tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

購買力平価と為替レート:マーケットは正しいか

2015年12月26日 09時20分21秒 | 経済
購買力平価と為替レート:マーケットは正しいか
 2013年、黒田日銀の異次元金融緩和で、それまでの円高が円安に転じた時、当初は、日本の 円安政策はけしからんといった論調がありました。結局はアメリカが円安を容認したので、$1=¥100をマーケットも認め、その1年後の金融異次元緩和第2弾で$1=¥120が常態となりました。

 経済学では「マーケットは正しい」という考え方が基本にあり、これは本来そうあるべきだという点で、広く認識されていることでしょう。
 しかし、現実のマーケットは、巨額の信用取引を武器に、戦略的活動に満ちており、現に、とても「正しい」と言えないというのが実感でしょう。現に、ストラテジスト(戦略家)などという肩書の人がマスコミにはよく登場します。

 為替レートの場合、「適切なレート」の基準とされる指標に「購買力平価」があります。一定の量・質の財・サービスを買った時その国の通貨でいくら支払うかという数字で、その国の通貨の価値を測る方法です。
 マクドナルドのハンバーガーがアメリカで1ドル、日本で120円なら$1=¥120がマクドナルドハンバーガーの購買力平価です。

 TPP交渉でもわかりますが、アメリカと日本でも、アメリカの方が安いもの、日本のほうが安いものといろいろありますので、何をどれだけ買って比較するかの問題はついて回りますが、巧く活用すれば合理的な比較方法であることは事実でしょう。

 日本が円高に呻吟しているころ、OECDの調査で、日本の円は購買力平価より36パーセント高く評価されているという資料が出たことがありました。
 当時は、まさに実感だと思いましたが、今の日本で言えば、$1=¥120は、ほぼ購買力平価に近いものではないでしょうか。

 国際通貨研究所のデータでも、消費者物価で比べれば130円近辺、企業物価で比べれば100円近辺といった計測結果(2015年1月)が出ています。
 ゴルフなら、ハンディ12で実力も12といったところではないでしょうか。ドライバーの飛距離で稼いだり、寄せとパットが良かったり、いろいろですが、上がってみれば、いつも大体12オーバー・・・、といった感じでしょうか。

 しかしこれ($1=¥120)では日本は万年経常黒字です、もっと円高でも、といった意見も海外にはありましょう。しかし、縷々述べていますように、これは円高で解決すべき問題ではないようです。

 深刻化する日本社会の問題と重ね合わせて、国内経済政策で解決すべき問題でしょう。日本経済・社会の総合的なバランスの回復が必要なようです。
 次回、そのあたりを見ていきたいと思います。


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