tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本経済低迷の発端はプラザ合意

2010年03月18日 12時14分19秒 | 経済
日本経済低迷の発端はプラザ合意
 歴史的に見れば、二度のオイルショックを乗り切って、ジャパンアズナンバーワンといわれた日本経済が、急転してバブルとその崩壊、失われた10年に転落していた発端はプラザ合意 による円高受け入れでしょう。

 それまでの日本は、いわば「欧米何するものぞ」といった気概を持っていました。典型的には、このたび閉鎖の方向になっているNUMMIの事例でしょう。GMの最悪の工場といわれたフリーモント工場を日本の経営技術、生産技術、それに日本的労使関係を移植すれば、必ず立ち直らせることができるといった自信をもち、現実にそれをやってのけています。

 こうした日本が、守り一辺倒、縮み志向になっていったのは、それまで、頑張れば明日は明るいという認識が、頑張るほど円高が進むという環境の中で、明るい明日が否定されてしまったからといえます。

 頑張った国が通貨の切り上げに苦しみ、安易な経済運営をやっていた国がその分楽をするという理不尽な関係の正当化 が、まともな国際通貨政策でしょうか。 そして問題は、それに対して、日本では政府も日銀も、ほとんど何の反応もしていなかったという事ではないでしょうか。

 宮沢回顧録で、宮沢さん(当時総理大臣)は「あの時は、毎日のように大変な円高で本当に困りました。」と書いているだけです。
 一方、日銀の方々とお話しても、プラザ合意の問題は避けて話さないというのが私の受けた感じでした。

 つい最近まで、政府、日銀からは「為替はマーケットで決まるものだから・・・・」といった意見が聞かれました。マーケットは正しい、それに抗うことは良くないといった感覚でしょか。

 頑張れば頑張るほど円高になるというのは、まさに、デフレと円高のスパイラル、最悪の経済状態 でしょう。対策は、デフォルトになるようなことをやって、円安にすることしかありません。

 国際為替市場がおかしいのか、それをずっと認めて何もしなかった日本の政策がおかしいのか、今朝の朝日新聞で、来日中のスティグリッツ博士(元世界銀行副総裁、コロンビア大学教授)が、日本への助言を求められて、技術を生かしたマクロ・ミクロ両面の政策強化をアドバイスした上で、「現状の為替水準では産業の競争力を維持することは難しく、介入してでも円安に誘導すべきだ」といっています。