tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2パーセント賃上げ要求と日本経済

2015年02月15日 15時16分09秒 | 経済
2パーセント賃上げ要求と日本経済
 昨年10月 「連合の要求基準は健全の範囲」と書きましたが、日本の労働組合は日本経済における「賃金、物価、生産性」の関係について、知悉しているように思います。

 昨年の春闘で、連合は1パーセント以上を要求し、定期昇給分も加えて最終集計で1.7パーセントを獲得したと発表しています。

 これから類推すれば、今年は2パーセント以上の要求で、3パーセント弱の賃上げになるのでしょうか。政府の経済見通しの閣議決定版が12日に出て、雇用者報酬は2.5パーセントの増、雇用者増は0.3パーセントですから、来年度の1人当たり雇用者報酬(1人当たり総額人件費に相当)は2.2パーセントになります。多少控えめでしょうか。

 政府見通しでは民間最終費支出は2.0パーセント増ですが、もう少し増えそうです。経済成長率は多分政府見通しを越えて約2パーセント、就業者の伸び(政府見通し0.2パーセント)を差し引いた国民経済生産性は1.5パーセントを上回りそうです。

 生産性上昇を越えた賃金の上昇は物価上昇になりますが、生産性上昇1.5パーセント強、賃金コスト上昇3パーセント弱で、物価への影響は1.5パーセント弱、円安の価格転嫁の積み残し、消費税の積み残しを加えても、政府・日銀の望む2パーセントにはいかないでしょう。政府見通しは1.4パーセントです。GDPデフレーターは原油輸入価格の低下を見込んで、1.2パーセントです。

 もともと2パーセントのインフレターゲットは高すぎると私は思っていますが、来年度経済は、健全さを逸脱しない春闘の結果の上に、健全な安定成長路線を進むことになるのではないでしょうか。

 勿論、こうした経済の見通しは天気予報とは違います。経済主体である政府、国民、労使の努力で変わります。国民がその気になって行動すれば、着実に改善も実現できます。
 
 ここ当分、日本経済はそれ自体としては、健全な安定成長路線を進みうると見ています。もしそれを阻害するようなことが起こるとすれば、それは海外からの原因でしょう。

 ギリシャなどのユーロ加盟国の問題もありますし、出口の見えない国際紛争もあります。しかし、最も注意すべきは、「今世界で一番順調な経済」といわれるアメリカ経済が、内実は、拡大する内需の裏で着実に進行している「双子の赤字」によって、「何時かは躓く」という問題を担っているとではないでしょうか。
 次回はミクロの面から春闘を見てみましょう。


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