彦四郎の中国生活

中国滞在記

世界の推理小説文学の金字塔「松本清張と東野圭吾」❸学生たちの発表、日本近現代文学講義

2018-12-14 05:12:51 | 滞在記

 12月11日(火)、4回生「日本近現代文学選読」の最後の授業が終了した。そして、12月18日(火)に期末試験となる。この日(11日)は、早朝から久しぶりに「朝焼け」が見える良い天気となった。午前6時50分ころのバスの中、朝日が高層住宅を照らしていた。午前7時半頃、南門(正門)から大学構内に入る。冬の始まりの気候の中でも、2月下旬に花を咲かせる「木蓮」の花芽がもう成長し始めている。亜熱帯地方の毛玉のような赤い花が暖かい。

 12月4日(火)と11日(火)の日本近現代文学選読(14回目・15回目)の授業は、「学生発表(日本文学の作品を一つ選び、6〜7分間、発表する)」が主な内容となった。40人あまりの学生の発表のうち、東野圭吾の作品についての発表は6人もあった。中国国内で東野作品の翻訳本が多く出版されているからでもある。

 東野圭吾作品に関しての学生の発表は、『祈りの幕が下りる時』『白夜行』『マスカレード・ホテル』『容疑者Xの献身』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』『時生』『虚ろな十字架』などの作品についてだった。東野圭吾は1958年大阪生まれで現在は60才。大阪府立大学工学部を卒業後、日本電産(NEC)に入社、6年後に退社し作家としての歩みを始めている。

 午前中の日本近現代文学選読の授業を終えて学生たちは教室から出て行った。来週の期末試験教室となる予定の6階の教室に上がり、室内を確認し、窓から周囲を見渡す。久しぶりの冬の快晴となり、空と雲が美しかった。教室近くの第一食堂に行くと、混雑の時間帯が過ぎて、席がかなり空いていたので、ゆっくりと昼食を摂った。

◆―「日本の童話作家」—宮沢賢治と新実南吉—

 日本近現代文学選読では、今回は初めて日本の童話作家として、新実南吉の『ごんぎつね』を取りあげた。新実南吉の童話は、中国語に翻訳されて かなりの作品が出版もされてきていた。

 宮沢賢治の作品で今回取りあげたのは、『銀河鉄道の夜』と『セロ弾きのゴーシュ』。私が個人的に好きな作品は、『やまなし』と『グスコーブドリの伝記』。

 宮沢賢治と新実南吉は この二人は日本童話文学作家の双璧かと思うが、斎藤隆吉『モチモチの木』や『ベロ出しチョンマ』なども、大人が読んでも いいなあと思う作品だ。

◆今回の日本近現代文学選読(全15回)の講義では、①川端康成『伊豆の踊子』『雪国』、②谷崎潤一郎『刺青』『春琴抄』、③森鴎外『高瀬舟』『舞姫』、④夏目漱石『坊ちゃん』『こころ』、⑤芥川龍之介『羅生門』『蜘蛛の糸』『蜜柑』、⑥志賀直哉『城崎にて』『小僧の神様』、⑦中島敦『山月記』『李陵』、⑧宮沢賢治『銀河鉄道の夜』『セロ弾きのゴーシュ』『注文の多い料理店』、⑨松本清張『一年半待て』、⑩小泉八雲『雪女』、⑪新実南吉『ごんぎつね』、⑫太宰治『人間失格』『走れメロス』、⑬葉山嘉樹『セメント樽の中の手紙』 以上の24作品を扱った。

  ※教科書に掲載されている作家や作品は良い作品が少ない。今回扱った作品で、福建師範大学や閩江大学の「日本近現代文学」の教科書に掲載されているものは、『伊豆の踊子』『刺青』『高瀬舟』『羅城門』『城崎にて』『山月記』『注文の多い料理店』『セメント樽の中の手紙』『一年半待て』の9作品。(2つの大学の別々の教科書を合わせると)  特に、太宰治の作品が掲載されていないのは問題だと思う。教科書としては、福建師範大学が採用している教科書の方が良い。3回目の日本文学の授業となる今回も、教科書にない作品は、すべて、コピー店に行って私費「作成」(20作品)をした。かなり大変だった。

 今日13日(木)は、授業がないので、ほぼ一日をアパートで過ごした。気温は上がらず、最低気温が9℃で最高気温が12℃となった一日だった。室内全体を暖める灯油ストーブなどがこの福州では販売されていないので、足元を暖める小さな電気ストーブ一台とホカホカカイロだけで過ごす。かなり寒い寒い、体が しんしんと冷える。