昨日は書の会だった。
月に一度、一階の土間に毛氈を敷き詰め、半紙を置き、そこに
好きな字を書く。やはり料理といっしょで、「キ、キ、キ」
だ。気持ちが入る、季節を入れる、器(道具)の三つがそろわないといけない。
昔から文人たちは「文房四宝」といって、道具にはとりわけこだわりを持った。
昨日は、友達が球磨焼酎を持参してくれたので、それをロックにして、
今年初めての「湯豆腐桶」に昆布を入れ、お湯をはり、備長炭をおこし投げ入れ、
徳利(酒をいれてよし、出汁をいれてもよし)に昨日は出汁を入れ、みなで
静かに(いや静かではないな)飲んだ。昨日の焼酎は44度の強い球磨焼酎。
その徳利に、「湯豆腐や持薬の酒の一二杯」と書いてある。
昨日はあだっちゃんがその句を書いた。なかなか味わいのある字である。
書というのは瞬間の芸術だけど、そこにその人の人生が吐露されていて、おもしろい。
この句を作ったのが晩年だったらしいが、最晩年に
「湯豆腐やいのちのはてのうすあかり」と詠んだ。
日常的ななんでもない食べ物だけど、酒をかたむけながらゆっくりながめていると、楽しくもあり、
さみしくもあり、だ。
今日は「座敷でそば遊び」があるけど、これから冬にかけては、「湯豆腐」が場を
あたためる。
明日は「ダメから始める中国語」だ。