tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

円安とインフレを正確に理解しよう

2014年12月06日 15時54分20秒 | 経済
円安とインフレを正確に理解しよう
 $1=¥120前後まで円安が進み、「円安の弊害」があちこちで取り上げられるようになりました。
 リーマンショックで120円→80円という円高になって、円高の苦痛が日本中で大変深刻だったのは数年前です。
 120円に戻ったら、今度は円安の弊害が言われます。問題はいろいろあると思いますが、ここは冷静な判断と、適切な政策、そして国民の合理的な行動が必要でしょう。

 「基本的」には、自国通貨の評価が上がること(円高)は、その国の経済にマイナスの影響を持ち、逆に自国通貨の評価が下がること(円安)はプラスの影響を持ちます。
 これは「為替レートとゴルフのハンディ」(2014年7月15日付)で説明した通りです。

 しかし、経済というものは、不都合があれば、その不都合に適応するように行動する(人間の体などと同じ)ものですから、その不都合がなくなると、今度は元に戻すのに結構手間と時間がかかるのです。

 今、大企業・輸出企業はもうかり、中小企業・輸入原材料を多用する企業はかえって厳しくなるという状態や、物価は上がるけれども、賃金は上がらないから消費が伸びず、景気回復が進まないなどと言った状態は、「元に戻すのに結構手間と時間がかかる」と言うプロセスの真っ只中にいることの結果でしょう。

 このプロセスを放置することは、どちらかと言えば「知恵の無い」ことで、円安という条件変化の本質を確り把握して、適切な政策をとれば、新しい状態への適応をより早くすることが出来ます。

 もちろんこんなことが起きるのも、今の国際金融制度が「マネー資本主義」に便利なように出来ていて、為替レートが国際投機資本の思惑で常に乱高下するようなことになっているからで、これをもう少し為替レートは安定するような仕組み(例えばクローリングペッグ制やバンド制、通貨委員会制などなど)考えるべきという意見はありますが、今はそうなっていないので、現状に対応するしかありません。

 現状指摘されている主要な問題は、先ほど触れましたが、一つは輸出企業が儲かり、輸入企業は損をするということでいいのかという問題、もう一つは、円安で輸入品が値上がりし物価が上がるのに賃金は上がらない、その結果、消費は不振で、景気回復が遅れてしまう、3つ目は、円安になったのに、予想より輸出が伸びない、などの問題でしょう。
 これらの点を一つ一つ見ていってみましょう。


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