tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

円安、円高、変動の原因、変動の結果と対策は?

2022年08月01日 15時04分13秒 | 経済
この所の円レートの変動は、ひどいですね。アメリカが大幅な利上げを続けたからという事で、円安になり、円はどんどん売られて1ドルが140円に行きそうになり、専門家の中には150円に行くかもしれないなどという人もいました。

日本国内では原油等の輸入物価上昇に加え円安の進行で補助金や給付金とか、後追いのバラマキが必要といった議論がありましたが、1週間ほどのうちに1ドルが132円辺りまで円高になりました。

日銀は異次元金融緩和を続けると明言していて、日本の金融政策は変わりないのですが、何故急に円高に戻ったかには別途解説があって、アメリカの金利引き上げがあまりに急なので、アメリカの景気後退の可能性を懸念、ドルを売って、比較的安定している円を買う動きが強まったというのです。

確かに理屈はそうかもしれませんが、そんなことで円の価値が数日間で7~8円も動くのに政策が対応しようとしてもとても無理でしょう。当面政府も沈黙です。

今日の様な主要国の為替レートが、国際投機資本の思惑によって関係する国の経済に大きな影響を与えるような状況の下では、為替レートの変化に対する適切な対応などは不可能でしょう。

例えて言えば、つい先日までの$1=¥140といった円レートが今後も続き、さらに円高の可能性があるのであれば、政府・日銀は変化した円レートに対する適切な政策を着実に導入する必要があるでしょう。

しかし早晩120円がらみの水準の戻るというのであれば、特段の政策の導入は必要ないのかもしれません。
先日の日銀短観に見ますように、調査対象企業が今年度の平均円レートとして予測しているのは$1=¥120です。

つまり、実物経済の動きが予断を許さないような場合に、実物経済の規模よりずっと巨大な金融市場のマネーゲーマーたちの思惑によって、為替レートの動きが拡大投影されて大きく変動するような今日の国際金融情勢の場合には、何らかの特別な対応策が必要という事ではないでしょうか。

個々の取引については「ヘッジ」によって、為替レートの変動を中立化する事はある程度可能でしょうか、マネーゲームではそうした「ヘッジ」にもレバレッジがかけられ、結果的に変動幅を大きくするようなのが現実でしょう。

為替レートの変動を中立化する方法はいろいろ考えられるでしょうが、そこに巻き込まれる問題が在ります。

それは、為替差益、為替差損の問題です。
具体的には今回の円安で、輸入関連産業は、国内への価格転嫁は容易でなく、差損を織り込まなければならなくぬなり、輸出関連産業は、坐して差益の恩恵に浴するという問題です。

日銀総裁の一言で円安になれば、こうした差損、差益が発生するという事は、経営努力や生産性向上努力とは無縁です。
ある意味では極めて不合理なこうした産業間の格差発生問題が、上記の政策で是正されれば、これは経営の安定にとって、歓迎すべき問題ではないでしょうか。

単純に輸入産業に補助金を出すといった弥縫策ではなく、異常な為替変動については本格的な合理的政策システムを確立すすることが必要のように思われます。

<追記>
此処では為替レートの変化の場合について、取り上げましたが、国際的な原油価格上昇といった海外価格の上昇の問題の場合は、より簡単で、基本的には、単に、合理的な価格転嫁を徹底することで足りると考えています。

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