彦四郎の中国生活

中国滞在記

中国の「精進料理ホテル」―福州・阿彌陀佛(あみだぶつ)大飯店、酒類は一切飲むことができなかった

2018-12-23 20:26:22 | 滞在記

 中国・福州に、ちょっと変わった名前の大型ホテルがある。名前は、「阿弥陀仏大飯店」。

 11月21日(水)の午前11時半頃に、大学日本語学科の同僚教員から、「今日の夕方5:00から日本語学科教員の食事会を計画しました。来てください」との連絡が入った。いつものことながら、計画性や事前連絡のない「その日の突然の連絡」という中国の社会組織の唐突の連絡には ほとほと感心してしまう。日本ならば、学校や会社など組織としての食事会や飲み会などは、遅くても1週間前には連絡があるのだが‥。まあ、そのことは それとして、夕方の5時前にホテルに到着して、同僚教員たちを待っていたが、そのほとんどが集まったのは、30分遅れの5時30分すぎ。30分間の待ちぼうけ。時間にはかなりゆるいのも相変わらずだ。

 年に数回、日本語学科教員の食事会があるのだが、今回の会場となった阿弥陀仏ホテルは、名前のとおり「精進料理」のホテルだった。普通 日本では、寺院に宿泊した場合や寺院門前町の旅館などで「精進料理」を出されたりすることがある。しかし、ここ福州の阿弥陀仏ホテルの周辺には有名な寺院はない。ホテルのロビー(フロント)は、「月」の輪郭のような丸い光、なかなか 素晴らしい光の演出だ。中国式僧衣を着用した人の姿もちらほら見える。

 ホテル1階にある広いレストランはバイキング方式になっているので、皿に入れて「料理」を運んでテーブル席に着くと、「肉や魚だと思っていたものが、どうも そうではないような感じ」がする。同僚教員は「ここはすべて精進料理ですよ」と説明してくれた。とても上手につくられた「精進料理」のオンパレードで種類も多いのには、驚かされた。味もなかなか良いが‥‥。

 フルーツやデザートのケーキ類なども種類が多くとても充実していて、グルメには一度は行って食事をしてみたいレストランなのかもしれない。しかし‥‥、である。

 ビールなどの酒類が一切 提供(注文)しないホテルのレストランだった。宴会・食事会で、酒類を飲めなかったのは初めての体験だった。手持ちぶたでなんかぜんぜん気分が盛り上がらない。同僚の中国人教員が緑の青汁っぽいジュースを飲んでいたので、「それは何ですか」と聞いてみたら、「胡瓜(キュウリ)のジュースです」とのこと。どんな味がするんだろうと、取りに行って飲んでみることにした。キュウリは食べるのは大好きだが、このキュウリジュースは、一口飲んで、もうそれ以上は飲む気がおきなかった。確かに、キュウリの味が濃厚にするのだが、飲み物になると かなりまずい飲み物になることがわかった。

 まあ、珍しい体験の宴会だった。

 

 


中国の司法(法治)、人権について思うこと❻―社会主義核心価値観「自由」「民主」「法治」とは②

2018-12-23 15:09:56 | 滞在記

◆前号のブログ記事で、「中国社会主義核心価値観」12のうち、次の四つが未記入でした。「敬業」「誠信」「友善」「公正」。

 2018年10月の「第十九大会」において、「国家主席」の在籍任期を2期10年までとするという規定を撤廃し、2022年以降の習近平氏の長期政権が実現可能となったことに関しては、国外からも驚きの声が上がった。このような状況に関して、中国国内でもさまざまな声があったと報道されていた。。(「朝日新聞記事8月上旬—「習氏崇拝 批判が続出 党宣伝部、直接的な礼賛抑制か」 )   日本のインターネット報道には、「中国のインターネット記事で、若い女性が車のバックを誘導させる写真。これは、習近平氏が10年間までの任期制度を撤廃し、中国の民主をバック(後退)させたことに対する批判」と報道された記事(2018年4月24日)などもあった。

  2018年4月7日に中国の上海でおこった出来事についての日本のインターネット記事(7月中旬)。この記事の見出しは「習氏看板に墨をかけた女性が消えた—中国の湖南省出身で上海に住む董瑶璋さん29才」となっていた。「7日の午前6時頃、董さんは習近平国家主席を支持しないという内容や習近平ポスターに墨をかけるパフォーマンスの動画を発信。当日の午後2時28分、制服を着た男たち数人が家を訪ねて来たと、ドアの覗き口越しに映る公安関係者らしい男たち写真付きで董さんがツィート発信。その後、拘束されたか。」という内容だった。

 2018年8上旬、日本の朝日新聞には、「精神病院に送られた娘を返して—父の訴え」という記事が掲載されていた。「習氏看板に墨をかけた女性—父、"娘返して"—理由なく精神科病院に―父が声明文を出す」という内容だった。董瑶璋さんは、湖南省の精神科病院送りとなっていたようだった。日本でも公共物に墨をかけて汚す行為は「公共物損壊」にあたるとして拘束に値する行為となるが、その後董さん父・娘はどうなっているのだろうか心配でもある。

 2018年12月18日付の日本のインターネット記事。書いた人の名前は「志葉玲」。名前からして中国人のようにも思えるが、日本人かもしれない。「中国当局、100万人を強制収容所に―新疆ウイグル自治区での"民族抹殺"、生還者らが告発」という見出しの記事。それによると、「先月、人権団体・アムネスティ インターナショナル日本の招きで来日したオムルベク・アリさん<強制収容所から生還>らと集会を開催」とあった。

 米中貿易戦争が始まり、政治的にも経済的にも対立を深める米中関係の中、欧米からの「ウイグル人収容」に関する国際的人権問題への批判が高まってきている。このような国際的な批判の高まりを受けて、中国外交部は、これまでは このような収容施設の存在を否定していたが、「これは職業訓練の施設であり、中国語の学習やさまざまな職業訓練をしている施設だと」し、「海外で報道されているような収容所の実態は間違ってる」と反論している。

 2018年7月10日ごろ、「ノーベル平和賞受賞・民主活動家の妻である劉霞さん」が 2012年以降の6年間にわたる自宅軟禁を解かれ、ヨーロッパのフィンランドへと出国した。亡くなった夫の命日にあたる7月13日、ドイツのベルリンで追悼式典に参加をする。フィランドの空港に到着した劉さんは、長年の軟禁状況から解放されたのを確信し、「弾けるような喜びの笑顔」を見せていた。

◆中国の司法(法治)、確かに治安的な状況はとてもよくなったとは思う。しかし、「思想信条・表現」の権利や自由は、こと政治体制にかかわる「民主」に関しては、なきに等しいかと思う。中国のほとんどの庶民は、「触らぬ神に祟り(たたり)なし」の言葉のように、政治的なことには口をつぐむ。「民主?そんなことに首をつっこむ者が愚か者なのだ」という感じかと思われる。今の中国社会で生きるための賢明な選択なのかもしれない。それぐらい このことは徹底して「敏感」な問題だ。

 ブログ上ではあるが、さまざまな 中国での生活のことを発信をしている私は、中国で暮らすかぎり、まるで、「地雷発見装置をもちながらも、地雷原を歩いているような」、そんな毎日を暮らしている。正直、怖い。昨年2017年の11月のある早朝5時半、まだ外は暗闇。突然に8階にある私の部屋のドアを激しく叩き そして叫ぶ声がした。恐る恐るドアを開いた。幸いにドアを激しく叩いてきた男は、勘違いをして私の部屋に抗議に来たのだったことがわかって帰って行った。ドアを開ける前、私の頭にまず浮かんび広がる不安は、「とうとう〇〇が来たのか‥‥」ということだった。

◆以上でこのシリーズ記事を終わります。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


中国の司法(法治)、人権について思うこと❺―社会主義核心価値観「自由」「民主」「法治」とは①

2018-12-23 11:47:20 | 滞在記

 中国全土の地方・都市・市街のどこにでも掲示されている12項目からなる「中国社会主義核心価値観」。これは中国がめざす社会主義社会において「社会的状況における重要な社会通念価値12」のことである。「富強」「自由」「愛国」「民主」「平等」「文明」「法治」「和諧」「」「」「」「」。(「人権」という価値観はこの中にはない)   中国共産党成立から100年目にあたる2022年、そして中華人民共和国成立から100年目にあたる2049年、「中国の夢」というスローガンを前面に押し出し、2049年に向けて、この12の価値観を実現しようと、習近平主席・中国共産党一党支配のもと、さまざまな政策に取り組み世界での存在感を大きくしてきている中国。

 「法治」に関していえば、交通ルールーを守ること以外は(特に電動バイクの絶え間ない水の流れのように無茶苦茶な信号無視)中国国内の治安は世界の国々のなかでもかなりいい方ではないかと思う。1年ほど前から、「黒闇社会(地域暴力団組織)」撲滅に向けた中国全土での取り組みなども始まってきている。しかし、「思想・信条」の「自由」や「民主」に関しては、‥‥。

 2015年6月に中国の上海で拘束され、スパイ罪で起訴された日本人女性(日本語学校勤務—当時54才)の判決公判は、3年以上の年月が経った2018年12月7日に ようやく上海市第一中級人民法院(※日本の地方裁判所にあたる)で下された。「懲役6年、5万元(日本円で82万円)の没収」という判決内容だった。

 続く12月10日、北京第二中級人民法院において、2015年6月に拘束され、翌年にスパイ罪で起訴された北海道在住の日本人男性(元航空会社勤務73才)の判決が下された。「懲役12年、20万元(日本円で330万円)の没収」という判決内容だった。中国では2015年以降、8人の日本人がスパイ行為を疑われ拘束されているが、判決が出されたのは、今回の2人への判決で4人に判決が下されたこととなる。

 いずれの公判も、関係者以外完全非公開の中で行われ、どの行為がスパイ罪に当たるのか、起訴内容や判決内容も明らかにされていない。拘束されて行方不明となり、かなりの長期間にわたってその消息がわからなくなることや、起訴内容や判決内容も明らかにされないまま判決が下され、6年も12年もの間の実刑として刑務所に送られる。暗闇の中での、拘束・起訴・判決・刑務所という印象がとても強い。どんな行為がスパイ罪に問われたのかも公開されないので、中国で生活する私たち日本人にとって これは恐怖以外の何物でもない。これも、中国という国の政権の"恐怖心をあおる"狙いでもあるのだろうか。

 2018年5月上旬、日本や韓国の「宗教団体」(エホバ)の人たち約30人が中国の遼寧省や寧夏回族自治区で拘束された。この30人は日本人がほとんどだったが、2週間あまりの拘束を経て釈放されている。宗教団体のエホバは中国では「邪教」の一つとされている。アパート近くの福建師範大学倉山校区の正門近くには、「反邪教キャンペーン」の大型看板が掲示されていたが、その中には、邪教と指定された宗教の種類や法廷での判決の様子の写真などもあった。中国の法廷では、被告の法廷での顔写真は新聞やテレビなどで報道されている。(日本では、写真は公開できないので、似顔絵での報道となる。)

  2013年の9月に中国に赴任して、中国のテレビ報道を見ていてとても驚いたことの一つに、「刑務所の鉄格子の部屋の中で服役している囚人の顔の映像を暈し(ぼかし)なしで放映している」ことだった。そして、「私はこんな罪を犯してしまい、今はとても後悔しています」と言わせて、これを全国にテレビで報道していることだった。このような報道内容は、年間を通じて多く報道されている。

 つまり、中国の「法治」の方法としては、①拘束をして、その後に「拘束の事実」を明らかにするのは、拘束された人の人権という配慮は一切なく、政治的判断で「拘束の事実」を発表する時期を考え判断する。これは、拘束された本人のみならず、周囲の人や国民に恐怖感を与える効果があると考えている。②政治的判断によって、起訴や裁判(公判)時期を判断している。これも当局の匙加減一つだ。③そして、裁判が「公開か」「非公開か」も、政治的判断される。従って、罪状の具体的なことに関してわからない場合もある。これにより、広範な人々に恐怖心を増幅させる効果も狙っている。④服役中の人間に、顔を撮影し、「罪人としての反省」を晒しものにして、国民に「罪を犯す事」の恐ろしさ効果を図る。まさに「当局の匙加減一つ」であり、これは、当局の中心である「中国共産党」に対する、畏怖心を抱かせる効果ととらえているのではないだろうか。

 ちなみに、中国は日本のような「三権分立(司法・行政・立法)」は、憲法上もなっていない。「司法」も「行政」も「立法」も、三権は「中国共産党」の政治を助ける(補完する)ものと位置付けられている。「司法(法治)」の独立ではなく、中国共産党の補完機関という位置づけだ。だから、中国の「司法(法治)」の実態は憲法違反とはなっていない。これが 長年の一党支配社会「民主集中制」の実態でもある。

 「日産・ルノー」のトップであるカルロス・ゴーンが拘束され、現在 東京拘置所において取り調べが行われている。日本の司法に対する批判も起きている。日本の検察の拘留の実態に関する批判で、それはそれで、批判されるべき面もあると思う。だが、拘束も拘留の事実や容疑内容は ほぼ詳しく社会的に公開されている。被疑者の人権の保障もある。中国の司法(法治)の実態と大きく違うところである。

 中国に暮らしていて、「いつわが身に降りかかってくるか」という怖さがある中国社会でもある。