tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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平均消費性向の上昇は本物か?

2018年11月07日 15時47分27秒 | 経済
平均消費性向の上昇は本物か?
 今日はアメリカの中間選挙の結果が解る日で、現状では、上院は共和党、下院は民主党が過半数という「ねじれ状態」になるようです。共和党が全面勝利となったら、アメリカの良識は何処に行ったかと言われるところでしたが、アメリカの良識の健在を喜びたいと思います。

 ところで毎月定点観測をしている勤労者所帯の平均消費性向です。昨日、今年の9月分が総務省統計局から発表になりました。
ご承知のように平均消費性向は「可処分所得(手取り収入)」のうち何%を消費支出したかという数字で、残りは黒字率で貯蓄に回った分です。

 政府が、企業の利益は増え、求人は活発なのに、景気が思うように良くならないのは消費不振のせいだと言いうことで、春闘で賃上げ奨励をしているのは例年の事ですが、結果は賃上げをしても消費は増えないのです。

このブログでは、平均消費性向が上がらないのは、消費者の老後不安などの「先行き不安」のせいだと(皆もそう言っていますが)と判断していて、消費者の将来不安を示す重要な指標として「平均消費性向」を見続けています。

 一言で言えば、可処分所得が増えても消費が増えないことを示す具体的な指標が、勤労者所帯の『平均消費性向』という形で毎月総務省統計局から発表されているわけです。
 今年の消費性向を前年同月と比べて、低くなっていれば、将来不安が強まっていると理解されますので、毎月前年同月との比較に注目です。

この数字は今年は1月には上がりましたが、その後ずっと低迷状態で、8月になって何故か微かに上がってきました。さて9月はどうだったのでしょうか。
 家計調査によれば、9月の勤労者所帯の「平均消費性向」は、前年同月比で0.5%ポイント上がりました(今年82.8%、昨年9月82.3%)。

 微かな上昇ですが、今年に入ってからの推移は、 前月、図にした通りですから、2月から7月までの低迷状態から8月+0.5、9月も+0.5と、少しですが財布の紐が緩んだという事になっています。

 さて、この「平均消費性向」の上昇は本物でしょうか。
 安倍政権が国民の将来不安が軽減するような政策をとってくれていませんから、基本的に上昇傾向になるとは考えられませんが、何か変化の可能性も無きにしも非ずです。

 例えば、景気が安定してきた(トランプ不安はありますが)とか、消費増税まで1年ほどになったので、そろそろ必要なものは買っておいた方がいいか、という心理が働いたのか、未だ状況を見ていかないと解りませんが、もしかしたら、国民の中に、「将来不安疲れ」が出て、日本人も「アリ型」から「キリギリス型」に少し変わってきたのか、景気の先行きとも絡んで、まだまだ見ていく必要がありそうです。

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