tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

小さい秋を見つけに(6)

2008-09-11 23:22:50 | プチ放浪 山道編

 
 

【撮影地】静岡県富士宮市粟倉地先(富士山)((2008.8月撮影)
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いつの間にか雲海を登りきったのだろう。頭上には無数の星が光っていた。ダイビングウォッチにつけたコンパスで方向を確かめて北極星を探す。そして、そのそばに、見覚えのあるカシオペアのWが見えた。ひょっとしたら、頭上にかすんで見えたのは、高気圧の吹き出しによる高層雲のせいじゃなく、天の川が見えていたのかもしれない。その後の天候は、ガスッたり晴れたりだったが、晴れている間は、見上げた空の星にずいぶんと元気をもらった。
休みがちなぼくらのパーティ。それでも、ぼくらを追い越していくグループは、さほど多くはない。登山道のわきによって、登ってくる人たちを見ていると、さすがみんなヨレヨレ。なにも考えず、ひたすら重い足を引き上げて登ってくる。みんな気力だけなんだよね。

3時ごろ、太子館に到着。山小屋の手前に「是より八合目」という看板が立っていた。ようやく8合目だ。高度はすでに3000mオーバー。石井君は自分の彼女のリュックを背負ってあげたり、北尾君は自分の彼女を一生懸命に励ましたりで、ぼくらのグループはなんとかもっていたのだが、石井君の彼女が、とうとうダウン。<もう、どっかで横になりたい>という彼女。
ご来光を見るため、泊り客がすっかり出払った山小屋に彼女を頼み込み、仮眠させてもらうことに。石井君が彼女に付き添うのかなと思ったら、<せっかくここまで来たのだからみんなと行け>と彼女。携帯を持ってなかった彼女に渡して連絡がとれるようにして、ぼくらは頂上を目指すことにした。がらんとした山小屋。この夏の最後の富士山で、彼女で貸しきり状態の山小屋。
<ドンちゃん騒ぎするんじゃねえぞ>
憎まれ口を利くぼくに、彼女は素敵な笑顔を見せた。登頂という重荷がなくなったせいか、さっきまで死にそうだったその顔は輝いていた。
あれ?どっかで見たことあるぞ・・・・・・思えば、これがぼくの変調のはじまりだった。
山小屋のお兄ちゃんに彼女のことをつくづくお願いし、彼女一人を山小屋に残して残り4人で頂上を目指した。

そして、蓬菜(ほうらい)館を通過。山小屋の前で、休んでいる人たちは、みんな並んでそれぞれが携帯用酸素を吸っていた。その様子に、なにか、新しい宗教団体を見ているようで奇妙な気持ちになる。携帯酸素は本当に効果があるんだろうか?休憩のたびにガバガバ吸っている石井君に効果のほどを聞くと、よくわからんとのこと。半分プラシーボ効果なのだろうか。
リュックからチョコレートを取り出し、みんなで分けて食べる。なんで、こんなときに糖分控えめの”MEIJI BLACK”なんだ?ダイエットを意識にしていたぼくは、なんの考えもなく、ブラックチョコレートを購入していたのだが、それでも、みんなは美味しいと言って食べてくれた。
このあたりからごつごつした岩稜地帯ではなくなり、また幅広の道になる。しかし、石ころがごろごろしているため、登りにくい。白雲荘前に到着。吐息が白く見えるから、気温は10度を下回っているのだろう。もう、ご来光も近い。そろそろ空が明るくなってきている。雲の切れ間に見える眼下の河口湖方面の夜景がとてもきれいだ。


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