円レートが160円になって、財務省が慌てたのでしょうか5兆円ほどのドル売り・円買いをして154まで戻したというニュースがありました。
アメリカの財務長官のイエレンさんが「為替介入は滅多にやるのもではない」といった直後ですから、このニュースが「虚か実か」は解りませんが、例えて言えば「1件虚に吠えて万犬実を伝う」ようなもので、国際投機資本は少し警戒状態かもしれませんが、円レートは次第にまた156~7円になったりしています。
評論家の中には、アメリカが金利引き下げを言わなければ何れ160円に戻るでしょうなどと言っている人もいるようです。
アメリカのインフレ次第で円レートは変わるわけで、財務省筋は、急激な円安になると輸入品価格が上がって消費者物価が上がり、折角の賃上げがチャラになったら大変だと言いますし、日銀も賃上げを伴わない物価上昇になっては予測が外れると困惑でしょう。
一方で輸出関連産業は円安差益拡大でニコニコかも知れませんが、日本全体の事を考えれば、単純に喜んでだけはいられないという思いではないでしょうか。
変動相場制の下で、マネー資本主義が育ち、国際投機資本が巨大なマネーを持つようになれば当然こうなりますし、国際投機資本には「満腹」という概念はないようですから、こうした現象は激化こそすれ平穏になることはないでしょう。
ならば、日本のような国はどうしたらいいかという事です。そこでこのブログも満を持し手と迄は言いませんが「それなりの」対抗策を考えてみました。
- まず日本としての適正な為替レートを決める。例えば、前年度の平均円レートとか年度初めの円レートでもいいでしょう。購買力平価でも構いません。
- 決めたレートより円レートが変動して企業別に出た「差益」「差損」を企業は算出する。
- 企業の決算の結果のうち、「差益」「差損」の部分は企業努力と関係ないので、官か民かの特別な機関に「プラス」「マイナス」という形でプールする。
- 年次とか月次で企業別に差益と差損を相殺する。輸出と輸入がほぼ同額の日本では当面それで為替レートによる損得は相殺される。
ところで、為替レートの変動が長期的なものになれば、単に差益・差損だけではなく、日本経済全体の国際競争力に影響しますから輸出入やインバウンドの量、更には産業構造や雇用構造にも影響します。
その場合は実体経済の変化ですから雇用や賃金も含めた経済構造の変化での調整が政府・労使の対応行動が必要になります。
しかし、マネーゲームによる短期的な為替レートの変動には上の①~④でほぼ対応できそうな気がします。
もう一つ指摘しておかなければならないのは、原油、LNGなど国際価格の上昇で、輸入物価が上昇、国内物価に影響してくるといった場合は、為替レートの変化とは全く違うという事です。
この場合の輸入価格の上昇は、輸入額が上昇した分だけ、日本の所得(富)が海外に流出したのですからこれは価格転嫁して、国民全体で負担しなければなりません。