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tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

海難事故

2008-11-06 20:47:53 | プチ放浪 海沿い編

 

今日は、マジな話。
よく、「ダイビングは安全ですか?」と聞かれる。聞いてくる相手は、まだ海の中を知らない人達だから、海の恐さを本能的に知っている人達だ。海の中でエアが切れたらどうなるのだろうと。
多くのダイバーは、その質問に対し「バディシステムもあり、絶対に安全だ」と応えるに違いない。確かに守るべきところを守れば、非常に安全なスポーツなのかもしれない。
ダイビングを始める取っ掛かりとして、いろいろなダイビングショップがあるのだが、そのほとんどは、ひたすら、「楽しいですよ、安全ですよ」としか言わないだろう。客に逃げられてしまえば、即、明日の生活に困ることになるからだ。

ところが、下田ダイバーズは違っている。
先日の田子でカズさんとの話。一万本以上潜っているこの業界のベテラン中のベテランの彼だ。
そんな大ベテランにもかかわらず、「海は怖いよね」と彼は言う。その言葉を聞いたとき、本当に海は怖いんだなと思えてくる。
何にもまして安全を優先するこの人は、本当に信用できるインストラクターだ。

先々月の9月末に太平洋上で発生した台風15号は、偏西風に乗り西にゆっくり進んで台湾を直撃したあとに進路を変え、日本の太平洋沿岸を進んでいった。10月2日には関東の南東海上で温帯低気圧に変わったのだが、九州南部から日本の南海上に延びる前線が活発化して、西・東日本の太平洋側で大雨や暴風の被害が出た。
この台風で、9月29日の朝、南伊豆町石廊崎沖で伊豆漁協南伊豆支所所属の漁船 伸東丸(3名乗組み)のうち1名が操業中に海中転落して行方不明になった。第三管区海上保安本部から下田海上保安部へ連絡が入り、翌日、捜索隊が組まれたようだ。
下田ダイバーズや神子元のダイビングインストラクター達も、この捜索に駆り出されたらしい。
うねりがひどくなれば、遺体がひどく損傷する。だから、早く見つけてという関係者の切なる願いがあった。

遺体を見つけたのは神子元のイントラ。海中で遺体と遭遇したそのイントラは、重度の心的外傷(トラウマ)を受けた。
カズさんは、そのイントラを呼んで、下田ダイバーズの面々にそのときの話を聞かせた。
「水難遺体を実際に見たことで、安全に対する意識が完全に変わった」と、そのイントラは言う。
海を愛する者は、絶対に海で死んではならない。
泳げないころからずーと、そして、今でも海は怖いし、この怖さがゼロになったとき、それはダイビング事故を起こすときだと思っている。
海をナメたとき、それは死に一番近いところにいることになる。
ダイビングは守るべきことさえ守れば、決して危ない遊びではない・・・・・・。


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雲見 クマノミ(訂正とお侘び)

2008-11-05 22:45:26 | プチ放浪 海沿い編

 

先月の末(2008年10月30日)に「雲見 クマノミ」として書いた記事に間違いがあった。
”冬にクマノミが死滅した後もイソギンチャクには特に変化はない。したがって、イソギンチャクにとって、クマノミはいなくてもあまり関係ないようだ。”という記述の部分だ。
チョウチョウウオの食性を調べていたら、どうやら、チョウチョウウオの仲間のトゲチョウチョウウオは、小型のイソギンチャクや海綿、小動物を食べているらしい。それをイソギンチャクから追い払っているのが、クマノミのようだ。したがって、クマノミとイソギンチャクは、互いにそれぞれを守りあっている美しい共生関係にあると言える。互いに、防御に苦手な部分を補い合って生活しているのだ。

そもそも、<クマノミがいなくてもイソギンチャクには関係がない>とする根拠は、千葉県館山市にある財団法人 海洋生物研究所(http://www.kaiseiken.or.jp/)を見学する機会があり、そこで飼育されていた数種のクマノミについて議論した結果による。
つまり、日本では季節回遊魚、または、死滅回遊魚と言われるクマノミやトゲチョウチョウウオなどの魚は、温帯海域の水深 15 ~ 20 メートルの浅場に住んでいる。チョウチョウウオの場合は、春から夏にかけて一度に数千個のも卵を産卵し、その卵は海水表層を浮遊し、やがてふ化して稚魚となる。長い浮遊期間を経て、なんとか流れ着いた浅場で越冬にチャレンジするのだ。しかし、本州では越冬できずに死滅してしまうので、イソギンチャクは冬にそうした魚たちに食べられることはない。だから、クマノミが死滅しても、トゲチョウチョウウオも同時に死滅するから、本州のイソギンチャクは冬の間は安泰なのだ。
あやふやな情報で、不確かなことを書いてしまったことと、クマノミの戦士としての名誉を傷つけてしまったことを深くお詫びして訂正します。

また、伊豆で見ることができるクマノミは一種類のみと記載したのだが、先日、田子の海で一緒に潜ったバディの女性が、カクレクマノミを目撃したらしい。カズさんも、また、地元のダイブサービスのお兄ちゃんも、カクレクマノミの存在を否定していない。
伊豆では見ることができないと定説になっていたカクレクマノミだが、ひょっとしたら温暖化の影響などで、晩夏の本州で生息が可能になっているのかもしれない。
いずれ、水中でクマノミを見つけると、思わず頬が緩む。クマノミの体は決まって赤っぽい地に、白いバンドが入っている。これはイソギンチャクの中に入ったときに、よいカモフラージュになると言われている。しかし、かえって目立っているような気がするのだがどうだろう。目立つことで魚をおびき寄せて、イソギンチャクの毒で麻痺させおこぼれをもらうとすれば、やっぱり、クマノミはただものではない。それでも、ダイバーにかわいいと言わせるそのすごさ・・・・・・。


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雲見 一枚のマップ(その2)

2008-11-04 21:58:14 | プチ放浪 海沿い編

 
 
 
 

11/2(日) 田子、天候 晴 水温 22℃ 透明度 5メートル
(1本目)弁天島、網代、(2本目)弁天島、網代、(3本目)白崎、(4本目)弁天島

ひとまず海から上がり、田子の港に設けられたダイビングサービスの風呂へ直行するダイバーたちを尻目に、カズさんと2人で暖かな日差しの中、潮風に吹かれながらデッキチェアに座ってどんぶり入りのチャーハンを食べた。
その時、カズさんから聞いた話。
人づてに、カズさんが数年前に脳梗塞で倒れたことを聞いていたが、本人の口からそのことを聞くのは初めてだった。病気に倒れ、海を失ってしまった彼。
数年のリハビリを経て、カズさんは海に戻った。ある医者からは、再発すると脅されてダイビングを禁止させられていた。
ところが、別の医者の意見では、高圧空気を吸うことが、脳を活性化させるのに都合がいいとのことだったのだ。
常連の客たちがカズさんの復帰ダイビングをセットして、ダイビング中も彼をこっそり見守った。
病気に倒れた後、5年ぶりに田子の海に入ったカズさんは、そのダイビングを終えて大泣きした。

・・・・・・また、海に帰ってこれた。
その横で、ショップを手伝っている泣き虫のミホ(ヘッド・インストラクター)が、ワアワアともらい泣きしたらしい。
「2人で田子の浜辺で、人目もはばからず。ワアワアと。船頭が不思議そうに見ていた・・・・・・」
髭もじゃの顔で笑いながら彼は語った。

デキの悪い生徒のオープンウォーターのライセンスの認定で、自分が認定者であるにもかかわらず、生徒と一緒になって合格の喜びの涙を流しているヘッド・インストラクターの姿を思い出して、そして、2人が浜で手を取り合って泣いている様子を想像して、ぼくは海の中で鼻の奥がツンとなった。

なぜ、ダイバーは海に潜るのか。魚が好きだからというダイバーもいるし、水中景色が好きだからというダイバーもいる。だけどぼくにとっては、いつだって、海が大きな感動を与えてくれるから。

カズさん。人とうまく会話ができない男でごめん。でも、下田ダイバーズに行くようになって、特に、うるさいほど話しかけてくれる女性イントラと会話するようになって、ぼくのキャラはだんだん変わってきているのを感じています。
しばらくは、下田に通います。


雲見 一枚のマップ

2008-11-03 16:05:40 | プチ放浪 海沿い編

 
 
 
 

11/1(土) 田子、天候 晴 水温 22℃ 透明度 8メートル
(1本目)弁天島、網代、(2本目)弁天島、網代、(3本目)白崎、(4本目)弁天島、網代(ナイトダイビング)

それは、一枚のマップから始まった。
前回の雲見でのダイビング。最終日には夕方5時に下田ダイバースをでなければならず、<ショップでコーヒーを飲みながらゆっくりロギングしましょう>と言ってくれたインストラクターの好意を、一方的に無にしてしまった。
ところが、今回、3週間ぶりにショップに訪れると、そのインストラクターから渡されたのが、一枚のマップ。印刷してある雲見・牛着岩の水中地図に、きれいな多色の水性ボールペンを使って、細かい文字でぎっしりとダイビングのコースや、途中で見た魚、そしてコメント。
イントラ達って、ダイビング中はもちろんのこと、朝はタンクやダイビング機材の準備から、夜はゲストが寝静まってなお、次の日の打ち合わせと、ほとんど休む暇もない。それにもかかわらず、彼女は眠い目をこすって、このマップを書いてくれたのだ。

残念ながら、字が細かすぎて、マップをもらったその場では、ほとんど読むことができなかった。
今、部屋に帰ってきてマクロレンズを通してそのコメントを読んでいる。マクロレンスを通してもなお、字が読めないのは、目から汗が流れ落ちているから。

今回の田子のガイディングでは、彼女の苦手なウミウシを一生懸命探してくれた。なんで、こんなに感動させてくれやがるんですか?

・・・・・・ありがとう。


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