恐竜の時代のジュラ紀や白亜紀の時代、現在の日本列島の大部分はアジアの大陸の一部であった。そして、今のアジア大陸と北アメリカ大陸はベーリング海峡のあたりで陸続きでつながっていた。1990年代に入って、日本の各地で恐竜化石が発見されることが多くなってきた。特に、福井県・石川県・岐阜県にまたがる白山山系に広がる「中生代」の「手取層群」は富山県まで広がり、規模は小さいながらも多くの種類の恐竜化石が発見されてきている。
1990年代、私はこの白山山系の発掘調査(石川県教育委員会主催)に何回か参加させてもらった。石川県の白山山麓の白峰村の民宿に寝泊まりしながら、白山の1000m〜1900mあたりの沢に入り、調査を行った。ここは多くの恐竜化石や恐竜足跡化石、爬虫類・哺乳類化石などが見つかっている。日本のジェラシックパークと呼ばれる場所だ。夏の発掘は、標高が高い場所だけに寒いくらいだった。日本各地の博物館や大学の研究者たちが調査に参加していた。この時に共に調査活動を行った人脈により、日本各地の恐竜発掘調査地にでかけることもできるようになった。そして、その時の人脈の広がりにより、アメリカやカナダ、モンゴルでの調査へと続いていった。
福井県立恐竜博物館・福井県立大学恐竜学研究所が現在、中国古脊椎研究所と5年計画で取り組んでいる中国吉林省延吉などで行っている発掘調査は、中国・モンゴルの恐竜化石と日本の手取層の化石の比較研究を目的としている。今の日本の福井県や石川県は、恐竜の時代にはこの延吉あたりにあった場所から地殻変動で移動したのだった。また、日本で発見される恐竜化石とゴビ砂漠で発見される恐竜化石はよく似ているものが多い。このため、日本で発見された部分化石の種を特定するために、モンゴルや中国ですでに発見された化石を参考にして調べていくこととなる。松川正樹氏の『恐竜ハイウエー』などは、足跡化石について「ゴビ砂漠➡朝鮮半島➡日本列島」を調査し、その関連性について書かれた力作の一つだと思う。
6500万年前に恐竜や翼竜や魚竜など、多くの生物が絶滅した。絶滅の原因については諸説があるが、最も有力な説が「直径10kmの巨大隕石」がメキシコ・ユカタン半島沖を直撃衝突したという説だ。このため、数年間にわたって核の冬のような環境に地球上が覆われ、生物が死滅したという説だ。この説の裏付けとして、「KT境界層」という6500万年を境とする地層が世界各地で発見されている。(日本では北海道にこの地層がある)
私も、アメリカの発掘調査に行った際にこの地層を見た。わずか10〜15cmほどの黒い煤(すす)が降り積もったような薄い地層だった。地球上では普通には存在しないとされる放射性物質の「イリジウム」が大量に含まれている地層だ。サンプルに日本に持ち帰った。巨大隕石が地球に衝突した際に降り積もった地層が「KT境界層」である。
1993年に、世界に衝撃を与えた映画「ジェラシックパーク」。2018年7月3日、このシリーズの第5作目が世界で公開される予定だ。
◆世界の恐竜化石の博物館として有名で充実している博物館のベスト4は①アメリカ・アメリカ自然史博物館[ニューヨーク]②アメリカ・スミソニアン博物館[ワシントン]③カナダ・ロイヤルテイレル自然史博物館[カルガリー]④日本・福井県恐竜博物館[勝山市]があげられる。中国では、四川省にある「自貢恐竜博物館」や浙江省にある「浙江自然博物館」が有名だが、まだ行っていない。
◆福井県恐竜博物館は、日本での恐竜化石の産出量は少ないが、研究や施設的には世界でも指折りの恐竜博物館である。
◆中国は、「世界で1、2を争う」恐竜大国である。しかし、中国人のほとんどは、そのことをまったく知らないようだ。大学の学生たちも同様てある。
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