2パーセント賃上げ要求と日本経済
昨年10月 「連合の要求基準は健全の範囲」と書きましたが、日本の労働組合は日本経済における「賃金、物価、生産性」の関係について、知悉しているように思います。
昨年の春闘で、連合は1パーセント以上を要求し、定期昇給分も加えて最終集計で1.7パーセントを獲得したと発表しています。
これから類推すれば、今年は2パーセント以上の要求で、3パーセント弱の賃上げになるのでしょうか。政府の経済見通しの閣議決定版が12日に出て、雇用者報酬は2.5パーセントの増、雇用者増は0.3パーセントですから、来年度の1人当たり雇用者報酬(1人当たり総額人件費に相当)は2.2パーセントになります。多少控えめでしょうか。
政府見通しでは民間最終費支出は2.0パーセント増ですが、もう少し増えそうです。経済成長率は多分政府見通しを越えて約2パーセント、就業者の伸び(政府見通し0.2パーセント)を差し引いた国民経済生産性は1.5パーセントを上回りそうです。
生産性上昇を越えた賃金の上昇は物価上昇になりますが、生産性上昇1.5パーセント強、賃金コスト上昇3パーセント弱で、物価への影響は1.5パーセント弱、円安の価格転嫁の積み残し、消費税の積み残しを加えても、政府・日銀の望む2パーセントにはいかないでしょう。政府見通しは1.4パーセントです。GDPデフレーターは原油輸入価格の低下を見込んで、1.2パーセントです。
もともと2パーセントのインフレターゲットは高すぎると私は思っていますが、来年度経済は、健全さを逸脱しない春闘の結果の上に、健全な安定成長路線を進むことになるのではないでしょうか。
勿論、こうした経済の見通しは天気予報とは違います。経済主体である政府、国民、労使の努力で変わります。国民がその気になって行動すれば、着実に改善も実現できます。
ここ当分、日本経済はそれ自体としては、健全な安定成長路線を進みうると見ています。もしそれを阻害するようなことが起こるとすれば、それは海外からの原因でしょう。
ギリシャなどのユーロ加盟国の問題もありますし、出口の見えない国際紛争もあります。しかし、最も注意すべきは、「今世界で一番順調な経済」といわれるアメリカ経済が、内実は、拡大する内需の裏で着実に進行している「双子の赤字」によって、「何時かは躓く」という問題を担っているとではないでしょうか。
次回はミクロの面から春闘を見てみましょう。
昨年10月 「連合の要求基準は健全の範囲」と書きましたが、日本の労働組合は日本経済における「賃金、物価、生産性」の関係について、知悉しているように思います。
昨年の春闘で、連合は1パーセント以上を要求し、定期昇給分も加えて最終集計で1.7パーセントを獲得したと発表しています。
これから類推すれば、今年は2パーセント以上の要求で、3パーセント弱の賃上げになるのでしょうか。政府の経済見通しの閣議決定版が12日に出て、雇用者報酬は2.5パーセントの増、雇用者増は0.3パーセントですから、来年度の1人当たり雇用者報酬(1人当たり総額人件費に相当)は2.2パーセントになります。多少控えめでしょうか。
政府見通しでは民間最終費支出は2.0パーセント増ですが、もう少し増えそうです。経済成長率は多分政府見通しを越えて約2パーセント、就業者の伸び(政府見通し0.2パーセント)を差し引いた国民経済生産性は1.5パーセントを上回りそうです。
生産性上昇を越えた賃金の上昇は物価上昇になりますが、生産性上昇1.5パーセント強、賃金コスト上昇3パーセント弱で、物価への影響は1.5パーセント弱、円安の価格転嫁の積み残し、消費税の積み残しを加えても、政府・日銀の望む2パーセントにはいかないでしょう。政府見通しは1.4パーセントです。GDPデフレーターは原油輸入価格の低下を見込んで、1.2パーセントです。
もともと2パーセントのインフレターゲットは高すぎると私は思っていますが、来年度経済は、健全さを逸脱しない春闘の結果の上に、健全な安定成長路線を進むことになるのではないでしょうか。
勿論、こうした経済の見通しは天気予報とは違います。経済主体である政府、国民、労使の努力で変わります。国民がその気になって行動すれば、着実に改善も実現できます。
ここ当分、日本経済はそれ自体としては、健全な安定成長路線を進みうると見ています。もしそれを阻害するようなことが起こるとすれば、それは海外からの原因でしょう。
ギリシャなどのユーロ加盟国の問題もありますし、出口の見えない国際紛争もあります。しかし、最も注意すべきは、「今世界で一番順調な経済」といわれるアメリカ経済が、内実は、拡大する内需の裏で着実に進行している「双子の赤字」によって、「何時かは躓く」という問題を担っているとではないでしょうか。
次回はミクロの面から春闘を見てみましょう。