中国において1990年代より本格化させた「反日教育」、そして、「中国共産党賛美」を進めるための歴史の捏造(ねつぞう)や隠蔽(いんぺい)、中国共産党の負の歴史(※「文化大革命」「大躍進政策」「日中戦争時の国民党軍・中国共産党軍の日本軍に対する対応の違い」など)に関しては、学校や大学などで教えることは「大きな制限や禁止(不講)」がされている。歴史は常に捏造や隠蔽などがなされながら広まっていく。これは、「日中韓」の間、日本においても多少なりともされていることだ。日本では「教科書検定」により、それらのこと(主に隠蔽)が行われてきている。
「徴用工問題」において、韓国の「書籍」などでもその捏造が行われているという記事が、この11月に日本のインターネット記事で紹介されていた。2015年、ユネスコの世界文化遺産として「日本の近代産業遺産」の一つに認定された「長崎県の軍艦島」に関して、2016年に韓国で出版された絵本『恥ずかしい世界文化遺産 軍艦島』の内容である。
この絵本では、朝鮮の人の少年たちが鉄格子の中ですし詰めになっている様子や、両足を縛られて逆さ吊りにされている場面、島の外に朝鮮人を逃がすまいと夜間にサーチライトを照らしている様子などの挿絵が描かれている。まるで、ナチスのアウシュビッツを彷彿させる。(軍艦島とは、長崎県冲に浮かぶ、明治から昭和にかけて稼働していた海底炭鉱の洋上拠点の島。) この絵本などは、まったく事実とかけ離れた 「捏造」本として批判をされてもいる書籍のようだ。
「歴史は常に書き換えられる」とは、昔から言われていることたが、今、世界から注目もされている「東アジア―中国・日本・韓国・北朝鮮」情勢のただなかにある「日中韓」を巡る歴史問題でも、この捏造が行われてきたことを、『歴史問題の正解』や『こうして歴史問題は捏造される』(いずれも新潮新書)では いろいろな歴史資料を基に分かりやすく述べられている。
例えば、南京大虐殺は300000(30万)人と、中国政府及び南京市にある記念館は公式発表をしている。上記の有馬氏の書籍では、30万人という数字はアメリカが主導した「極東軍事裁判」で初めて出された数字だと言う。これは、広島・長崎での原爆投下による被害者(死者)を上回る数字にしたいというアメリカ政府の出してきた捏造された数字(「日本軍は中国の南京において原爆投下による死者数を上回る虐殺を行ったんだ」という印象を日本人に強く与えるため。)だということが、さまざまな資料を引用して述べられている。
日本の福田康夫・元首相は、「南京虐殺記念館」を訪問し、「日本人は歴史の真実を直視すべきだ。この南京大虐殺で何人が虐殺されたのかという数字が問題視されてもいるが、数字よりも、実際にここで大虐殺があったことを直視することが重要なことだ」というコメントをした。私は、このコメントの「歴史を直視すべき」ということには賛同するが、数字にこだわるなということに関しては賛同できない。歴史の直視には、数字的にも重要なことだと思うからだ。
ちよっと「徴用工判決問題」から、話は横道にそれたかもしれないが、どうも「日本、中国、韓国」それぞれの国民間の近現代史における(特に1940年~45年における)が、それぞれの国の政権による「捏造・誇張・隠蔽、そして宣伝(プロパガンダ)」により、歪んだ形の歴史認識に それぞれがなっているような気がしてならないからだ。例えば、韓国のBTS(防弾少年団)を巡る問題にそのことが現れもしている。(日本への原爆投下に関して)
韓国のグループBTS(防弾少年団)は、いまや韓国のみならず、日本でも中国でもそのファンは多く、世界的多くのファンを持っているグループだという。日本の雑誌『アエラ』の表紙を飾り、特集が組まれたことも最近ある。「かっこいいバカは僕らのスタイル」—防弾少年団が世界で愛される理由—というタイトルでの特集記事だった。「BTS 日本初!全国4大ドームツアー 38万人動員予定」「社会の問題を積極的に発信するグループとして韓国国内では有名」なのだという。
このグループを巡る騒動の発端は、グループメンバーの一人「ジミン」が、「原爆のキノコ雲の写真と、日本の敗戦による朝鮮解放を喜ぶ民衆の写真を背中にプリントしたTシャツ」を着用し出演していたことに対する抗議が最近起きたことだった。それを発端に、これまでに、ナチスドイツを賛美するようなこと(2014年に「ファッション誌でメンバーが、ナチス親衛隊がかぶった帽子をまねたものを着用」していたことや2017年のコンサートでナチスドイツの旗を連想させる旗を振ってコンサートを行ったことなど)が問題視され始めた。
世界的な関心事として、イギリスBBC報道、アメリカCNN報道、中東アルジャジーラ報道などてもこの問題が取り上げられ、アメリカのユダヤ系人権団体や日本の被爆者団体から非難声明があがっている。これらの記事を読むと、「かっこいいバカ」ではなく、「かっこをつけた ただの無知なバカ」という印象のガキグループなのだが‥‥。この問題が浮上し、日本のテレビ局の歌謡番組「ミュージックステーション(Mステ)」「歌謡祭」などへの出演が見送られ、今年のNHK紅白出場確実とされていたが、出演がこれも見送られた。
これに対して韓国では、「徴用工判決」にたいする日本人の「報復」だととらえる声が上がり、日韓合同ユニット「IZ※ONE(アイズワン)—日本人が3人入っている」の、韓国公共放送KBSへの出演は止めるべきだという声が大きくなっているとの報道もされていた。
このBTS(防弾少年団)の原爆Tシャツ問題に関して、「韓国では原爆投下=日本からの韓国解放という歴史のイメージで、日本人をバカにするとかしないとかの意味はあまりなく、それ以上の意味はない」という釈明も述べられていた。「原爆投下(多くの人々が一瞬にして死ぬという、人類史上の凶悪な出来事なのだが)=韓国人にとっては朝鮮の日本からの解放、喜び」というイメージしかもっていないことの歴史認識の日韓の大きな歴史認識の違い。この「原爆投下」に関しては、中国人も韓国人と同じようなイメージを持っているようにも、私は大学で「日本概論」などの授業を行って思った。