。

そもそも和歌山の方には申し訳ないが和歌山は産業が偏っている。
例えば和歌山市の面積の3分の1は住友金属工業和歌山製鉄所であり、その製鉄所の隣に製鉄所の3分の1ぐらいの広さの花王和歌山工場がある。
この2社で和歌山市の圧倒的面積を占めているため移動する人が極めて限られる、というところに問題があったと思う。
今も問題だと思う。
で、その2社以外はほとんどが農業と漁業、林業の地域なのだ。
和歌山の一次産業はすごい規模なのだが農業や漁業、林業関係者はたぶんあまり電車を利用することはない。
したがって御三家のお膝元ながら和歌山は京都や神戸と比べると交通機関のマーケットの魅力としては雲泥の差があるわけだ。

ともあれ新快速50年。
京阪神ならではの電車なのだ。




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