tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

世界経済の混乱とアメリカの責任

2013年07月26日 09時54分19秒 | 経済
世界経済の混乱とアメリカの責任
 本心を言えば、こんな問題は書きたくありません。他国の悪口や批判などは言いたくないのです。それぞれの国がきちんと自分の責任を果せば、こんなことを書かなくて済みますし、世界経済の大きな混乱も避けられます。アメリカに考え直してほしいのが本心です。

 アメリカはドルという基軸通貨の国です。基軸通貨の価値が勝手に変動するというのはどういうことでしょうか。基軸通貨は世界の経済価値の基準、例えて言えば、メートル原器ですから、メートル原器が勝手に伸びたり縮んだりするのと同じです。その中でまともな構造物の設計や製造をしようとしても、そんなことは全く不可能です。

 基軸通貨の価値が変動すれば、つまり為替レートが変動すれば、各国の経済計画などは当然ご破算です。せめてある程度の時間は基軸通貨の価値は不変で、変更するときはきちんと国際機関などに諮り、了解を得たうえで、その範囲でやるべきでしょう。

 思い出してみれば、嘗てアメリカが理想として掲げたブレトンウッヅ体制というのは固定相場制でした。世界経済は安定していて、どこの国も、経済運営をしっかりやれば、その分成果が上がるという体制だったわけです。
 もちろん確りやらない国もありました。戦後の日本もその1つで、杜撰な財政・金融政策でインフレを起こし、アメリカの指導で、所謂ドッジラインを敷かれ、緊縮政策による不況を強いられ、それを教訓にその後は健全な経済運営に努力してきました。

 ところが、1970年、アメリカはこの方針を止めてしまいました。理由は、アメリカ自体が、経常赤字国になってしまい、ケネディ大統領などは苦心したようですが、ニクソン大統領に至り、健全経済への努力を断念し、ドルの切り下げで済ます方針に転換しました。

 ドルの価値切り下げの目的は、本来はアメリカの経常赤字を消すためだったはずです。
 しかしアメリカは、ドルを切下げても世界が文句を言わないのをいいことに、国民に苦労を強いる経済健全化よりも安易なドル切り下げの繰り返しを選択して来てしまったのです。

 そして今に至るアメリカ経済は健全化が出来ないのです。稼ぎより使う方が多い赤字国です。その結果、基軸通貨ドルの価値は、下がり続け、円との比較で言えば、$1=¥360→¥80と4分の1以下にまで下がりました。

 問題は、それが世界経済に何をもたらしたかです。(以下次回)